二番煎じの転生者
起章2 スペシャリテな転生者
三者面談か?と思うような座りかたをして僕と神様とガライヤは顔をつき合わせていた。
「それで、ガライヤの世界の事を教えて下さい。」
ちょっとどぎまぎしながらガライヤに僕は言った。
「魔法は 火・水・風・木・土・光・闇 があるわ。これは属性と呼ばれるものね。」
うーん、定番だ。
「魔法のレベルは 初級・中級・上級・特級ね。」
うーん、普通だ。
「でも、ステータスは無いわ。」
え?どうやって自分のレベルを知るんだろ~?
「覚える魔法でレベルを知るのよ。 例えば ファイヤーは初級、ハイファイヤーは中級、バイファイヤーは上級、エクスファイヤーは特級ってね。」
使っているうちに発動するようになると言うことかな?
「概ねそうね。魔力が高くないと魔法は発動しないの。」
ああ、バイファイヤーって言っても発動しなかったらまだ上級じゃあ無いなって分かるわけだ。
「そういう事よ。 それから無属性魔法もあるわ。」
どんな魔法?
「例えば空間魔法の一つのアイテムボックスとかね。」
うん、必須。
「例えば心理魔法のコントロールとかね。」
え?それ知らない。
「自分の感情を抑えたり、他人を操ったり出来る魔法だわ。」
めっちゃ危ない魔法じゃない!!
「かなり特殊だから出来るのは従属神レベルね。」
従属神怖いわー
「それから、魔法じゃないけどスキルがあるわね。」
はあ定番だね。どんなのがあるの?
「遠視とか跳躍とか念話とかエスケープなどね。」
エスケープだけ英語かよ!
「それでどんな魔法を使いたいの?」
そりゃ全部だよ。
「うーん、全部使えるように調整すると・・・初級までしか覚えられないわ。それでも良い?」
な悩むなあ~
あ、そうだ。神器とか無い?
「あるわね。」
この時計を神器にしてインベントリー、プロテクト、マップ、鑑定を付けてよ。
「うぇ~~ 欲張りね。」
ありゃ全部出来るんだ(笑)。
これなら初級しか魔法が使えなくても何とかなりそうだ。勇者に成りに行くんじゃないんだし。
ガライヤは地球の神様を振り返って同意を求めた。
渋々と地球の神様は頷く。
あっ、それから言葉も読めて話せるようにしてね。
僕は地球の神様に向かって言った。
「身体はそのままなの?」
「いんや、そうは行かない。魔法を使う身体にしないといけないからそのままとはいかない。」
じゃあ、強化して貰えると良いなあ。
「ガライヤ、それくらいはお安いご用だろう?」
絵笑顔でガライヤは言う。
「むしろ、全属性にするなら肉体強化は必須だわ。」
身長体重は変えなくても良いから、あちらの世界に馴染める姿にしてね。それと、あれも向こうで使えるようにして貰えると助かるかな~
僕の視線の先には乗っていた自転車があった。
「使える所は限られると思うわよ。」
だって愛車だもん、手放したく無いな。
我が儘言い放題の僕に呆れ顔で地球の神様は
「前転生者の事は分かったことがあり次第連絡して欲しい。その時計に向かって話せば伝わるようにしておこう。」と言った。
「常に君の居場所は把握するつもりだ。 もし、君が力尽きたら強制的に転移させる。君をそのままあの世界に置いておくには問題あるからね。」
はてな?どういう事だろう。
「君という世界線を残しておくと時空の乱れを誘発する恐れがあるからだよ。」
じゃあ転生は駄目じゃん!
「生きている内なら前転生者と世界線が交わる可能性が高いから転生か有効なのさ。」
ムウ、少し難度が高いぞ。詰まり、生きている転生者の僕はアンテナの役割があると言うことなのかな。
「まあ、そう捉えておけば良い。」
地球の神様の意図が少し読めないけど概ね希望に沿った転生になりそうだ。
「もし、分からないことがあったら鑑定をしてみて」とガライヤが言う。
「少し親切設計にしておいたから便利だと思うわ。」
僕は頷いた。
要望は聞いて貰った。
多少は不安があるが期待が高まる。
「さあ、力を抜いて。いくわよ!!」
ガライヤが思いっきりぶつかって来た。
わあ!ぶつかるぅと叫んで僕は気絶した。
やっと異世界生活が始まります。
でも、大活躍はしません。