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二番煎じの転生者  作者: きゅうとす
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魔族の事情

ヨシュアがなぜナオヤと行動していたのかが判明!

転章1 世界探訪記 勇者(メサイア)家を買う27・3


サイロン領の領都リシテルでガラドア遺跡ダンジョン攻略で最下層に達した次期魔王候補ヨシュア・デグレニス・マギリニアンです。



ガラドア遺跡ダンジョンは始めの階層こそ一般的な洞窟ダンジョンだったが途中から見たことのある遺跡ダンジョンとなっていた。

マギリニアン魔導王国の1万年以前からの遺跡と言われるグラニュラス・ダンジョンである。最下層に達した魔族は居なかったが調査資料を読んだ事があるのだ。

古代の異次元研究所施設が魔素(マナ)によってダンジョン化した物というのが研究者達の通説だった。しかも異次元研究所施設は当時あちらこちらに有り、異なった次元から魔素(マナ)を引き出し戦力化を謀っていたのだ。


何の為にそんな研究を魔族がしていたかというと女神ネスティア様の為だったと言われている。

当時、女神ネスティア様は女神ガライヤと戦っていたと言われているのだ。聖魔大戦とも言われている。

女神同士の戦いは直接的なものでは無くその眷属や生み出した種族によって間接的に成されていたらしい。詰まり、魔族は女神ネスティア様に依って生み出された種族なのだ。

人族に伝わる人類創成の伝説は争いに勝った女神ガライヤが流布したまがいものである。

魔族に伝わる創世記とは異なるのだ。


人族の創世記は『初めに魔法だけがあった世界に遙か彼方から女神ガライヤが現れた。女神を中心に渦巻きが現れて7つの属性が出来た、すなわち火水木土風光闇である。ガライヤが呼びかけると応える声が5つあった。すなわちマーメイド族・エルフ族・ドワーフ族・人族・魔族の5部族の誕生である。呼び掛けに応えなかった火と風の魔法属性はガライヤの従神となって名前を与えられた。火の従神をウォルトフ、風の従神をキルエレヤと言い、龍の姿をしていたと言う。女神ガライヤは2柱の従神に世界を任せ、神々の世界に帰ったと言う。』である。


しかし、魔族の創世記は『初めに世界に海と大陸という混沌と魔力があった。そこに慈しみ深き女神ネスティア様がやって来て世界に魔族を生み出した。しかし、孤独な魔族を憐れんで更に仲間として樹人族、竜人族、龍族、粘性族(アメーバ)族を生み出した。

魔族は隆盛を極め、慈しみ深き女神ネスティア様の望み通り意識を通じ合えるまでになった。あらゆる異世界との交流を開き、世界は理想郷(ユートピア)のように幸せに満ちていたが野望に満ちたある竜人(レプティアン)が魔族に取って代わろうとして世界が砕け始めた。

竜人の野望に染まった女神ネスティア様が魔族を退け始めて世界に混乱が満ちた。

世界が混乱と悲哀に満ちて誰もが争うようになった為に神々がやって来た。神々はこれ以上世界に混乱と悲哀が拡がらないように女神ネスティア様と共に箱庭に追放して閉じ込めた。

新しき神は魔力が混乱の元と思い定め魔力の無い世界に魔力の使えない人のみ造り栄えさせた。

一方、箱庭に閉じ込められた女神ネスティア様は神々の監視を逃れ、箱庭から新しき世界に子供たちを連れて脱出した。

しかし新しき世界に女神ネスティア様がいることを神々の知ることとなり、大きな戦いが起きた。力を失った女神ネスティア様や数を減らした子供たちは散り散りになり、魔族は自分達を隠れ里に閉じ込め神々の目から逃れた。』と言うものだ。

創世記というよりは魔族の歴史のようだが面々と受け継がれた伝承である。

女神ガライヤが魔族や龍を生み出したように創世記にあるのは調伏され生き残った1部の者達の事と思われた。人族も魔力を使えるのに神々が魔力を使えない人々を生み出したということは今でも諸説侃々諤々されている部分でもある。


