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ラフィの【成長】2

あ、そうそう。

作者は、記憶力は良いほうだと思います。しかし……『思い出す力』に欠けていますw。

なので……知らない間に、他人様のネタをパクっている場合がありますので、その折はご一報ください。

いやこれホント……マジなんですw マジでご報告くださいwww


   『スキル【早熟】が発動されました。

    クラス【テイマー】を取得しました。

    【調教】(魔獣テイム可)を取得。

    【慈悲の心】(回復力微上昇)を取得。

    【慈悲の心】は【大慈心】に統合されました。

    【鞭】が装備可能になりました。』


   『スキル【早熟】が発動されました。

    クラス【ギャンブラー】を取得しました。

    【戦略眼】(判定テーブルが五〇パーセント以下の時警告)を取得。

    【天運】(幸運値上昇)。

    【運天】(判定テーブルが一〇パーセント以下の時自動発動し、成功確率が倍になる)。』

 

   『スキル【早熟】が発動されました。

    クラス【鍛冶師】を取得しました。

    【鍛冶】(武具作成・武具修復可)を取得。

    【ハンマー】が装備可能になりました。』


   『スキル【早熟】が発動されました。

    クラス【商人】を取得しました。

    【鑑定】(アイテム鑑定(限定:金額)可)を取得。

    【値引き】(商品購入時金額軽減)を取得。

    【ぼったくり】(商品販売時金額上昇)を取得。』


   『スキル【早熟】が発動されました。

    クラス【錬金術師】を取得しました。

    【錬金】(アイテム合成可)を取得。

    【錬金知識】(アイテム鑑定可)を取得。

    【鑑定】は【錬金知識】に統合されました。』



『はわわわわ………』

 俺はめまぐるしく切り替わるメッセージウィンドウに、目を回していた。

 何か、恐ろしいメッセージが表示されている。

 恐ろしいメッセージが、恐ろしいほどのスピードで次々表示されている。

 ……ていうか、スキル【早熟】、どうなってんの!!??

 恐ろしくてステータスウィンドウを確認する暇もないが……凄まじい勢いで【クラス】と【スキル】を獲得しまくっている。

 【クラス】と【スキル】……俺はこの世界の【取扱説明書】や【攻略本】を持っていないので何とも言えないが……【転生の女神】が【ゲームのよう】といったこの世界。

 だとすれば……そのままの解釈をするべきであろう。

 行動の結果に大幅な補正をかける【スキル】と、その【スキル】獲得とステータスに補正をかける【クラス】。

 【スキル】の有無でできることとできないことは変わってくるし、どんなスキルが獲得できるかは【クラス】次第………ざっくり言えばそんなところだろうか。

 ゲームにもよるが、基本的には修得できる【クラス】は一つか二つだろうし、【スキル】もその【クラス】に関連付けされたものしか取得できないはずだ。

 だが今の俺は……【スキル】も【クラス】も、バンバン取得していた。

 その契機は…………今、俺は母親の胎内にいるのだが……その外の世界で今行われていることに起因しているらしい。

「おお………さすがは【聖女】様の【回復魔法】じゃ!!


 今まで悪化を防ぐだけだったんじゃが……今は完全に治ってしまったぞい!!」

 感激した様子の男(たぶん)の声に、【聖女】as俺のお母ちゃんが優しく応じる。


「……ふふふ。 まだ【回復魔法】による治療の途中ですよ」


 静かな、それでいて暖かい口調で言う【聖女】as俺のお母ちゃん。

 その目の前(たぶん)にいるのは、先ほどまで苦しそうに呻いていた男(たぶん)だった。


「今使っているのは……上位の【回復魔法】なのです。

 確かにあなたの症状は通常の回復魔法【状態異常回復】ではなかなか回復できません。


 しかしこの【状態異常回復☆☆☆トライブースト】は……取得はできるのですが、扱いが難しいので……使える方が少ないのが現状なのです」


 そういって【聖女】as俺のお母ちゃんは苦笑(たぶん)を見せていた(たぶん)。

 どうやら【聖女】は、【回復魔法】による【施療】中であるらしかった。


 よほど腕がいいのか、【聖女】は短時間で次々と、患者を入れ替えて【施療】していた。

 そしてどうやら……俺は、【聖女】が【施療】した対象一人一人の【クラス】と【スキル】を、ガンガン取得しているらしいのだ。


 実際、先ほどの【錬金術師】を名乗る男の施療中にクラス【錬金術師】を取得、【商人】を名乗る女の施療中にクラス【商人】を取得している。 もちろんそれに付随して【スキル】も。


 頑固っぽい口調の患者からは【鍛冶師】を、人付き合いが苦手そうなオドオドした患者からは【テイマー】を。

 それはもう次々と次々と……まさしくこれを【チート】というんだろう。


 わっはっは、まさにあまたのスキルとクラスをもって【俺TUEEE】【俺SUGEEE】である。

 きっと俺の将来……数多くのスキルを駆使してハーレムの頂点を極め、すべての強敵たちを欠伸交じりのワンパンチ、がっぽり稼いであとは子孫を量産するばかりに違いない!!!

