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Act.Ex

誤字報、評価、ブクマ等ありがとうございます!

何か誤字が多くてすみません。


 私の名前はティア。

 まあ、自由にいろんなところを回ってるBランク冒険者よ。基本ソロで活動してるんだけど、勧誘が多いわ。

 何というか視線でどういう感じで見てるのか大体わかるから、余計に嫌な感じよ。中には本当に勧誘してくれてる人も居たけど、ソロが良いから丁寧に断ってた。


 まあ、エルフって言うのが珍しいのかしらね。

 それにこれでもBランクの実力はある冒険者だもの。依頼達成率も現状は100パーセントだ。


 でもだからと言って油断してるつもりは無かったんだよね。ちゃんと、周りを警戒してたし……。


「はあ、やられたわ……」


 荷物を奪われた。

 お金とかいろいろと全部入ってるリュックが消えていたのだ。いつの間に、と思ったところでもう遅い。


「どうしよう……」


 急に不安になってきた。

 いや、良く強気なエルフとか言われてたけど、私はそんなに言われるほど強気なんかじゃない。むしろその逆で、私はどちらかと言うと弱気の部類に入る。


 奪われたリュックの中にはお金とかも入っていたのに、これじゃ無一文だ。宿にも泊まれないし、買う事も出来ない。


 地図も失ったので、街がどの方向かが分からない。これは完全に詰んだ……荷物を地面なんかに置かなければ回避できたのかもしれない。


「もうすぐ日が暮れるわね……」


 空を見上げれば、太陽はもう沈み始めており、夕方になりかけていた。魔法が使えるのが幸いかもしれない。





 荷物を奪われてからどのくらい経ったか分からない。

 ハッと気づけば、なぜか森の中を彷徨っていて、一体私は何を考えていたのか分からない。空腹とめまいがちょっときつい。


「……お腹すいたなあ」


 水魔法が使えるので、水には困ってなかった。この時ばかりは本当に水魔法を使えて良かったと思ったよ。

 いくら水があるとは言え、やっぱりお腹は減る。水だけで生きていくには限度がある。


 かといって、森の中にある木の実やキノコはどれが食べれる物かが分からない。この状態で毒なんて食べたら死ねる自信がある。

 いや、本当に……なんで私は森なんかに入ってるのよ……。


 まだ街道をふらついていた方が良かったかもしれない。でももう後の祭り……どこの森のどの位置に居るかなんて分からない。

 魔物も時々襲ってくるけど、魔法で全て倒す。この時、冷静に考えれば風魔法か精霊魔法で空から見れば良かったなあ、って思う。

 その時の私は空腹とかで脳もあまり動いてなかったのかもしれないわね。


 で、どの位経過したかは分からないけど、少なくとも月と太陽が三回は登ったと思うけど、覚えてない。


 ……何故なら私は、そのままついに力尽きて気を失ってしまったから。



□□□□□□□□□□



「おーい、ティアさん」

「え? あ、ごめんなさい」

「どうかした?」


 こちらを心配そうに見てくるのは空腹やらで倒れていた私を助けてくれたアリスだ。


「ちょっと、空腹で倒れた時の事を思い出してたわ」

「そうなんだ。家の近くで倒れてたのは驚いたね。エリシアちゃんが見つけてなかったら大変だったかも」

「そうね……エリシアちゃんにも感謝しないと」


 空腹とかで気を失って、次に目を覚ましたのはベッドの上だった。アリスとエリシアちゃんが運んでくれたらしく、治癒魔法もかけて貰った。


 あのまま、誰にも見つけられなかったら私はきっと死んでいたと思うわ。改めて感謝しないといけないわね。


 特に目の前のこの子……アリスには。


 アリスは私の事情を話すと、何かと色々としてくれたのだ。

 部屋を使わせてくれたり、武器を買ってくれたり、服を買ってくれたり……無一文になってしまった私を助けてくれた。

 更に言えば、荷物を取り返してくれたり、犯人を懲らしめてくれたりなどもしてくれた。無事荷物も戻って来て、本当に感謝しかない。


 ストレージが使えない私は、荷物は自分で運ぶしかない。勿論、重すぎては支障が出てしまうので、リュックに入れる物も色々と考えるしかない。

 荷物が奪われた時だって、もしストレージが使えてたら奪われずに済んだかもしれないのだ。

 こればっかりは、ストレージが使えない自分自身をちょっと恨んだ。まあ、そんな事しても意味がないっていうのは分かってる。


