討伐完了
「毒吐いて来たよ」
「遂に蛇も攻撃して来ましたわね」
蛇は口から毒の塊をニャイアルたちに向かって幾つか吐いてきたのだ。とは言っても狙いは甘いため避けるのは容易だ。
HPも残り僅かだと判断してニャイアルたちは畳み掛けていく。ビーストキメラの攻撃も激しくなるが、彼女たちに問題はなかった。
「次の武器が楽しみだなぁ、《ボムショット》」
「《恵の祈り》そうですわね、折角ですし全て更新してしまいましょうか?」
「だね」
「ガゥッ!」
サヤがウルルのHPを回復させつつ、ビーストキメラの様子を見る。羽はボロボロになり、ツノも欠けていた。
かなり傷だらけだが、とは言え油断は出来ず慎重にかつ確実にHPを削っていく。ウルルのヘイト管理とニャイアルの狙撃によってサヤは自由に動けている。
そのお陰でビーストキメラは鈍足状態がずっと続いており動き辛そうにしていた。
「ん、最後に大きいの来るから僕の後ろに来て」
「分かりましたわ」
最後に息を吸う時間は短いが威力と範囲は数倍以上に跳ね上がった火もニャイアルに察知されて簡単に避けられた。
そして全ての力を使い果たしたビーストキメラはHPが全損してポリゴンの欠片に変わる。奥には今まで以上に立派な門が見えていた。
一旦探索のために配信を切り、街の中へと入る。道は全て石畳になっており冒険者ギルドや教会、通常の建物すら木造の建物はなかった。
「王都、でしょうか?」
「そなの? 全くこの世界の地理分からないけど……」
「私も少し聞いただけですわ。一応ここはNPCが治めている国の一つと聞きましたが詳しいことはよく分からないですわね」
「ふむふむ……他の国もあるんだよね?」
「えぇ、プレイヤーがトップの国もあると聞いたので近いうちに一緒に行きましょうね」
「だね。折角二人で居られる時間も増えたんだし楽しまないとね」
「ふふ、そうですわね」
二人は晴翔の所へと行く前に冒険者ギルドに寄った。そこで幾つかの依頼を受けると受付嬢から声をかけられる。
「サヤさんとニャイアルさんは一定以上のランクとこの街への到着を確認したので土地か住居の購入権があります。他の街でも買えるようになったので見て行ってくださいね」
「はーい、やっとだね」
「ニャイアルちゃんとの二人暮らしも手が届きそうで良かったですわ。大きめのクローゼットは用意しなければなりませんわね?」
「……ま、楽しみにしとく」
「顔が少し赤いですわよ?」
「気のせいだから!」
「ふふふ」
ニャイアルは頭を撫でられながら晴翔の場所へと向かうのだった。
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