人形(ヒトノカタチ)
崩れ落ちた殻の欠片を拾い集めて、涙で繋いだ。
漏れ出た空虚をかき集めてその内に押し込めた。
そうして出来上がったつぎはぎだらけのちぐはぐな人形が、世界を瞳に映した。
伸ばした手は世界の一部を隠した。
踏みしめた足が世界にその存在を記した。
積み重ねたそれを過去と呼んで人形は同じ行為を繰り返した。
その繰り返しを生きると呼んで人形は世界を目に焼き付けた。
立ち止まらずに歩み続けた。
振り返らずに進み続けた。
終わりは何処に。
始まりは何処に。
人形はただ生き続けた。
その意味も解らぬまま。