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新学期

九月一日、それは二学期が始まる日だ。筑紫は眠い目を擦りながら支度をして自転車を漕ぎ始める。そして途中で紗夜と合流した。


「おはようございます、筑紫ちゃん」


「おはよ、行きたくないよ……」


「今日は半日だけですから、頑張りましょう?」


「うぅ……頑張る」


そのまま学校に着き、始業式や諸々が終わり帰ろうとした時にクラスメイトのこのような会話がふと耳に入ってしまった。


「ニャイアルって知ってる?」


「誰それ?」


「ここ最近伸び始めてきたゲーム配信者だよ、めっちゃ可愛いよ。プレイも真似できないほど上手いし」


「へー」


「あと相方のサヤって言う人も上手くてさ…」


(……恥っず)


少し早足になりながら紗夜と再度合流しに行ったのだった。紗夜を見つけると周りには複数人の女子の生徒が囲うように立っていた。


「さ、紗夜さんから受け取ってください」


「私が先!」


「こっちが先でしょ?」


「どうしましょう……あら、筑紫ちゃんが待ってますわ」


「モテてるなぁ……」


紗夜は女子人気も高く、よく告白されている。だが筑紫を見つけると優しく押し退けながら駆け寄って来る。そして後ろから手を回して抱き寄せてきた。


「ふふ、ごめんなさいね。私には筑紫ちゃんが居ますので」


「「えっ?」」


今まではやんわりと断っていたりはっきりと言うことはなかったが、これには筑紫も驚きの声も上げた。まるで筑紫が恋人だと言っているようなものだったのだ。


「行きましょう?」


「う、うん」


紗夜を囲っていた女子生徒は唖然としていた。校門から出て少し顔が赤くなっている筑紫は紗夜に問いただすことにした。


「……さっきの発言って」


「ふふ、間違ったことは言ってないですわ。筑紫ちゃんは誰にも渡す気はありませんし」


「まるで僕が紗夜の……こ、恋人だって言ってるようなものだったよ?!」


「……ふふふ」


「もぉ……!」


「それと配信は三日後ですので覚えておいてくださいね」


終始紗夜に手玉に取られながら二人は帰宅した。二人はほぼ同時にログインして狩場へと向かい始める。


「次は花畑エリア、ですわね」


「現実でこう言う場所減ったなぁ」


色とりどりの花が咲き乱れている花畑が広がっていた。道はしっかりと整備されており、狭くはない。魔物も植物系の敵が多いのだ。


「もう少しゆっくり見たいですが……」


「見たくない花が来たね」


花畑から飛び出してきたのは根っこが足のようになっており、醜く肥大化して花の中心には大きい凶悪な口が付いた魔物だった。


背中からは触手のようなツルが生えていて大きさは三メートルほどであり、それが前後から挟むようにして近づいてくる。


「試し打ちには丁度いいですわ」


「弱点がどこか分からないけど……」


敵は同時にツルをニャイアルたちに向かって叩きつけるが容易に回避される。


「《ブリーズショット》」


「《木槍の祈り》」


動きは鈍いため、そこそこダメージを与えられるものを選び反撃する。サヤの溜め時間も少しづつ減っているので次の攻撃までにギリギリ間に合うのだ。


「……?!」


「……!!!」


直撃した敵は大きくよろめきながら隙を見せる。そしてニャイアルが相手にしている方は少し燃えていたのだ。


「属性武器の効果かな……?」


「《恵の祈り》、相手は植物ですし相性は良さそうですわね」


そして次の攻撃で二体の敵はポリゴンの欠片となったのだった。

読んだ頂きありがとうございます

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