表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/33

一段落……?

めちゃくちゃ久しぶりの更新です。

これからも更新は不定期ですが、見ていただければ幸いです。

「おや、びっくりしないのか。残念だ」


 いたずらに成功した子どものように笑う。

 そんな彼女に呆気にとられるも、炎さんは「しかしそうか」と何かに納得したように肯いた。


「どうやって鋼鉄兵器を入手したのかは謎だったが……まさか君の母親からの受け継いだものとは。いやはや、興味がつきないねぇ」

「炎姉様、お怪我のほどは大丈夫なようですね」

「ああ。千代が介抱してくれたからだろうね!」


 すごくハキハキとしたいい笑顔だ。とても少し前まで倒れてた人には見えない。

 だけどこの状況は、まずい。

 そもそもこの人は本来、千代さんを追いかけてきた忍者だ。そして今は俺たちの前にいる。


「うんうん、戦闘終了後にも兵装を解除しないのはいいことだ。千代も彼の名前を言わずにいることも評価点だ。さすが私の妹。けれども……」


 シン、とほんのひとときだが静寂が流れる。

 身体に緊張感を取り戻させて、いつでも動けるように整える。


「なんでそこの彼を主人様とか言ってるんだい!?」


 が、想像とはまるで別方向の言葉が発せられて思わずこけてしまった。

 ちょっと待て、何を言っとるんだこの人。


「炎姉様、私が誰を主人様としようと私の勝手です」

「いーや、どこの馬の骨としれない男を主人扱いしているなんて姉として、上司として認めないよ!」

「お言葉ですが、私は抜け忍です」

「連れ戻すから抜け忍じゃありませんー! 残念でしたー!」


 先ほどの空気はどこへいったのか、唐突な姉妹喧嘩が始まり思わず頭をおさえる。

 さっきまであのムカデ女と殺し合いをしていたはずなのに、そうとは思わせない雰囲気の切り替え方には素直に感心するけども。

 はぁ、と俺がため息をつく間に二人の口論は続いていく。罵詈雑言、というほどのものではないが年相応と言った空気だ。

 まぁ根幹は千代さんが戻らない、連れ戻す、の平行線だから決着はつかないのは目に見えている。


「あの、とりあえず千代さんも炎さんも落ち着いて」

「了解しました」

「彼には物わかりがいいのが気に食わない」

「そんなこと言われてもなぁ」


 困った顔をせざるをえない。千代さんは俺の前に立って炎さんを心なしか警戒してるし……

 溝があるのはわかった、炎さん側は千代さんを連れて帰りたいのが真意だというのもわかった。処罰はあれど、処刑などする気はないだろう。


「ともあれ今回は互いに引くということでいかがでしょうか?」

「へぇ。私を殺すという選択肢はないのかい?」

「やるんならさっき助けてないですよ」


 それに言わないだろうけど、千代さんもきっと助けるだろうし。


「まぁいいさ。今回は命を助けられたから貸しとして受け取るよ」


 別に貸しとかはどうでもいいのだが、向こうが納得してくれるならそれにこしたことはない。

 それに、炎さんなら『優先順位』をこれ以上間違えることはないだろう。


「小山の件は完全に私の落ち度だ。早急に残った部下二人にも伝えるさ」

「そうしてください。では俺たちはこれで。千代さん、行こう」


 かしこまりました、と千代さんはうなずいた後、炎さんに視線を移して一言だけ、本当に小さく述べた。


「……自分の御命を大事になさってください、炎姉様」


 なんだかんだで、炎さんを心配しているんだな。

 なにはともあれ、と俺たちは炎さんを残してビルを後にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