最奥へ
「硬いですねっ……!」
「《チャージショット》」
「ウルル、援護をお願いしますね。《魔樹の祈り》」
「ガゥッ!」
ミノタウロス戦からまたしばらくした頃、最奥一歩手前まで来たところで、四匹の背中から水晶が生えている三メートル程の黒い亀に襲われていた。
シルクロードの攻撃はあまり通らず、ニャイアルの狙撃も有効打にならないため少し苦戦していた。敵の動きは鈍いからか攻撃は活発では無い。
しかしニャイアルたちから見れば遅いと言うことであり、シルクロードの敏捷値ではギリギリ逃げられないため全て倒すことにした。
攻撃方法も噛み付きや、前足を地面に叩きつけて衝撃波を起こすなどの単純なので一撃一撃は重いが避けやすい。
「《ボムショット》、やっと一匹……」
「出来る限りMPの消費は抑えたいですが……」
「自分が行きます、援護を! 《マジックチャージスラッシュ》」
だがただただ硬いのでMPを大量に持っていかれる。痺れを切らしたシルクロードは溜め時間が必要なスキルの構えに入る。
「ガゥッ……ガォォオッ!」
ウルルの攻撃も例に漏れず効きは悪いが、ヘイトを取って誘導をしていた。ニャイアルとサヤも各々攻撃を続けてシルクロードに被害が向かないように、そして一箇所に誘導する。
そしてチャージが終わった彼女は、一箇所に纏まった敵たちに向かって前回よりも巨大な大剣を振り回す。
「ふんっ……!」
「一刀両断されてる……」
「強力ですがMP消費も凄まじいでしょうね。MP回復薬は要りますでしょうか?」
「お願いします」
三匹の黒い亀はポリゴンの欠片となって消えた。だがその代わりシルクロードのMPの消費は多く、MP回復薬を二本使ってしまった。
「出来る限り戦闘は避けなければなりませんね……」
「だね、まだ切り札のスキルは使ってないから温存しとかないと」
「えぇ、早く先に進んでしまいましょうか」
「ワゥッ!」
ウルルも最前線で戦っている為、MPは然程減らずともHPは小さいダメージの積み重ねでそこそこ減っている。ボス戦でどのくらい苦戦するか分からない以上は回復薬は出来る限り残しておきたいのだ。
ニャイアルたちは探索を再開し、黒い亀や他の雑魚敵にも気を付けつつ奥へと進んで行く。そして無事にフィールドボス一歩手前まで辿り着いた。
「準備は良いですか?」
「うん、問題無し」
「はい、大丈夫ですわ」
「ワゥッ!!」
「切り札は状況を見て使ってください、では行きます!」
ミノタウロスと戦った時よりも厚く大きな門を開けると、大きな岩をくり抜いた造ったような椅子に四階建てのビルほどはある骨の身体に王冠を頭に乗せ、錆び付いた斧とボロボロの木の杖を持った骸骨が座っていた。
そこでようやくいつもの画面が現れる。
フィールドボス《スケルトンキング》へと挑みますか?
YES/NO
シルクロードはYESを押し、それと同時にスケルトンキングは立ち上がる。そして瞳に紫色の炎を宿して襲いかかって来たのだった。
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