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二番煎じの転生者  作者: きゅうとす
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何魔法?蔦魔法?

頑張り屋メイちゃんのお家編です。


ちょっぴり魔法の事も判明。


承章1 始まりの村 アデル②


僕の名前は八神直哉。

どこにも居る普通の中学生だ。

この世界には中学は無いけどね。


メイちゃんの案内で薬師をしていると言うおばあちゃんの家に行く。

何となくタバコ屋さんのような造りをしていた。窓から注文を受けて売るタイプの店らしい。


店舗横のドアを元気良くメイちゃんが開けながら叫んだ。「ただいま~ おばあちゃん」


失礼します~と小声で言いながら店の中に入ると、奥から「おかえりー」とメイちゃんのおばあちゃんが顔を見せた。


「メイ、誰だいこの人は?」

背負い篭を降ろしているメイちゃんにおばあちゃんが問い掛ける。


「あ、ナオヤと言います。森の中でメイちゃんに会ったので一緒に来ました。」

にっこりと言ってみた。そこにメイちゃんの説明が入る。


「おばあちゃん、メイはナオヤお兄ちゃんに助けて貰ったの~」


驚いたメイちゃんのおばあちゃんは何があったのかメイちゃんに聞いた。

メイちゃんがおばあちゃんに一生懸命にさっきあった出来事を話して聞かせた。


孫の言うことに驚きはしながらもメイちゃんのおばあちゃんは信用したようだった。

「そうかい、それはすまなかったね。メイの恩人だったのかい。

あたしの名はメリダだ。改めてお礼を言わせて貰うよ。」


店の中の椅子を勧めながらメリダは飲み物を用意してくれた。もちろんメイちゃんの分もだ。

「この村は初めてかい?」


「はい。アデルでしたね。宿屋とか近くにありますか?」一口飲み物を口にする。ただの水でなくて少し果汁が混じっていて微かに甘い。


どっかりと対面にメリダは座り答えた。

「宿屋は無いよ。でも、メイの恩人なんだからうちに泊まりな。」


「ありがとうございます。でも、良いんですか?見ず知らずの者を泊めても。」

と言うとメリダはじっと僕の目を見詰めて頷いた。


「これでも人を見る目はあるつもりだよ。小さいけど客間があるからそこを使っておくれ。」それ以上メリダさんは細かくは聞いて来なかった。多分凄く気にはしているのだろうけれど。

余計な詮索をされなくて助かった。


メリダさんの話だとメイちゃんのお母さんは食堂に働きに出ていて、お父さんは村の警備の仕事をしていて昼間はメイちゃんを預かっているのだそうだ。

メイちゃんは時たまおばあちゃんの手伝いで今朝のように薬草採りに行ってくれたりするのだと言う。

近くに住んでいるから良く預かっていると言う事らしい。


メリダさんは薬師の仕事があるのでメイちゃんが村の案内をしてくれる事になった。

お昼が近かったからかメイちゃんはお母さんの働いている食堂に案内してくれた。


軽食を扱う喫茶店のような店で名前を『ノワール』と言った。どこかで聞いた事があるような~?

中に入るといらっしゃいませ~と声が掛かった。

メイちゃんはパタパタ走って店の奥まで行ってしまった。


店内でテーブルを拭いていた女性が席を案内してくれたので、そこに座ってテーブルにあったメニューを見た。

ステーキやスープ、サラダに炒め物の名前が書いてあった。全部前に「オークの」とあったけどね。

オークがお薦めらしい。


メニューに驚いているとメイちゃんがお母さんを連れてやってきた。

やたらと恐縮するお母さんの計らいで食事が無料になった。腕時計を見るともう少しで12時になるところだったので、メイちゃんも一緒に食べる事になった。


メイちゃんお薦めのオークの炒め物とパンとスープでそこそこお腹いっぱいになる。


店内は次第に混み始めたので食事もそこそこに店を出た。メイちゃんは人気者で入って来たお客さんに声を掛けられていた。たまにお母さんのお手伝いをするので顔見知りが多かったみたいだ。


