12.こんにちキューバ
地の文の日付は日本時間。
時差があるので、向こうの時間だと日付が半日遅れ?になるらしいです。
2011年12月23日。
東京選抜の御一行は、カリブ海にあるキューバ共和国を訪れていた。
ちなみにキューバの言語はスペイン語。その昔、スペインの植民地だった時代もあったらしい。
「どうしよう……スペイン語なんて習ってねぇよ……」
「大丈夫やろ。スペイン語って英語と似とるらしいし、そもそも大半の施設は英語使えれば問題あらへんて」
「まぁ英語も出来ないんだけどな」
「なんやねん! 習っとるのもダメやないか!」
そんな言葉を交わしているのは本多(東山大菅尾)と宇治原。
彼らはU-15日本代表の同期なので仲が良い。こういう時、人脈があると馴染むのに有利だと痛感する。
国内練習は最初の招集も合わせて計7日間。
それだけの時を共に過ごせば、なんとなく選手達のキャラやノリというのも掴めて来る。
宇治原は関西人らしく誰にでも絡んでくる陽キャ。本多はどちらかと言えば大人しめの印象だった。
「ヘイ、ハロー! マイネーム イズ セイヤ アライ!
「無暗に絡むなよバカ! すいません、コイツめっちゃバカなんで!!」
「その謝罪たぶん通じないぞ」
宇治原以外で陽キャなのは新井(二本学舎大附)あたりか。
二俣(徳修)や北潟(成律学園)など、同じ東東京の面々と一緒の事が多い気がする。
「うーん、キューバの文化は分からないなぁ。海外に来たのも初めてだから分からん」
「お前は何なら分かるんだよ……」
基本的に何も分からないのが後田(明神大仲野八玉)、ボソッとツッコミを入れてるのが伊東(帝皇)。
後田は物凄くバカっぽそうに見えるけど、選抜メンバーの中ではトップクラスの学力を誇るらしい。
と、全員を挙げたらキリがないが、そんな感じで仲の良い人らで固まるようになってきている。
その中で、俺と行動をよく共にしているのは――。
「柏原ァ! テメェはクールぶってるけど英語クソ苦手だったよなァ! おォん!?」
「キューバの女も悪くねーじゃん。ナンパしようぜナンパ」
「俺はナンパ出来る程イケメンじゃないからなぁ」
土村、宮城(国修館)、久保(八玉学園)の府中本町シニア3人組である。
俺を含めて4人組と言うべきか。なんにせよ、非常に面倒臭い土村と居る時間が長くなっていた。
「ってか宮城は彼女いたろ」
「甘めぇわ竜也。そこに良い女が居たら関係ないんよ」
「おい柏原ァ! 図星だからって無視してんじゃねェぞゴルァ!!」
「土村は柏原に絡むのホント好きだねぇ」
土村死ね、と言いたい所だが、英語が出来ないのは図星なので強くは言い返せない。
こういう時、恵みたいなコミュ力があればと思わされる。そうすればシニアの同期にも頼らずに済んだと言うのに。
ちなにみ総括おじさんこと相沢は木更津にご執心中。
そして意外な事に、堂上も木更津に付きまとっている
ライバルの司令塔という事で、探りも兼ねて絡んでいるのだろうか……。
あと知り合いと言えば周平だが、彼は木田と大宮(早田実業)に夢中のようだ。
どうやら同じスラッガーとして色々と話を聞きたいらしい。
大食いなだけの大宮は兎も角、キチガイの木田に自ら絡みに行く姿勢には脱帽である。
とまぁ、選手の親交関係も固まってきた中で始まったキューバ遠征。
今年はこのメンツでクリスマスを過ごす訳だが……来年こそは琴穂と過ごしたいと心から思う。