女神ガライヤと戦った魔族や樹族や竜人族の創った国の1つがガランティス帝国である。

そして、女神ガライヤが戦いのために生み出した戦力が『天使』だ。

上級天使(アークエンジェル)中級天使(エークエンジェル)下級天使(ソークエンジェル)天使(エンジェル)の階級と熾・智・座の能力別の区別があった。

熾は指揮官であり、智は参謀であり、座は戦士である。

それぞれが異なる魔力の系統を持ち凄まじい力を発揮していた。


魔族や竜人族は科学魔法で生み出された魔導機械を使って相対して戦った。樹族や龍族は数がもとより少ないが特異な種族魔法で戦ったのだ。

今では失われた魔導機を動かすのに開発された究極技術(エターナルテクニカ)太陽光励起魔素ハイマナ)が使われ、後に聖魔大戦と言われる伝承と為ったのである。


ガラドア遺跡は当時に使われていた異次元研究所施設がダンジョン化した物と思えた。行き止まりに残る掠れた魔法陣、迷路に見える歪んだ通路、壁のあちらこちらに見える窓枠の様な破壊された模様、全てが濃い魔素(マナ)に依って変質してしまっていた。

魔法陣は移動の手段では無く魔物を吐き出す出口と化し、通路は迷路のように空間を歪ませ、物質を溶かし意味の無い溶着を興してダンジョンを構成しているのだ。


ヨシュアは深く遺跡階層を進むにつれて核心を深めていた。

そして、ヨシュアも予想しなかった異界樹(キピュリメント)の存在。女神ネスティアが生み出した異質な存在である樹人族、魔力に特化した魔族にも変わらない異質性だ。

外見は巨木に過ぎないが膨大な魔力を蓄え、自身や棲息域を防御する能力は強力でありながら、攻撃を通したり、攻撃を空間歪曲に依って反射したりする事が出来る生命体。必要に応じて移動速度は低くても適宜防御陣を構築することが出来る。

ただ、個体数が極端に少ない事が欠点と言える。


聖魔大戦では居なくてはならない存在で意思疎通が出来ることは大きなアドバンストであったと言われている。その存在がこんなダンジョン内に隠れて棲息していたのはヨシュアには驚きであった。


こんな所で樹人族が何の為にと疑義を持ったのだ。

異界樹(キピュリメント)はヨシュアの通過に特に反応しなかったがナオヤ達に混じっていることに注視はしていたようだ。


ヨシュアがナオヤ達には内緒に会話したいという気持ちを察して特殊空間にヨシュアを誘ったようだ。

「俺だけ別にするなんて何か用か?」ヨシュアのぞんざいな口調に異界樹(キピュリメント)はその理由を答えた。


※少し前に同じ様な魔族が通ったのだ。しかも珍しく粘性族(アメーバ)族も連れていたのだ。その事を伝えようと思ってな。※


粘性(アメーバ)族?」

モルセ叔父に粘性(アメーバ)族の知り合いなんていたのか?

「それだけか?」


※まあ、珍しかったのでな。理由は判らんが気に止めて置いた方が良いかと伝えたかっただけだ。※


「・・・まあ、素直に礼を言っておこう。それでお前は此処で何をしている?」

ヨシュアは疑問に思ったことを聞く。


※まあ、色々あってな。詳しくは聞くな。此処が暮らしやすいから居るとでも思っていてくれ。※


どうにも本当のことは言いたくない様だったし、単なる興味だったのでそれ以上は聞くのはやめて置いた。

異界樹(キピュリメント)とはそれ以上話も弾まず素直に通り抜けたのだった。


だから、最下層で『黄金の嵐』のパーティーリーダーの大熊(グリズリー)獣人の大男ガムツイ・ロンダルキノ達の案内で『次元転移門』と操作盤方石を見たときは驚愕したのだ。


モルセ叔父の狙いがはっきりと判ったからだ。

モルセ叔父の狙いはセラと言う聖女を使った天界への次元通路(デメンションサーキュレータ)を開くことだと判ったのだ。





謎の魔族の狙いが判明!!


え?ヨシュア、それあってる?



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