 ただしそれは……『誕生後も取得したクラスやスキルをすべて持ち出せ』て、『健康な体』で、『成長するまで死なずに済んだら』、の話である。


 そもそも『まだ生まれていない』俺……大量の【クラス】や【スキル】獲得は本当にゲームみたいでうれしいし楽しいが……それが『誕生後に本当に自分のものになっている』とは限らないのだ。


 もしかしたら……本当は誰しも今の俺のように、【胎児】の状態で大量の【スキル】や【クラス】を獲得しているのかもしれない。 つまり……これが 【普通】 なのかもしれない。

 にもかかわらず世に『一般人』しかいないのは……たとえば出産時にその中から【選択】するのかもしれない。


 また………誰しも今の俺のように、【胎児】の状態で【前世】の記憶を持ち、例えば【出産時】にすべての【記憶】がリセットされるのかもしれない。


 【前例】を知らないし、そもそも【前例】があるかどうかもわからないのだ。

 こればっかりは………よその【胎児】に直接アンケートをして聞いてみるしかないな!!



 つまり、現時点では【俺TUEEE】なのか【俺HUTUUU】なのか『全く確定していない』ということだ。

 『前世の人格を持った胎児というのは実は一般的で、そのほとんどの人にその記憶がないということは……妊娠中、あるいは出産とともにその人格は失われるのが一般的』なのかもしれない。

 要は、『今の俺の状態』は、【早熟】云々はまったく関係なく、【普通】なのかもしれないということだ。



 それどころか……角度を変えれば、こういう見方もできる。


 『やはり『今の俺の状態』は異常で、【早熟】によって大量に【クラス】や【スキル】を持っているのはあり得ない………つまり【過負荷】である』と。


 【過負荷】であると言うことは『度を過ぎた負荷』ということであって……それが『何かに悪影響を及ぼすかもしれない』、ということ。

 大量に【クラス】や【スキル】を獲得するのはいいが、現時点で、それを手放しで喜べないのだ。


 それにそもそも……今のこの現実離れした状況、これが【夢】かもしれないのだ。


 我ながら猜疑心が強いと思うが………ええ。

 【前世】では……せっかく手にした幸運を指の隙間から逃がすような出来事、何度もありましたから。

 人間、ある程度生きてると慎重に……懐疑的になってしまうこともあるのですよ。

 無条件の幸福を信じられない、ということですよ。


『………………』


 俺は無意識にため息を(ついたつもりで)ついていた。

 と………その時。

 【聖女】が誰かに、気遣うような優しい口調で口を開いていた。


「………はい、施療は完了です。 お疲れさまでした」


 そう言うと【聖女】の体が、俺の体ごと大きく動く。

 同時に、俺の目の前に、もう一度メッセージウィンドウが表示された。


   『スキル【早熟】が発動されました。

    クラス【死霊術士(ネクロマンサー)】を取得しました。

    【死霊術(ネクロマンシー)】を取得。

    【ゾンビ作成(クープードル)】(ゾンビ作成可)を取得。』


『おい!! 次の患者、【ネクロマンサー】かよ!!

 ていうか、【ネクロマンサー】が教会(たぶん)に来るなよ!!??』


 俺は思わず突っ込んでいた。

 厳密には【ゾンビマスター】と【ネクロマンサー】は別物らしいが……どっちでもいいよ!!


『ねえ……教会なんか来て大丈夫なの? 体とか、溶けちゃうんじゃないの?』


 差別も区別もする気はないが……俺は思わず目の前の、どっちかといえばダークサイド系のはずの男(たぶん)の身を案じてしまっていた。

 目の前の男(たぶん)は【聖女】の言葉に応じる。


「おお……なんという奇跡じゃ!!

 あまたの薬師、修道士がさじを投げたワシの病が治るとは……ありがとうございます!!

