表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラノベ窟のヘヴィーな廃人  作者: 広江宇一
37/70

第37話/三章-⑫

「この……ウンコ製造機がぁぁぁぁぁあ!」

薄暗い教室に銀髪少女の怒号が響き渡る――


純文学作家を目指すも挫折し、国内でも珍しい文学科を備えた高等学校『高村学園』に就職した和久井耀は、文芸部の顧問を任される。しかし、待っていたのは通称『ラノベ窟』。ライトノベルをこよなく愛する変人の巣窟だった。


新進気鋭の女子高生プロライトノベル作家に囲まれ、『ラノベ窟』の非常識な活動に翻弄されながら、耀は至高の作品を書き上げることができるのか――!?


【登場人物】

和久井耀わくいよう     高村学園常勤講師

那津川紗里緒なつかわしゃりお  執筆ジャンル:王道ファンタジー

紺野響こんのひびく     執筆ジャンル:男性向けラブコメ

ユピテル      執筆ジャンル:MMORPG中心

卍風理まんじふうり     執筆ジャンル:異世界転生モノ

小早川優奈こばやかわゆうな  執筆ジャンル:女性向け恋愛小説


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


☆毎日、朝11時に定期更新☆


↓完結済みの過去作品もどうぞ↓

『国宝級イケメンの俺様が幼馴染彼女のストーカーに襲撃されたら、稀代のブサメンに生まれ変わっていた件 ~かくも人生は美しい…… ※ただし、イケメンに限る~』

https://ncode.syosetu.com/n0781ha/

『JK空海、吉備路を駆ける』

https://ncode.syosetu.com/n2890gw/


 祝杯だとでも言わんばかりに、缶ビールを一口煽った優奈の母は、


「……優奈も、本当は気付いてるんじゃないの?」

 自分の娘ではなく、チラリと俺を一瞥した。


「……どういう……ことです?」

 唖然として金魚のように口をパクつかせる優奈を横目に、俺は聞いた。


「だって、優奈、和久井先生の事、好きじゃん?」


「え……?」

 頭の中が一瞬で真っ白になる。


「ひゅっ……」

 優奈の口からは空気の抜けるような音が洩れた。


「だって、昨日から和久井先生の話ばっかするし、今日の様子を見てたら確定でしょ。優奈は恋愛ができない訳じゃない……その予兆に気づいていないだけ。解決、解決! これで安心して高校へ行けるね!」

 ビシッと親指を立てる母の前で、優奈は顔を真っ赤にして口を戦慄わななかせている。


「先生も満更でもない感じだしー、優奈の事を理解しようとしてくれてるしー、ウチまで来るくらいだから脈アリっしょ。王子様が迎えに来てくれて、良かった良かった! 結婚は……年齢的に無理か。とりあえず、許嫁(仮)ってことで!」

 ノーガードの優奈に言いたい事を全てぶつけると俺へ向き直り、どうぞよろしく、と三つ指ついて頭を下げる。


「……え、でも……」

 今度は俺が口籠る番だった。


「なに? ウチの娘じゃ不服だって言うの?」

 頭を上げた優奈の母は、ドスの利いた声で俺を睨みつける。


「……イエ……デモデスネ……」

 思わず片言になってしまう。


「じゃ、あたしと結婚する?」

 急に笑顔を輝かせると、俺の左腕に抱きついた。


「……ハ、ハイィ……?」


「そうすれば、みんな幸せでしょ? 先生には可愛い娘と息子ができるし、優奈もずっと先生といられるし、あたしも満たされるし……イロイロと、ね」

 少し火照った顔と、前かがみになった事で露わになる鎖骨が、妖しく俺を誘惑する。


「ダメーーーーーー!」

 今度は空いていた右腕にしがみついた優奈が、叫んだ。


「先生は……私と結婚するんだから!」

 えぇー! なんかうまく丸め込まれているような……。


「冗談よー冗談。あたしも彼氏できたから付き合えないしー」

 彼……氏……?


「え⁉ お母さん、またなの⁉」

 また……?


「今度は長続きするよー」

 今度は?


「もう職場恋愛で破局して転職とかやめてよね! そのせいで私……」

 そういえば転職を繰り返しているとか、紗里緒が言ってたっけ。


「ごめんごめん。もう大丈夫。今回は友達に紹介してもらった人だから」

 そういう問題か⁉


「お母さんの恋愛遍歴を見てるから、私……いつも一歩を踏み出せなくて……」

 ……全部、この母親のせいじゃねーか⁉

 恋愛上手の母に恋愛下手の娘……。確かに、この母を反面教師にした優奈の判断は間違ってはいない。


「わかった、わかった。悪かったって。今度は大丈夫。人の心配より、自分の心配をしたら? ま、先生は未婚だし、彼女がいない事もリサーチ済みよ。安心なさい。ここまでお膳立てしないと奮い立たないなんて、本当に私の娘かしら……」

 あなたのような歴戦の猛者からすれば、誰しもが初心者ルーキーですよ……。


「あのー……俺の意思は……?」


「先生も軽々しく家庭の問題に首を突っ込んだ責任は取らないとね。ま、お試し期間ってことで、高校三年間はよろしくぅ!」


「ふ、不束者ですが……よ、よろしくお願いします……」

 二組の対照的な瞳が俺を見つめる。


「先生……お父さんになるの? それとも、お兄ちゃんになるの……?」

 風呂上がりのかなたが、扉の隙間から羨望の眼差しを向けている。


「……お友達からでお願いします……」


 辛うじて言葉を捻り出した。


お読みいただき、ありがとうございます。

皆様の応援が執筆の糧です。


「☆☆☆☆☆」を押して評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