表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラノベ窟のヘヴィーな廃人  作者: 広江宇一
58/70

第58話/五章-⑦

「この……ウンコ製造機がぁぁぁぁぁあ!」

薄暗い教室に銀髪少女の怒号が響き渡る――


純文学作家を目指すも挫折し、国内でも珍しい文学科を備えた高等学校『高村学園』に就職した和久井耀は、文芸部の顧問を任される。しかし、待っていたのは通称『ラノベ窟』。ライトノベルをこよなく愛する変人の巣窟だった。


新進気鋭の女子高生プロライトノベル作家に囲まれ、『ラノベ窟』の非常識な活動に翻弄されながら、耀は至高の作品を書き上げることができるのか――!?


【登場人物】

和久井耀わくいよう     高村学園常勤講師

那津川紗里緒なつかわしゃりお  執筆ジャンル:王道ファンタジー

紺野響こんのひびく     執筆ジャンル:男性向けラブコメ

ユピテル      執筆ジャンル:MMORPG中心

卍風理まんじふうり     執筆ジャンル:異世界転生モノ

小早川優奈こばやかわゆうな  執筆ジャンル:女性向け恋愛小説


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


☆一日一話、朝11時に定期更新☆


↓完結済みの過去作品もどうぞ↓

『国宝級イケメンの俺様が幼馴染彼女のストーカーに襲撃されたら、稀代のブサメンに生まれ変わっていた件 ~かくも人生は美しい…… ※ただし、イケメンに限る~』

https://ncode.syosetu.com/n0781ha/

『JK空海、吉備路を駆ける』

https://ncode.syosetu.com/n2890gw/


 週明けの終礼後、俺は校長室へと呼び出されていた。

 朝から嫌な予感が、死神の如く付きまとっている……。


「……どうやら虎の尾を踏んだらしいな」


「……はぁ……」

 校長の思わせぶりな第一声に俺は、すぐに反応できず情けない声を晒した。


「……君たちが何をしたかは知らない……が、いい加減にしてくれ。理事会が動き出している。この後、那津川氏が訪ねてくると、連絡があった。総合文芸部の件で、と……」

 晴彦の行動は機を見るに敏だった。

 いや、ホテルに現れた時点で、根回しは終わっていたのかもしれない。


「そこで、だ。那津川紗里緒くんを説得したまえ。お父上の言う事を聞くように、と……」

 いつになく真剣な眼差しの校長は、まっすぐに俺を見据えている。


「……私が言っても聞かないですよ。彼女には彼女の考えがありますから……」

 説得なんてできっこない……。耐え切れなくなった俺は、早々に俯いて目を逸らす。


「そうか……ならば、どうなっても知らないよ。私は迫りくる火の粉を振り払うのみ、だ……」

 背を向けた校長は鷹揚に手を振って、退室を命じた。




「……理事会は……マズい……」

 校長室での顛末を聞き流していたツグミは短く呟き、落ち着かない様子で薄く唇を嚙む。


 皆の注目は自然と一人の少女へ向かった。そんな視線に気づくことなく、机を睨みつけた紗里緒は立ち尽くしたまま、閉じた口をめいっぱい歪ませている。


 その時、ノックされた扉が、声を返すより先に打ち開かれた。

 姿を現したのは一人の女生徒。腕には、風紀委員の腕章が嵌められている。女生徒の後ろから大柄の男がぬっと姿を現す。那津川晴彦だった。傍らには校長の姿もある。


「作戦会議は済んだかね」

 晴彦は薄笑いを浮かべながら、部室へ足を踏み入れた。


「では、風紀委員長。お願いします」

 そう言って晴彦から目配せされた女生徒は頷き、ゆっくりと前へ進み出る。


「そこのあなた……本校の生徒じゃないですね?」

 その鋭い瞳が優奈を捉えている。


「……え……ええっと……あの……」

 嘘が下手な優奈の逸らした目は、誤魔化しようなく泳ぎ続ける。


「彼女は来年、本校の入学を志望する生徒です。先行して部活動に参加しているだけです」

 うろたえる俺よりも早く、響が落ち着いて応じた。


「いつからこの部はインカレサークルになったのですか? 本校関係者以外の立ち入りが禁止されている事は、もちろん知っていますよね? 紺野部長?」

 風紀委員長は毅然とした態度を崩すことなく、冷たく吐き捨てる。


「俺が……許可したんです。軽率な判断でした」

 やっと状況を呑み込み、言葉を吐き出すも、遅かった。


「……紺野部長には責任者として、一週間の自宅謹慎を命じます」

 一瞥を加えたのみで俺を無視した風紀委員長は、粛然と処分を言い渡す。


「この部の実質の責任者は私よ!」

 苦々し気に顔を上げた紗里緒が、風紀委員長を睨みつけ、叫ぶ。


「そうだとしても、校則によって名義上の責任者が罰されるのは当然です」

 当人には罰を与えず、周りからジワジワと締め上げていく……紗里緒には一番効くだろう。


「わかりました。この度は、申し訳ございませんでした。私の監督不行き届きです。謹慎が明けましたら、心を入れ替え、二度と同じ過ちを犯さないよう努めます」

 今にも飛びかかりそうな紗里緒を左手で制しつつ、響は深々と頭を下げる。


 しかし、話はそこで終わらなかった。


「……校長。お願いします」

 続けて晴彦は、校長へ目配せする。


「……えぇーと、卍風理くん。キミ、入院の関係で出席日数が足りていないようだ。今後、放課後は補修となります。詳しくは担任の先生と相談するように」

 校長は、『それ見たことか』とでも言いたげな、澄ました顔で俺を見た。


「サノヴァウィッチ!」


 天を仰いだ風理は、意味不明な罵倒を残して膝から崩れ落ちた。


お読みいただき、ありがとうございます。

皆様の応援が執筆の糧です。


「☆☆☆☆☆」を押して評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