彼と上位魔獣と
不気味な彼です。
さらに強敵、上位魔獣デモンオーガ現る!
承章4 学術都市ディービアの陰謀⑥下
いよいよ“彼“との対面です。胸がドキドキの八神直哉です。一体どんな奴なのか、ちょっと怖いです。
フードの男はおもむろにフードを下ろした。ここからは顔は見えないが髪の毛の色とか確認できる。
あれ?色を見ているのに何色か認識できない。
認識阻害の魔法か魔導具を使っているらしい。
クラン疾黒の女神の幹部の男はでっぷりと太った髪の毛が黒ずんだ金髪でおかっぱのような頭をしている。
フードの男はなにやら幹部の男に話しかけているが聞こえているのに何を話しているのか分からないと言う状態だ。
突然幹部の男が僕の方見て叫んだ。
「そこの男達、居るのはわかっているぞ。
出てこい!」
どうやら天井近くで潜んでいるのを感知していたらしい。
僕が飛び降りると続いてクリエ&サリエ双子姉妹もついて来た。
小声で油断しないように注意をする。
認識阻害の効果を確認するためにクレイモアに小声でフードの男が感知出来ているか訊いてみる。
どうやら出来ていないらしい。本当にそこにいるのだろうか?
フードの男がこちらを振り向いた。男は長身で180センチくらいありそうで、黒目黒髪に見える。認識阻害されているから正しいのか分からない。
男が僕に何か言っている。
「##&#*@?::*;§※」
音まで認識阻害されているとは恐れ入る。
しかし、幹部の男にはわかるらしい。通訳して怒鳴る。
「お前らが何者か知らんが俺はクラン『疾黒の女神』の百薬斎セイと言う。
彼が言うには“なにやら探っているようだが無駄だ。“
と言っているぞ。」
ニヒヒヒヒと笑う。
どうせ始末するから名乗っても平気だと思っているのだろう。
やはり目の前の男が彼のようだ。なんとか捕まえたい。さっきから魔素ボールを飛ばしてみているが何故か突き抜けて彼の身体に入っていかない。
クレイモアもそこに存在していないと言うのだから幻体なのだろうか?
それとも催眠に掛かっているのだろうか?
クランの幹部セイにも魔素を弾かれている。
何とか打開したい。
僕は魔素を充填したナイフを彼に投げてみた。
彼のいるところで少しスピードが落ちただけで変化なかった。魔糸をコントロールして方向を変えてセイに飛んで行くようにしてみた。
セイの両脇にいた男達に簡単に防がれた。
むう、一体彼はどうなっているんだ?
不意に彼が笑った。
「###*#@*※@?、§&##*!」
彼から得体の知れない波動が広がる。
なんとなく闇魔法かなと感じられた。
すると、後ろから殺気が僕めがけて飛んできた。
クリエ&サリエ双子姉妹が彼に操られたのだろう。僕に攻撃を仕掛けてきたので魔法で反撃した。
2人の額からボンと音がして、頭が揺れて崩れ落ちた。
僕の“デコピン魔法“だ。
額から少し血が滲んでいるが後でヒールを掛ければ治る。
後ろも見ずに僕は取り敢えず訊いてみる事にした。
「彼女達に何をした?」
セイが彼に代わって答えてくれた。
「これは驚いた。狂わないとは。
何か魔導具で対策しているのか?
その指輪か?」
どうやら彼の魔法で僕たちを狂わそうとしたらしい。
彼がセイに向かって何か言った。
「※※※#&?**」
ゆらりと彼が消えた。
現れた時と同じように転移したらしい。
消え方がどうも転移でないような気がする。
さっぱりわからん。
「お前達の始末は任されたから殺してやるぞ。
やれ!」
セイは両脇の男達に声を掛けて、さっさと自分は倉庫を歩いて後にする。
追いかけたいが、倒れている2人を放って置けないし、僕の前で変化してゆく2人も離してくれなさそうだ。
メキョメキョと音を立てて姿を変えて行く。
驚異的に大きくなって人間でなくなってゆく。
あの姿は魔獣デモンオーガらしい。
セイの右側にいた男の頭に右側から角が生えてくる。左側の角があるべきところに呪符らしきものがひらひらしている。
セイの左側にいた男は左側の角が伸び、右側に呪符があった。
角を折って呪符を貼ることでセイのコントロール下にあるらしい。
デモンオーガ
種別 上位魔獣
北森海に住むと云われる魔獣。体高3~5M。知能が高く、武器防具を装備する。動きはやや遅いが防御力が高く、打撃でダメージを与えるのは難しい。魔法も使うのでレイド50の対象とされることも多い。人化して街中に隠れ住む者もいると言われている。
ステータス
HP:?
