37 人外少女?
19時更新間に合いませんでした…!申し訳ありません!
「なにそれこわい」
思ったままの声が思わず飛び出た。いやだって怖いだろう。買いに来た女の子が人じゃないなら、なんだって言うのか。私は神様も幽霊も信じているのでホラーな展開は全力で怖がらせていただくぞ。
「……顔がな」
「顔が……?」
「整い過ぎてんだよ」
「…………うん?」
文章がいきなり理解出来なくなってしまった。
顔が整い過ぎているから人間ではないかもしれない、とは。
表情が動かな過ぎて機械人形かもしれないだとか、そういった類の例しか頭に浮かばないので素直にチェンの言葉が続くのを待つことにした。
「世界一美しい女の子だ、って見た瞬間に思っちまった。あれは、女神様か、天使が人間に化けてるんじゃないかと思う」
極真面目にチェンは考察をしているが、私は心の中でツッコミを入れる。
『いやそれその女の子がチェンのド好み過ぎて一目惚れしただけでは?』
通りで様子がおかしいわけだと一人納得し、チェンに好意を向ける数多の女の子たちへ心の中で手を合わせた。
チェンは見目良し、少しぶっきらぼうなところもあるが真面目で、グラマトの女の子たちから人気があるのだ。
然しこの様子だと、其の天使のような美しさを持つ女の子とやらは此の街の子ではないのだろう。街の子ならば、チェンがまだ出会っていない確率はほぼほぼなくなるからだ。
「女神様でも天使様でも、一人のかわいい女の子でも、私の木彫りを求めてくれるのは嬉しいよ。それで、いつ来るとか言ってた?」
「あー、いや、『また来る』としか。名前も聞いてなかったな……」
相手が子供で、作品を売るかどうか未定だとしても、お客様になるかもしれない人の名前をチェンが聞いていないのは初めてのことだ。
いや、まだ私もここに来始めて十日だが。少なくとも其の間チェンがこういったミスをしたのは初めてみた。
とは言え、驚きはしたが日中はほぼ誰か一人は此の作業場にいるし、明日からはターニャさんが昼を持って来てくれるから一層作業場が留守になることはないだろう。
そうだ、ターニャさんのことをチェンに話さなければ!
私はいつ来るか分からない美しい女の子と木彫りの猫の為、早めにカゴを編まなければなと心に決めながらチェンに明日からターニャさんが昼を持ってきてくれることを報告した。




