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25 誰だ?


ワンさんから木彫りを習う話が纏まって一晩が経った。

其の日の内に行く気満々だった私と、案内する気満々だったワンさんだが、ターニャさんに『パキラくんは保護者さんに、ワンさんはチェンくんに話しておきなさい!』と待ったをかけられたからだ。

なんでもワンさんのところには『チェン』というお弟子さんがいるらしい。

確かに師匠が急に子供を連れて来ても困るだろう。騒がしくするつもりは毛頭無いが、苦手な人もいるだろうし。



今日から作業場へお邪魔することになり、夜まで居座ってしまうかもしれないので神父様には帰宅が遅くなる可能性があると伝えておく。

私の用事は友人三人とのもの以外ならば大概神様関連ということになっているので、神父様は特に深入りせずに了解してくれた。


一度赴いたことのある土地なので今回は自身の転移魔法で向かってみる。

自室からグラマトの街外れへの転移は問題が無かったが、室内に居たはずなのに転移をすると外にいるのがどうにも慣れない。

あと今回は忘れなかったが、たまに靴を持っておくのを忘れて帰宅することがある。



「ワンさんは朝から来ていいって言ってたけど……」


朝食を食べてすぐは流石に早かっただろうかと、ターニャさんに描いてもらった地図を頼りに作業場へと向かう足を止めぬまま呟く。

まあ早過ぎたなら作業場の前で待たせて貰えばいいか。

地図に描かれた作業場兼ワンさんの自宅だという建物に辿り着く。石造の頑丈そうな建物だ。


「そこは木じゃないんだ……」


勘当される程木彫りに熱中したのにと若干首を傾げながら、正面から作業場へと向かう為に庭へ踏み入れる。敷き詰められた砂利が鳴るのがなんだか懐かしく感じた。

意図的に砂利を敷き詰めてある場所は此方の世界に来てから初めてかもしれない。


「……誰だ?」


そういえば庭に砂利を敷き詰めるのは、踏んだ時に音が鳴るから人の侵入に気付きやすくなるという防犯の為だったっけ。

作業場らしき場所から顔を出した少年と顔を見合わせながら、私はそんなことを思い出した。

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