錬金術師は眠らない その4
救援要請から一時間が経った頃、ニャイアルによる素材提供のお陰もあり解決までには至っていないが一時凌ぎは出来た。
「ん〜……次の睡眠時間は大丈夫だけど、それ以降は女王冠の濃厚蜜って言うアイテムが必要〜」
「もしかしてあの女王蜂の王冠に貯められてる奴かな」
「多分〜……」
「私たちだけで勝てるかどうかと言う感じですわね……」
凛林が持っているスキルの効果でアイテムは分かったが、取りに行くためにはあの女王蜂と戦わなければいけない。
「一応ですが市場に出ていないか確かめてみましょうか」
「だね」
「お詫びの品は大量に出すからお願い〜……」
そして二人はプレイヤーの出店地帯へと足を運ぶが、目当ての品は見つからない。それどころか逆にあったら欲しいと言われる始末だったのだ。
「ダメかぁ」
「やはり私たちで取りに行くしかなさそうですね」
「最初の頃に僕たちに来た情報屋クランを使うのが手っ取り早いんだろうけど……」
「出来たら頼りたくないですわ……」
「うん」
詐欺行為をして来た情報屋クランの印象は最悪だった。なので頼ると言う選択肢は無いのである。トボトボと二人が歩いていると晴翔の出店の前を通りかかる。
「何かあったのかい?」
「晴翔さんこんにちは。少しお話し聞いて頂いてもよろしいでしょうか?」
「何だい?」
「少し長くなりますが──」
そしてサヤはここに来るまでの話をする。途中情報屋クランの話題を出すと、小声で晴翔が、
「アイツら……」
と言っていたのを聞き取った。だがそれ以上何か言うことはなく、サヤの話は終わる。聞き終わった晴翔は少し腕を組んで考えた後、口を開く。
「そうだねぇ……僕もあの手の敵のことはあんまり分からないけど共通点が何個かあってね? 一つがその特別なアイテムを溜め込むって点なんだけど、倒さなくても手に入るんだ」
「倒さなくても?」
「うん、無理矢理盗んだりある程度攻撃したら勝手に落としたりするから回収出来るよ」
「情報感謝しますわ」
「強さはどれも頭おかしいから準備はした方が良いよ。今回は後者の方だろうしね」
「ならちょっとは希望あるかなぁ……」
「やってみるしかなさそうですね」
そして晴翔と別れ、作戦会議を始める。
「女王蜂へと挑むのは撮れ高と準備期間として配信日にしましょうね。出来ればですが転職もしてしまいたいですわ」
「はーい、なら別行動?」
「ですわね」
「ウルルには周りの通常蜂を受け持ってもらいたいけど良い?」
「えぇ、是非お願いしますわ」
「後でスキル探しておかないと……」
その後も少しだけ続き、自由解散となった。ニャイアルたちは転職を目指して夜の花畑へと駆けて行くのだった。
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