MP:1103、1100
SPP:35、30
SKP:43、40
火魔法中級
バーナー
バーナーボール
スキル
人化
身体強化
バーナーブレス
鑑定の結果から2匹を単独攻略するのは無理と判断、倒れている2人を戦力に加えるべく、ヒールをかける。
2人がもぞもぞと起き出した。頭を振りつつ、立ち上がる。
「「一体何が起きたの?」」
ユニゾンで問いかけられた。
「敵だ!手が足りないんだ。左のデモンオーガを牽制しておいて欲しい。倒す必要は無いけど、連携されないように引き離してくれ。」
出来る、出来ないではなく、それくらいはやれないと困るのだ。
余り理解出来ていないようだったが戦う気力はあるようだった。
2人が黙って頷いた。
変化を終えたデモンオーガがのそりのそりと近づいて来ている。
牽制の為にファイヤーボールを幾つか放つ。
魔法に気を取られている内に縮地で近づく、デモンオーガが腕を伸ばして、こちらを掴もうとするが、更に身体強化でスピードを上げて、天走で空中に駆け上がる。
そのまま天井を蹴り、デモンオーガの真上に逆さまに移動して、インベントリーから暗器飛来針をデモンオーガの目にむけて5つ飛ばす。魔素をたっぷり含んだ飛来針は高速回転をしてデモンオーガの顔に突き刺さる。
いまだ!!クレイモアに集光砲を撃って貰う。0.1秒のレーザーが屋根を突き破ってデモンオーガの左目を中心に頭を焼き尽くす。
すかさず、魔素ボールを頭に叩き込み、ファイヤーボールに変えて、デモンオーガの頭を爆砕する。
ボン!と音がして、デモンオーガの頭から脳みそが噴き出る。
ズスンと左のデモンオーガが前のめりに倒れた。
ズォーン
僕はひらりとデモンオーガの上に降り立った。たった数秒の出来事だ。
クリエ&サリエ双子姉妹が馬鹿みたいな顔をしてこちらを見ていた。
右のデモンオーガが2人の目の前に近づいているのに動かない。
舌打ちをして僕は2人の足元にファイヤーボールを打ち込み、無理やり引き倒す。今度は2人とも吹き飛ばされて後頭部を打ちつける。辛うじてデモンオーガの振り切った左手を避けれられた。
打ち所が悪かったのか立ち上がって来ない。またもや、気絶したらしい。
なんか使えないなあ
デモンオーガは相手が気絶していても構わないらしい。今度は2人を蹴り飛ばそうと右足を後ろに引き、吠えた。
がおぉーん
再び暗器飛来針を3本飛ばす。
びひゅっ!
と音を立てて飛んでゆき、デモンオーガの軸足に辛うじて突き刺さる。
そして、デモンオーガの額に穴が開いた。
あれ?クレイモアが僕の狙いと違うところを撃った。暗器飛来針が目印になっている筈なのに?
誰も見ていないから大丈夫かな?
額の穴から魔素ボールを押し込み、先ほどと同じように頭を爆砕してやる。
今度は後ろに倒れ込んだ。
ドガァーン
と嫌な音がした。
何とかデモンオーガを倒せた。
クリエ&サリエ双子姉妹に近づき、再びヒールを掛け、近くに腰を掛ける。
もぞもぞ動き始めるのに先ほどより時間が掛かっているようだ。
もう、敵は残っていないから大丈夫だろう。時間は10時近いが動き回った割には腹は空いていない。
うう~ん
仲良く目を覚ました。
「大丈夫か?」
声を掛けるとぼーっとしていたが、次第に状況に気付いた。
「! デモンオーガはどうしましたっ!?」クリエが叫ぶ。
「僕の後ろだ。」
2人はデモンオーガが2体とも倒れているのを見て、ため息をついた。
「済みません。役に立てなかったようですね。」うなだれるサリエに
「いやいや、2人が1匹の気を引いてくれたから何とかなったんだよ。」
僕の言葉は2人に取って慰めにしか聞こえなかったようだった。
後片付けをするからと2人を先に返し、僕はデモンオーガ2体をインベントリーに収納してクレイモアに転送して貰って帰った。
クレイモアではセラが僕の戦いを見守ってくれていた。セラのハイヒールで体力は回復したが、魔素を大量消費したせいで気だるさが残っていた。
風呂でも入ろうかと立ち上がったその時、クレイモアを通じてジャロンから連絡が入った。
「悪い知らせだよ、ナオヤ殿。
アンガス・メフィス・メリカ王はクラン疾黒の女神を潰さないそうだ。物騒な集団だから注視はするが憶測だけでは無謀なことは出来ないそうだ。
これからラサメア辺境伯爵殿の屋敷に戻るが、ナオヤ殿はどうする?」
「このまま、クレイモアで休むことにします。」
と言って、失意を胸に風呂に向かった。
セラは声もなく立ち竦んでいた。
あっさりと倒されるデモンオーガ(笑)
魔法やブレス吐くまでもなく倒されてしまいました。




