神様と私
はじめての小説投稿なので、おかしなところがあったら申し訳ございません!
『全略、あなたは死んでしまいました』
間の抜けた顔を晒しているであろう私に、その物体はそう宣った。
どこから問うべきなのか、頭がうまく働かない中で私は辺りを見回す。
どこまでものっぺりと続く白、遠近感も無く、どこを見回しても白白白白……。
真っ白な壁があるわけではなく遠くまで其の白は続いていそうなのに、何処まで見渡しても奥行きを指し示す影は無い。
『急に死んじゃったから、まだぼんやりしてるかな?大丈夫?』
また謎の物体が話しかけてくる。
謎の物体…、これは人、なのだろうか?
大きさとしては自分と同じくらいの背丈に見える。ただ姿は分からない。
姿が分からないというのは、相手が透明だからという訳ではなく、その姿が隠されているからだ。
想像してみてほしい。
頭の上に天使の輪っかを浮かべ、置いてある金のフラフープの中央に立つ、そうして天使の輪とフラフープの間を真っ白な布で繋ぐ。
2つの輪が上下にある、末広がりな筒状のカーテンの完成だ。
これが私の目の前にいる物体である。
その筒状のカーテンは、トリックがあるのか無いのかは知らないが浮いており、よく見ればカーテンの下からは黒いブーツが覗いていた。
とりあえず足はあるらしい。
「ええと、……大丈夫…いや全然状況飲み込めてないな、大丈夫じゃないです」
『はは!だよねえ!いいよいいよ、僕は寛大な神様だからゆっくり現状把握してこう』
「神様……?」
愉快げな声に、また間抜け面を晒す。
然し、浮くカーテンに真っ白すぎる空間に加えて、元より幽霊も神様も異形も『いるんじゃないかな』と信じるタイプだった為か相手の言葉に否は浮かばなかった。
ただただ何がどうなってこの状況になったのか、私は記憶を手繰る。
この状況になる前の記憶が無い。それは昔、うっかり半身浴後にのぼせて気絶してしまった時に似ていた。
自分で『眠ろう!』と意識していた訳ではないのに意識が途切れると、目覚めた時にはどうして自分が床に転がっているのか分からないものだ。
これを読む貴方にも是非入浴時には気を付けて欲しい。入浴前にも後にもきちんと水分補給をしよう。
……話が脱線した。
最後の記憶を改めて手繰り寄せる。確か今日も仕事で、特に大きな要件は無くて、そう、仕事は普段通り終えたんだった。
その後は、と考えたところでブワッと記憶が蘇る。
そうだった。仕事も終わり帰宅しようと車へ近付いた時に、急に車の陰から誰かが飛び出してきて、それで、
『そうそう。その人に刺されて、キミ死んじゃったんだよね』
いや、軽く言うなあ。
「え。ていうか今私口に出てました?」
『いや?神様だもん。心ぐらい読むさ』
心読むのか。すごいな神様。
でも成る程、現状がだいぶ理解できてきた。
『キミが落ち着いててくれて助かるよ。自分が死んだって気づいたとたん阿鼻叫喚ってのもあるからさあ』
「いや、まだ頭の処理が追いついてないというか……。実感が湧かないというか。……そういえば、私を殺した人は誰だったんです?」
『ああアレ?キミは知らない人だよ。なんかねー、人違いだったんだって』
「は?」
『キミね、人違いで殺されちゃったみたいだよ』
人違い!?
もしや誰かに恨まれてたのかなとかチラッと考えて悄気かけた私の純情を返せ!
「ってか、なんだそれ!?理不尽すぎません!?」
『あはは、結構理不尽だよねー。この世界。でさあ、そんな理不尽な目にあったキミにイイ話があるんだ』
顔は全く見えないのに、神様がニッコリと笑ったように見えた。
『キミ、ハーレム系男主人公と逆ハー女ヒロイン、どっちになりたい?』