錬金術師は眠らない その5
「ウルルストップ……」
「ワゥッ」
配信前日、転職のためにレベル上げをしていた。そして現在は女王蜂から隠れている。女王蜂は日に日に凶暴性を増して行き、討伐隊を組まれては散っている。
原因としては周りの通常蜂の数、そして毒針の威力だ。通常蜂も少し強化されてるのか硬くなっている。浮いているため攻撃も当てづらい。
「行ったね、レベルの方は上がったかな」
ステータスを確認すると、職業レベルの横に転職可能の文字が光り輝いていた。加えてウルルも進化可能の文字がある。
「ん、なら帰ろっか」
「ワゥッ!」
ニャイアルとウルルは転職が出来る神殿へと向かう。神々しさは教会の比にならない。奥に居るNPCへとニャイアルが話しかけると、選択肢が表示される。
(また色々増えてる……ん? 何これ)
斜め読みをして行くと特に目立っている文字を見つける。虹色に輝いており、導かれるように詳細を確認する。
天賦の狙撃魔銃士
転職条件:【???】に気に入られ、尚且つ精度が90%を越える。
職業スキル:【煌撃lv1】【ダブルショットlv1】【状態異常耐性lv1】【???の加護】
説明:イレギュラー、過去三人しか取っていない。ここからが一方通行の始まりである。
彼女はこれを見て、即座に決定ボタンを押した。するとかなり甘ったれた女性の声がニャイアルの耳に入る。
「もっと頑張ってね、ニャイアルちゃん♡」
「……おぇっ」
「ひどーい!」
その声の甘さに吐き気がしたニャイアルにその謎の声が反論した所で、それ以上は何も聞こえなくなる。当然この声が聞こえたのはニャイアルただ一人だ。
「何だったんだろ今の……」
困惑しつつもステータス画面を確認し、ウルルも進化させた。ウルルは光に包まれてその光が大きくなると一回り大きくなり、赤と黒の毛が三本背中に走っていた。
名前:ニャイアル
種族:猫又lv24→26 職業:天賦の狙撃魔銃士lv1
HP:130 MP:500→550+10
筋力:9
頑丈:13
器用:10
敏捷:40+7→8 【種族ボーナス】
精神:45→5+5
知力:43→44+7→8 【種族ボーナス】
スキル:【魔銃ダメージ増加lv7】【チャージショットlv6】【ボムショットlv5】【ブリーズショットlv3】【煌撃lv1】【ダブルショットlv1】【状態異常耐性lv1】【精神強化lv5】【鑑定lv1】【消音lv2】【魔力探知lv3】【軽業lv3】【移動速度上昇lv3】【暗視lv1】【ウェポンチェンジ】
特殊スキル:【妖の陣・小】【???の加護】
SP:9→15
STP:0
装備:武器【火紅鉄のスナイパーライフル/電虎子のスナイパーライフル】頭【岩大鳥のフード】体【軍魔の制服】腕【岩大鳥の革手袋】脚【軍魔のスカート】靴【軍魔の靴】アクセサリー【身隠しのチョーカー】【革のポーチ】
名前:ウルル
種族:レクスウルフlv1
HP:250 MP:150
筋力:36→41+1 【種族ボーナス】
頑丈:25
器用:6
敏捷:70→80+8→10 【種族ボーナス】
精神:15
知力:6
スキル:【危機察知lv4→5】【近接攻撃ダメージ増加lv6→7】【猪突猛進lv1】【悪路走法lv1】【移動速度上昇lv3→4】【全力疾走lv3→4】【暗視lv1】
SP:15
STP:0
装備:武器【合金の獣刀】頭【無し】体【無し】足【無し】アクセサリー【ボアの首輪】
???の加護は通常のスキルではなく特殊スキル扱いだが、何も分からなかった。ただ一つ分かるのは今は効果がないと言うことだけだ。
煌撃は最大MPの半分消費して、天属性のダメージを与えると書かれていたが使ってみた方が早いとニャイアルは判断した。ダブルショットはその名の通り一発で二発の魔弾を放てると言うものだ。
これはMPではなく、一日十回までと言う回数制限があった。ウルルの猪突猛進は突進ダメージが二倍になると言うスキルだ。
「えぐっ」
「ワォンッ!」
確認を終えるとより一層犬のような鳴き声になったウルルが元気に吠える。時間を確認すると日付けを越える直前だった。
「やっば、早く寝ないと」
配信日だが平日である。ニャイアルは急いでログアウトしたのだった。
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