 ありがとうございます!!」


 よほど感激しているのか、大きな声が震えている……それは俺の体にもビリビリ伝わってくる。

 だが俺は………あることが気になっていた。


『…………【病】?』


 思わず(誰も聞いていないが)問い返す俺。

 男は続ける。


「感激ですじゃ……まさかワシの病が治るとは。 まさに【奇跡】!!

 いや………【奇跡】はその貴女様の【御業】のことではありませんぞ!!

 今までの薬師や修道士たちはワシの体を【触るのも拒んで】おったのに!!


 この『病に侵され醜く爛れた』ワシの体を……【聖女】様は構わず【触れて】くだされた。

 『洗ってくだされた』……これこそが【奇跡】!!

 斯様かように慈悲深き【聖女】様、そのものが【奇跡】じゃあああああ!!!」


 そう言って男はそのまま号泣してしまった。

 【聖女】asお母ちゃんが身体に直接触れて治療してやったのが、よほどうれしかったらしい。

 ……ああ、これ……モテないやつが女の子に惚れてしまうパターンや。


 女の子の中には割とすぐ誰とでも仲良くなれる子がいて、そういう子って割とボディタッチとか平気でしてくる。 笑いながら腕を組んだりしてきて、そう言う時に……軽くオッパイが当たったりとか。

 そういうのが、【孤独心】というか【童貞心】に超響くのだ。 ……もしかして、俺に惚れてるんじゃないかとかなんとか。


 あと……病人として弱ってるときに、人の優しさというのはかなり響く。

 これらの相乗効果により……【信者】や【ストーカー】というのは生まれいずる。


 かくしてウチのお母ちゃんは【信者】ないし【ストーカー】を抱えることになった……かどうかは知らない!!


 それはさておき。

 この状況……なんか、日本史の授業で聞いたことがあるような。

 光明皇后の逸話みたいな話だ。


 大仏建立でおなじみ聖武天皇の皇后であり、仏を厚く信仰し、悲田院ひでんいん施薬院せやくいんの設置を説いて孤児や病人の救済を目指した光明皇后。


 その施浴の話は有名であろう。

 夢で見た仏の勧めに従い、貧民が無料で入れる【功徳風呂】を建てて一〇〇〇人の体を洗ってやったところ、一〇〇〇人目の病の老人が仏様であったという有名な逸話だ。


 ……まあその仏様は、周囲を金色に光らせたというだけで、お金をくれたわけでもチートパワーをくれたわけでもないんだけどね!!!


 ………あれ?

 そういえば、その一〇〇〇人目の老人って…………!!


『まさか……天然痘か!?』


 俺は思わず(叫べてないけど)叫んでいた。

 思い出したのだ……光明皇后が身体を洗ってやった病の老人は……【天然痘】に罹患していたのだ。


 【天然痘】。

 それは疱瘡や痘瘡とも呼ばれ……ファンタジー物のラノベでも時折登場するウイルス性の伝染病。

 地球においても近代に撲滅宣言が出されるまで、日本史や世界史に強い影響を与えた伝染病である。

 日本史や世界史同様、ファンタジー系ラノベにおいてもたいていは【種痘】というチート知識で解決されるが、致死率二〇~五〇パーセントの恐ろしい病。


 わかりやすく言うなら……学校で四〇人編成の教室があったとして、八人から二〇人が死亡するわけである。 そう考えれば恐ろしい致死率だ。


 とはいえ……まあ、俺の目の前において【状態異常回復☆☆☆トライブースト】などという【奇跡】で片づけられてしまったわけだが。


 しかし。

 男(たぶん)は【病】といった……薬師や修道士たちが【触るのも拒んで】いたと言った。

 それってつまり………【伝染病】ってことじゃないのか!?


『おいいいいいいい!!!!

 妊婦が伝染病患者に触るなよおおおおおお!!!』


 渾身の俺の突っ込み。

 しかし【聖女】は……自らのお腹にやさしく触れるだけだった。


「うふふふふ………ラフィ、今日も元気ですね」


 そう言って、お腹越しに俺を撫でる【聖女】……撫で続ける【聖女】。


『いやいや、元気ですね、じゃないから!!!

 病人を前にこんなこと言うのは気が引けるけど………せめて消毒してええええ!!!』


 元気も何も……俺は激しい突っ込みを続けていた。 突っ込み続けていた。


 と……その時。


「あ………」


 【聖女】が不意に……小さなため息をついた。

 そして続く言葉は……俺の思考を完全に停止させていた。


「破水………しちゃいました……」


 破水とは……子宮口が解放されてそこから胎児を包む羊水がこぼれだすさまを言う。


 つまりそれは……出産の合図。


 あれ……ちょっと……早くない!!!???

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