ビーストキメラ戦
ライオンの身体に羊のツノ、蛇が尻尾の鳥の羽を持ったフィールドボスのビーストキメラがその巨体を表した。
「こうやって見てみるとでっかぁ」
「何か来ますわよ?」
「ガゥッ?」
ビーストキメラは息を吸うと、突如直線上に火を吐いてきたのだ。警戒していたためニャイアルたちは難なく回避する。
「当たったら丸焦げですわ」
「固まらない方が良いかも」
吐かれた跡はかなり焦げついていたのだ。ウルルは既に足元へと攻撃している。二人は少し距離を取って戦うことにした。
そこまで広くないためか動きは鈍い。だがニャイアルたちの攻撃はその分厚い皮膚のせいであまり効いていなさそうに感じる。
「《ボムショット》、弱点が見つからない……」
「《岩雨の祈り》、ニャイアルちゃんは敵の後ろに回ってください」
「はーい」
サヤはスキルレベルを上げて、人の頭程度の岩を範囲内に降らす魔法を取得していた。溜め時間はそこそこかかるもののボス戦では役に立つ。
ヘイトはサヤに向くが、必死に攻撃しているウルルでは気を引くことは出来ない。焦ったニャイアルは苦し紛れにブリーズショットで尻尾の蛇を狙う。
「グゥゥゥ……?!」
「弱点尻尾?」
「よく当てましたわね……?」
苦し紛れとは言え細く揺れ、上にある蛇を撃つのは簡単なことではない。だがビーストキメラは悲鳴をあげていた。
岩雨の祈りでの攻撃も蛇に当たった時は唸り声をあげたのだ。ウルルはジャンプして蛇に爪を当てようとするがギリギリ届いていない。
「もう一度最初の奴来るよ!」
「先ほどより範囲は広がりそうですわね」
「ガゥッ」
息を吸っている間は攻撃のチャンスだが、判断を間違えれば前にいるサヤは焼かれてしまうだろう。木槍の祈りだけを一回発動して逃げる。
一回目と二倍以上の溜め時間を経てビーストキメラはフィールドの半分近くを埋める火を吐いた。念のため背後に回っていたサヤは助かった。
そこから十分後、攻撃パターンが分かってきた所でビーストカメラのHPが半分を切った。
「後半戦へと入りましたわね」
「だね」
「グォォオオ!」
「グルルルル!」
ボスは鳴き終わると羽で少し浮いて滑空するように突撃して来る。狙いはウルルとニャイアルだったが予備動作が多いためギリギリで躱すことに成功する。
速度はビッグボアの突進よりも数倍早いがスキルと敏捷値によってまだ戦えていた。だが気を抜けば全滅は避けられないだろう。
「また何か来るよ!」
「通常攻撃も避けづらくなってますわね……」
少し苦戦しながらもニャイアルたちは何とか追い詰めていくのだった。
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