メイちゃんに本を売っている店か図書館は無いか聞いてみると、図書館は無いけど本屋はあるという。

だから、本屋に行くことにした。

本屋に行く訳は魔法の事を詳しく調べるためだった。

メイちゃんにそう言うとおばあちゃんに聞けば早いよと言われてしまった。


メイちゃんもおばあちゃんに教えて貰っていて水魔法の初級が使えた。家に帰ったら見せて貰う事にして本屋に行った。


本屋はこじんまりとしていて、余り本は置いて無かった。しかも凄く高い。薄い物でも金貨一枚はした。


本は全て手書きらしく、店に置いてあるのは店主か原本から写し書きしたらしい。

そんな本の中から一冊だけ金貨一枚出しても買おうかと思ったものがあった。「始まりの書」とあった。

どうやらこの世界の成り立ちを書いた神話のようだった。


僕の持った本を見てメイちゃんが言った。

「あ~、この本メイも持ってる~」

童話だった。


それから、メイちゃんの案内で村長さんの家とか魔法道具屋とかパン屋さんとかメイちゃんのお気に入りの所を回って歩いた。


魔法道具屋ではかなり興味を惹かれたが手持ちのお金が無くて諦めた。こっそり鑑定を掛けたかったが、ばれるとトラブルになりそうだったので止めた。


3時前と少し早かったがメリダさんの家に帰ることにした。遅くなって暗くなると村内でも危険があるらしい。

バッド蝙蝠とか人を襲う魔物が出ることもあるらしい。まだ、この世界に来たばかりだから自分の力は弱いのだ。

それともっと鑑定の力を試してみたい。


メリダさんも店を閉めて待っていた。

「あれ?メリダさん、お店は大丈夫ですか?」

「ああ、いつもこんなもんさ」左手をひらひらさせながら言った。


メリダさんはメイちゃんに「少し村長の所へ行ってくる。」と言うと頭を撫でる。

メイちゃんはうんと頷いて「ナオヤお兄ちゃんの事だね」と言った。


「いや、いや。あんたは店でメイと待っていてくれ。  何、大丈夫さ」心配顔の僕に「ちょっと村長に報告さ」と言った。


メリダさんが行った後、メイちゃんと僕は家の中に入った。待っている間にメイちゃんの水魔法を見せてもらうことにした。


メイちゃんはじゃあ見ててねと言って詠唱を始める。

「水の使い手メイが命じる、水よ我が眼前に姿を表せ。ウォーター!」

すると突き出した両手から水がどばっと溢れ出した。水は用意されていたたらいに溜まる。

ハアハア言いながらメイちゃんはこちらを見た。どや顔である。


「凄い、凄い。メイちゃん使えるんだね。」

パチパチと拍手してあげると嬉しそうな顔を見せた。


「まだ、小さいから他の魔法は教えて貰えて無いけど他にも適性はあるんだっておばあちゃん言ってた。」とメイちゃんは残念そうに言う。

「お兄ちゃんは魔法使えるの?メイを助けてくれたのは何の魔法?」


メイちゃんの言うことに僕は困ってしまった。あの時は夢中で何がどうしたのか分からなかったが、メイちゃんが魔法を使う様子から推測は出来た。だからメイちゃんに問い掛ける。

「メイちゃんが魔法を使うときどういう風にしなさいとおばあちゃんから聞いてるの?」


「えーとね、両手に魔力を集めて水に成れって念じろって言われたよ。」

つまり、蔦が伸びたのは僕の魔力が蔦を成長させる力になったのだ。正確には僕の腕の中の魔力を発揮させる何か(魔素と言うべきか)が集まって僕の念に呼応したという事だろう。

蔦は木の仲間だから木魔法になるのだろうか?えーと蔦は植物だから違うのかな?

「う~ん、どうだろう?木の魔法になるのかな?」

初めて見た魔法だからメイちゃんにも分からなかったらしい。


たらいに溜まった水を部屋の隅に動かしたメイちゃんは他に何か出来ないのと期待に満ちた目で見詰めて来た。



その時、ドアが開かれてメリダさんが帰って来た。後ろに一人の男を連れていた。




メリダさんが男を連れ込んだ~?


違います、誰でしょう。

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