表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Religionists -狂信者たち-  作者: Omiztaman
三世因果
2/2

Introduce

「やぁ、ようこそ神の間へ。

まぁ、君の所の神ではないけどね。」


男は何を言われているのか理解出来ずにいた。

意識が朦朧としているからなのか、はたまた突拍子もない事を言われたからなのかは定かではない。


「うーん、このままだと会話も出来ないか…

じゃ、とりあえず意識をハッキリさせてあげちゃおう!」


女は、えいっ!と軽く男の頭を叩く。

すると真っ青だった男の顔に生気が戻った。

唇には色が戻り、あらぬ方向を向いていた視線もようやく見るべき場所を見つけたのか女を顔を下から捉えている。

朦朧としていた意識も、打ち水をされたかのようにハッキリとした。

体に怪我などはしていないようだ。


ここで男は気付く。妙に寝心地が良いなと。

少し暖かく、程よく弾力がある。うなじにはシルクのようなキメの細かい肌の感触が。これが噂に聞く膝枕なのだと男は本能、いや下心で悟る。


眼前には女の顔。そして暴力的な大きさの胸が微かに鼻頭に当たっている。

そして思う。巨乳は好きだ。巨乳は良い。ただこれはどうだろうか。J?いやKはあろうか。男は下心で見定める。

ただ、これはいささか大きさが下品ではなかろうか。いや、これはこれでアリなのではないか。

きっと未体験の感触がそこにはあるのだろう。頼んだら少しだけ触ら…


「へぇ、この状況でエロい事考える余裕があるんだ。肝が、座ってるねぇ」


見抜かれていた。


まずいまずい。こんな時にこんなこと……ここまで考え、男は気づく。今はどんな時だ?

一体ここはどこで、自分は何をしているのだろうか。


男は身を起こし、辺りを見回す。

周囲はどこまでも無機質な空間だった。

ただ360℃全て真紅に染まっていた。

広くもあり、狭くも感じられる。床と壁と天井の境目が認識できない程の赤、赤、赤。


そしてやはり男が頭を乗せていたのは眼前の女の膝枕の上だった。人生初の膝枕だった。


「失礼しました。心地よかったもので。

ここはどこでしょうか?貴女は?」


少し戸惑いのある声で男は問いかける。


女は首筋までの短い黒髪を人差し指で遊びながら、少し笑みを浮かべて男に答える。


「いや、私も久々に人間と触れ合えてよかったよ。

んー、私は…厳密には名前は無いんだけど……良ければアトゥルって呼んで。

んで、ここは神の間って言うの。世界とは隔離された空間なんだ。

まぁ、私の家みたいなとこかな。」


男は聞き慣れない単語と説明に戸惑いを隠せない。

ふと、男は女の頭上に二本の角らしき物を見つける。

そして、理解する。ははーん!この女はコスプレをしているのだ。設定を他人にも押し付ける可愛そうな小娘なのだと。

ならば話は早い。どこに帰るかは分からんが、とりあえずここから出よう。目がチカチカしてきた!


「アトゥルさんですか。はじめまして。お見苦しい所をお見せしてすみません。

素敵なコスチュームですね。その二本の角なんてまるで本物みたいですよ。

ご迷惑おかけして恐縮ですが、そろそろお暇をしたいのですが、出口はどちらですかね?」


「えーと、出口はないよ。

私が許可しない限りは出られない。

あと、この角たちは本物!

ふん、初対面なのに失礼ね!」


男は未だ状況を飲め込めずにいる。

意識混濁で目を覚まし、見知らぬ部屋に入れられ、爆乳小娘の膝枕で起き、その小娘は二本の角を生やしていて、許可がないと帰さないと監禁をされている。これなんてエロゲ?


「あれ、そもそも俺なんでこんな所にいるだろ……」


訳がわからず、つい独り言を漏らす。


「はぁ、もう私から説明するわ。今は理解出来ないかもしれないけど、気にしないで。どうせ忘れるから。

えーと、あなた……神居登かむい のぼるは、第27世界で生きていた人間種なの。

んで、36才の時に撲殺されてる。

でも、極端に反神性だったからあっちの神が転生させたくないってことで、私の所に送られてきたの。

つまり、国外追放みたいなもんね。

いやぁ、27の奴ってば心が狭いのよ!ちょっと否定されたからって転生させないなんて!

てなことで、私の管理してる04世界で転生させる予定なわけよ。

ま、難民受け入れみたいなもんね。

さ、何か質問は?」


気づけば男は再び気を失っていたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