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二番煎じの転生者  作者: きゅうとす
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彼と魔法の秘密

前転生者はどんな人物なのか


魔法とは何か

承章1 始まりの村 アデル④


僕の名前は八神直哉。

どこにも居る普通の中学生だ。でも、転生者だ。


僕の前にアデルの村を訪れた彼の事をメリダさんは話し始めた。


その頃、まだこの村にも宿屋が一軒だけどあったのさ。”始まり亭“ってベタな名前だけど20人弱位泊まれる宿だったのさ。そこにある時ふらりと男がやって来た。そいつが彼さ。

あたしは会ったことが無いから伝聞だけど、身長は170センチ位、髪はシルバーブロンド、瞳はエメラルドグリーンの結構逞しい感じの男だったそうだよ。ただ、口調は礼儀正しかったけど高圧的な物言いだったらしい。

「俺様的な?」

薄く笑いながらメリダさんは肯定した。

彼はナオヤと同じように始まりの木の所に転移して来たと言ったそうだ。信じられない話だけど転移魔法を使えたらしいよ。転移魔法なんて勇者レベルの高等魔法なんだけどね。暫く“始まり亭”に逗留していたんだけど、あれを取ってこい、これを寄越せって言っているうちに風呂が無いじゃないかって話しになって、風呂に入りたいなら東のナラブ山脈の麓まで行きなと言われて怒ったのさ。全く無理な事を要求するものさ。

でも彼の魔法は半端なかったよ。”始まり亭“の裏庭に面した所には共同の身体拭き場があったんだが、その前に風呂を造ってやると言い出したんだ。土魔法で窪みを造って底を岩のように固くして水が溜まるようにしたら、木魔法でもって柱と屋根を生み出したんだよ。普通に建てたらそれだけで10日は掛かったものをものの2時間と掛からなかったらしいよ。

水も自分で魔法を使って満たし、火魔法でお湯に変えたらしいさね。

自分が入った後なら好きに使って良いよと言われたんで宿主も初めは怒っていたけど泊まり客からお金を取ってホクホクだったみたいだよ。

「露天風呂ねぇ~」

自分も入りたかったなあとと言うとメリダさんはあたしは一度だけ行ったよと得意そうに言った。メイも一緒だったけど覚えちゃあいないよね。

他にも彼のアドバイスでメイと母親の働いているノワールでデザートを開発したこともあったようさ。あたしは食べたこと無いけどね。

「今も食べられますか」と聞くと、材料が無くなって作れなくなったようだよとメリダさんは答えた。

それを食べたメイクンは村の運営で彼にアドバイスを求め始めたのさ。

初めのうちは専門外だと遠慮していたらしいけどその内自分のアドバイスに従わない事に腹を立てるようになってね。メイクンも手を焼くようになったらしい。報酬も法外な金額を要求されたみたいだよ。こんな小さな村の予算なんて高が知れてるのに、長期的な面倒を見る事を条件代わりにやりくりして払うようにしたらしい。


でも、1ヶ月を越えた頃から姿が見えないことが多くなって来てとうとうある日この村を出て行くと宣言したのさ。

そりゃまあ、彼のお陰で儲けた奴も居たけどメイクンを始めかなりの者達が損害を受けたのさ。始まり亭もその内の一つさ。風呂のある宿屋として人を集めたは良いけど彼の力を借りないときは人足の給金などで赤字になっちまってね。それでとうとう倒産さ。


かなりの騒ぎになってね。全てを清算したのはメイクンさ。損害を賠償させようと彼の所に行った時には時遅しでねえ。彼は何処かに消えていたのさ。


そのせいでこの村には宿屋がなくなって、身元知らずは村に置かないように、村の誰かの家に泊める事になっているのさ。ナオヤは良かったねえ、メイと知り合っていたから家に泊まれたからねえ。さもなきゃ村外で野宿さ。


「彼の魔法は土、水、火、木と転移と他に何が使えたんですか?」

メリダさんは他にも使えたらしいけど詳しくはわからないと言う。でもそのレベルは高くて、エクストラまで行っていた魔法もあったらしい。

「剣とかはどうだったんてしょう」と聞くと使っているのを見た者は居なかったから魔法だけだったようだと言った。

「それで彼の名前は何です?」と聞くとメリダさんは皆が言わなくなったから忘れたよと笑った。

皆が彼としか言わないからね。

結局、前転生者の名前は分からなかった。


メイちゃんが大人しいから横を見ると座ったまま眠ってしまっていた。メリダさんがメイちゃんを寝かしつけてから僕はメリダさんに本を借りて質問をした。

「魔法って何ですか?どうすると強くなるんでしょう?」メリダさんの答えは考えた事も無いね。これが魔法だよって教えられているから考える前に使っているよ。魔力を高めるには沢山使うことじゃないかいと言う事だった。

僕は蔦魔法を使った時に感じた魔素の仮定を話すとそれは魔力じゃないかいと言う。魔素と魔力を分けて考える考え方が分からないようだった。

メリダさんによると魔力は大人になるまでに少しずつ増えて大人になると増えたりしないものらしい。魔法を覚えるのも小さい内だけで適正があるんだそうだ。英雄アデルでさえ全属性魔法は出来なかったと言う。始まりの村アデルは英雄アデルが起こした村だそうだ。

魔法適正は魔法石に手を触れた時に光る色に依って分かるらしい。メリダさんの所にも魔法石は有ったがとても小さかった。直径で5センチもなかった。僕が手を翳すと虹色に薄く輝いて、メリダさんは驚くやら笑うやらだった。虹色なのは全ての魔法が出来ると言う事だけど薄い色では初級しか出来ないと言う。魔法使いには成れない。生活魔法を使うのがせいぜいだそうだ。だから魔法を頑張っても無駄だということだった。


だが、僕の魔素の仮説が正しければ大人になっても魔力は増える、初級でもただ強いだけの魔法より使い勝手は上がる。

その実証を明日から自分の身体を使ってして行こう。


始まりの村での僕の生活が始まる。


果たして魔素仮説は実証出来るのか?

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