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21 圧迫陳列


壁に並ぶ木製の棚は私の背丈で見上げると天井に達しているのか否かも分からない程に高く、上何段かは商品が陳列してあるのかも目視出来ない。

今ここで地震に見舞われたらまず間違いなく私は生き埋めになるだろう。

いや、前世では家具と壁の隙間を埋める防災グッズもあったくらいだから、木棚と天井が近過ぎて寧ろ倒れてこなかったりするだろうか。……あ、駄目だ。結局商品に埋もれる予感しかしない。


恐るべきことに店内の壁四辺全てが商品棚で埋め尽くされているのだ。

棚に埋められていないのは先程私たちの入ってきた橙の扉と、その反対側の壁にある着色されていない扉、あとは窓が一つだけだ。

ただその窓と扉も渋々残したのかもしれない。なにせ窓の上下左右、そして扉の上と左右は棚で埋められているのだから。


棚は一つずつ整理されているが何しろ扱う品が多過ぎる。小さいものは指輪から、大きいものは私の背丈以上ある犬の木彫りだ。

ごちゃごちゃ言ったが、綺麗な魔窟といった雰囲気で私は好きだ。



「こういう店、皆も好きかな」


ここに連れてくる、というのは難しいかもしれないが、……何か買って帰ったら喜ぶだろうか。


どうやって手に入れたのか聞かれたら、神様パワーで手に入れたと言えばいいだろう。神様は万能なのだ。


人に送ると思って商品を見るとまた違った楽しみがある。

イセンなら珍しいものが好きだし、メリアはかわいいものが好き、ラナンは頑丈だったりシンプルなものが好きだ。

それに該当する商品を探しあまりに膨大な品数の雑貨屋内をあっちこっちしては気になった品は手に取るが、中には一体どういった用途で使うのかサッパリ分からない品もあった。


「それは球体パズルだよ、パキラちゃん」

「ターニャさん、戻ってきてたんですね!」


いつの間にか戻ってきていたらしいターニャさんが私の隣へ並び、木で出来た球体を手に取る。

指を球体に這わせ少しすると球体が幾つかのブロック状に崩れた。それに私は目を見開いて驚く。


「ね?」

「すごい……!えっ、だってこれ、木の模様とか一致してましたよね!?」

「そう!正に職人技よね!!この職人さんのパズルは平面のもあるんだけど、こっちも木の模様が続いてるように見えるし繋ぎ目が分からないの!だからまるで木の板のように部屋に飾れるのよ!」


木の板は部屋に飾らないけど、それはすごい!前世でも繋ぎ目が分からない商品はあったが、確か金属でしか見たことがなかったように思う。

ターニャさんに球体を差し出され、再度表面を確認するが繋ぎ目も模様の乱れも分からない。木からそのまま丸くくり抜いたようだ。

関心しきり球体がどうやったらバラバラになるのか試そうとするが、ターニャさんのやったように分かれてくれない。

試している内に、私の腹が『ぐう』と鳴いた。



「あ」

「あ、っと、そうだ。ご飯温め直したよって呼びに来たんだった。行こっか?」

「あはは……、はい。ごちそうになります!」

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