 荷物を手放して、地面に置いてしまったのが失敗だったのかもしれない。背負ったままならもしかすると、助かったかもしれないし。

 まあもう過ぎた事だから、今更後悔しても意味がないんだけどね。


「ティアさんこそ、名目上は護衛ですけど……冒険者活動できないのは嫌なのでは?」

「前も言った通り、ソロ活動に戻ってもまた勧誘が来そうだし、こっちの方が気が楽よ」


 好条件すぎるのも問題だけどね。

 でもまあ、それを言った所でアリスは妥協とかしないと思うから何も言わないけど。

 こうやって家の家事だとか、水の提供だとか、それらを普通にしてるだけで毎月お金が貰えるのだから、冒険者やるより安定収入を選ぶわ。

 正直、今までいろいろとお世話になったからお金も要らないと言ったんだけど、それは突っぱねられてしまった。


 これをしてる間は依頼を受けてるってことになるからマイナスにもならないし。それに、アリスに言えば街に連れて行ってくれるので依頼を受けることも出来る。

 正直、転移魔法を使えるのは驚いたわ。あの魔法って結構難しいらしいじゃないの。ストレージならまだ使える人はいるだろうけど……私は使えないが。


 毎日何回もポンポン転移してるのを見ると、アリスの魔力量もかなり多いんだと思う。しかも、武器は両手で持つ大鎌……。


 アリスの容姿は非常に可愛い。同性である私から見ても可愛いと素直に言える。

 綺麗な銀髪に青い瞳、白い肌。身長も低めだけどこれで15歳……てっきりエリシアちゃんと同じくらいかと思ってたわ。


 ちょっと変わった服もまた似合ってる。

 全体的に見ればメイド服に近いのかな? 色は青と白と黒だけどね。それからずっと首からぶら下げてるお洒落な時計も気になるわね。


 まあ、そんな華奢な身体であの大鎌を振り回すし、転移魔法は使える。しかも光と闇魔法が使えると来た。

 光は治癒魔法が使えるし、攻撃魔法も使えてる。闇魔法の方も見せてもらったけど、色んなのを使えてたわね。

 特に闇属性に属する重力魔法……あれはやばいわね。重力を強くされたら立ってられないくらいになるわ。


 で、そんなアリスが戦ってるところを私もそうだけど、エリシアちゃんも見た事がないらしい。

 時々、魔物を狩りに行ってるから戦っているのは確かなんだけど、どの魔物も綺麗に首を落とされてるのよね。


 解体も出来るみたいだし、本当にこの子何者なのかしら。


「アリスはずっと一人だったの?」

「いきなり質問変えてきたよね。……まあ、エリシアちゃんと出会う前までは一人かな」


 そう答えるアリスはどこか遠い所を見ているような目をして、何処か寂し気な表情を見せる。

 時々あるのよね……この子が遠くを見ている時が。エリシアちゃんも何度か見てるらしいし。


 単に遠くを見ているだけなら良いけど、そんな感じでは無さそう。私としては色々とお世話なった子だから、あまり詮索はしたくないのよね。

 エリシアちゃんもそのつもりは無さそうだし。


 多分……アリスはまだ隠してることがある。それも一つや二つじゃないと思う。


 とはいえ、まだそんな事を聞ける程仲が良い訳じゃないわ。私はアリスと勿論、エリシアちゃんにも感謝をしている、今はそれだけで良いわね。



二章、生き倒れのエルフ少女はこれにて完結です!

ここまで、読んでいただき、ありがとうございました!


三章については申し訳ありません。

手がつけられてない為、時間が空くかと思います。

宜しくお願いします。


もし宜しければこちらも見て頂けると喜びます。↓


TS魔法少女リュネール・エトワール!

https://ncode.syosetu.com/n8400gy/

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― 新着の感想 ―
[一言] なかなか面白いというか好感の持てる内容の作品だね。魔法少女よりもこっちの方がいいと私は感じた。 この流れ方だと、アリスは記憶喪失説で話を進めて世界に旅に出るって感じがいいんじゃないかな。 …
[良い点] とても面白くこちらのシリーズも読ませていただきました これからも頑張ってください [気になる点] この作品の次の更新はいつくらいになりますか?
[一言] 完結って言葉いつ見ても「びくっ」ってなる
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