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70.延長戦の方針

富士谷000 000 200=2

都大二000 000 002=2

【富】堂上、柏原―駒崎、近藤

【都】田島、相沢―岩田

 9回裏、二死三塁のピンチを凌ぐと、明治神宮野球場は整備休憩に入った。

 グラウンドキーパー達は各塁の付近へ。一方、両チームの選手達は、ベンチからグラウンドを眺めていた。


「柏原この後もいけるか? それとも堂上に戻すか?」

「このままで。一発でたら終わりですし、数イニングなら明日にも響かないっすよ」


 俺は畦上監督とヒソヒソ声で言葉を交わしていく。

 とりあえずピンチは脱した。いったん堂上に戻すという選択肢もあるが……やはりサヨナラのピンチは怖い。

 ここは俺が続投する。流石に15回までは続かない筈だ。


「分かった。後は託すから早めに決めてくれよ」

「勿論っす。俺の予想なら11回に試合が動くんで、そこで自分で決めます」


 そして、恐らくだが……勝負が決まるのは11回の攻防と読んでいる。

 お互いに10回は7番から。となると、11回は上位からになり、高確率で4番の転生者に回る。

 俺が決めるか、それとも相沢が決めるか。勝負のターニングポイントなのは明らかだった。


「(って思ってるんだろうなぁ。こっちの方が下位に打力ある分、10回の攻防は有利だけど……やっぱ俺達に回る11回だよね)」


 ふと、三塁側ベンチの相沢と目が合った。

 彼は相変わらずニコニコしている。その余裕たっぷりな表情は、余力を十分に感じられた。


 相沢もリリーフな分、バテた所を叩く展開には期待できない。

 俺が相沢を攻略して勝つ。この形しか考えられなかった。


「グラウンド整備、ありがとうございました!」


 やがて整備が終わると、両校はグラウンドに向かって一礼した。

 これから10回の攻防が始まる。先ずは10回表、富士谷の攻撃から。

 先頭打者の近藤は二球目を打ち上げたが、中橋は少しだけ粘りを見せた。


 やはりというべきか、相沢は根本的には送球難の選手だ。

 制球にはバラ付きがあるし、ボール球が続くシーンも珍しくはない。

 結局、中橋は見逃し三振で打ち取られたけど、フルカウントまで粘って球数を稼いだ。


 続く戸田は空振り三振で三者凡退。

 攻守が入れ代わり、10回裏の守備に入っていく。

 此方は常にサヨナラのピンチと向き合うが、俺は全力投球で抑え込んでいった。


 出塁を許して球数が増えたら本末転倒だ。

 狙うは三球三振、あわよくば初球をドン詰り……という気持ちで投げ込んでいく。

 田島はファーストフライ、室井はショートゴロ、そして――。


「ットライーク! バッターアウト!」


 戸谷は152キロのストレートで空振り三振。

 3人合わせて計8球、本気ながらも省エネピッチで10回裏を終わらせた。


 これで11回の攻防は両チーム共に1番から。

 一人でも出れば4番に回る。走者を置いた場面で打てるか、4番の真価が問われるイニングだった。


 周回の重みが勝つか。それとも――少女の命が勝つか。

 遂に迎えて延長11回、勝負の明暗が分かれようとしていた。


富士谷000 000 200 0=2

都大二000 000 002 0=2

【富】堂上、柏原―駒崎、近藤

【都】田島、相沢―岩田


ちょっと最近忙しくて更新やコメ返しが遅れてます。

できるだけ頑張りますが……すいません……!

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