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二番煎じの転生者  作者: きゅうとす
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ミューレイという女の子

魔物暴走(スタンビート)防衛という仕事は思ったより大きな仕事だったようだ。特に国を治める者にとっては違った。

ナオヤは単純に勇者なんて信じない者達の企みを潰しただけだと思っていた。

その違いは・・・


転章1 世界探訪記 勇者(メサイア)家を買う⑰


勇者メサイア)であり、家を買う行動を始めてやっと2つ目バフォメの拠点を建てようしている八神直哉ナオヤ)です。



いやー、セラと結ばれちゃいましたぁ~あははは。


それはさておき、廃領となったアナンダ領はラサメア辺境伯領に吸収合併されることになったようだ。ラサメア辺境伯であるブダイはその為色々と忙しい。その息子ブールもその補佐というか諸手続を王都でしなければならないらしく多くの文官と共に不在だという。

ブダイの忙しさはラサメア辺境伯を治めるための各地区の代官やら村長(ムラオサ)との事情聴取と手続きの整備だ。そんな細々(こまごま)とした事まで伯爵様が対応しなくちゃならないなんてアナンダ辺境領は統治機構がぐちゃぐちゃになっているらしい。ひとえにロードレックの怠慢さが招いた結果のようだ。

報償必罰という基本原則も無く、やりたいように汚職が蔓延しているらしい。まあ、そんな領地経営に興味も無い僕は別の事で意地になっていた。

メリカ国王アンガス・メフィス・メリカ王が如何しても僕に報償を与えたいと意地になっているのだ。僕は公の場所で力になると言ったからには特に代償や報償を望んでいないのだ。むしろ放っておいて欲しい。切っ掛けはどうであれ僕は僕の好きなようにしているだけなのだ。干渉しないでくれることが報償みたいなものなのだ。

そのようにアンガスに言っているのに報償を出さないのは国の面子に拘わると言う。無論“岩の原“当たり一帯を家を建てるために買い付ける事は了承し貰っているがその当たりは大森海の一部と言う認識のため買うと言うより国の一部が拡張するので推奨されるらしい。国とウィンウィンの為に無償であると言う説明でアンガスは報償にならんと言って譲らないのだ。

魔物暴走(スタンビート)防止、アナンダ辺境伯の反乱を成した報償は爵位や領地授与でないと釣り合いが取れないと言う。無論メリカ国の臣民に成るつもりの無い僕には迷惑な事であるだけで拒否をしている。何時もなら間に立ってくれているラサメア辺境伯ブダイがいないせいで何時までも平行線なのだ。

こんな話を直接対面しないで指輪を通した通信だけでしているのも悪いのだろう。お互いに怒鳴り会いながら通信を切ったままである。僕としてはこのまま立ち消えてくれると有難い。



折角ずっとお預けだったセラとの関係が進んだのに僕には更には難問が持ち上がっていた。烈しい戦いの後なので2~3日休憩を取った後に“岩の原“の調査をしようとみんなで決めたので飛空挺クレイモアの自室で是からのババロンの在り方や問題点をメモりながら考えていた。

そこに現れたのはミューレイである。


ミューレイは元王女である。「ミ・アンブロア・レイ国」略してミライ国と言う国の末姫にして火龍の巫女の資格を持つ女性だ。尤もミライ国はエルランディア帝国の大提督シェネッツアに依って1度滅ぼされたのであるが、今は他国に輿入れした姉の一人が夫の公爵を伴って戻り、仮の国王として治めている。ミューレイが国を治める積もりで戻れば王位は譲り渡す事になっているらしい。

ミューレイの背丈はナオヤより少し小さい位で赤いショートカットの髪を持つ狐目の活発な女性である。年齢は24歳であり16歳になったばかりのナオヤよりかなり離れているお姉さんであるが、その態度は馴れ馴れしい。体型も小柄で胸も標準程度であり絶対に年上には絶対見えない。むしろ、最近ナオヤの背丈が伸びた為に小さく子供っぽくなっている。但し、王家の血筋なのかキツい面立ちながら美人であり男にもてる。但し、年上の男達に不幸を齎す女として有名で「呪い女」とか「男殺し」とか言われていたらしい。酷い話だ。

そんな為に女だけのパーティーで冒険者をしていた事も多かった故に女性の顔が広い。姉御肌で面倒見が良くいろんな所に知り合いが多く、色んな知識も深い。

ナオヤがミューレイを助けたのはエルランディア帝国の大提督シュネッツアが行おうとしていることを掴み、それを防ぐ為だった。考えていたよりミューレイの持つ情報もミューレイ自身もかなり重要なものだった。ミューレイの頼みに力と成る事にしたのは結構僕の勝手な都合によるものだった。一時はミューレイも危険な場合もあったが何とか救う事が出来た。ミューレイはその事をかなり気にしていて僕に救われたとことある毎に口にしている。あんまり気に病むこと無いのにと言うのになあ。


ミューレイは気風(きっぷ)が良くて明るく面倒見が良い。ただ酔うと甘えん坊に成るほど性格が変わるのだ。頼れるお姉さまからぐだぐだ駄目お姉さんになるその変わり様は親しくならないと知ることが出来ないが、女性の冒険者として生きていく上に必要な緊張が反転した現れなのかも知れない。必要以上に僕にベタベタするのをみんなが非難せず生暖かい目で見るのはそんなミューレイの事情を知っているからなのだろう。

そんなミューレイが夕食後に僕の部屋にやって来た。僕はてっきりセラが来てくれたのだと思ってドアを開けたのだった。


ミューレイは彼女の色のオレンジ系の薄いネグリジェ姿をしていた。下着は濃い赤色で可愛らしいフリルが細かに付いている。活発な彼女らしからぬ可愛らしさである。思わず見詰めてしまって顔の熱さに思わず背けてあさってを見てしまった。

ミューレイも恥ずかしいのか少し俯いて見あげるように僕に話し掛けてくる。

ミューレイ、その表情は反則だ!

「ごめんね、ナオヤ。如何してもお願いがあって来たの。」

立ったまま話も出来ないから部屋に入れた。出来るだけミューレイを見詰めないようにしながらである。少し歩くのに不自由であったけれども。

「こんな性格だからはっきり言っちゃうよ。あたしはナオヤが好き。抱いて欲しいの。」

言葉を途切れさせてから息を吸って真っ直ぐ僕を見詰めてミューレイは言う。

「今朝、セラにも言ったの。あたしはナオヤが好きだって!セラは言ってたわ、ナオヤさんを独り占めする気は無いからミューだったら良いって。」

ミューはミューレイの愛称だ。それだけ仲が良いと言うことなのだろう。ミューレイから僕もそう呼ぶように何度も言われていたけどセラとの関係が進展していなかったからミューと呼ぶことは無かった。

「ナオヤはあたしとそういう関係になるのは嫌なの?あたしのこと嫌い?   ・・・ミューっても呼んでくれないし。」

見あげる表情は口を尖らせて拗ねているように見えた。そんなミューレイが何だかとても可愛らしく見えた。思いの外僕はミューレイが好きなようだと気付かされる。


「き、嫌いな訳ないよ。ミューレイのことは大切な仲間だと思ってるよ。

ほら、僕はセラが大好きでセラとその、あの、え~と、そう、大人の関係になれなけりゃ他のことは考えられないと思ってきたからさ。

ミューレイは充分、か可愛いよ。」

僕はなるべくミューレイの下着を看ないように気を付けて顔を背けて話す。

「こ、こんな話をミューレイとするのは凄く恥ずかしいんだ。でも、ミューレイは真剣なんだよね。こんな優柔不断な僕にだ、抱いて欲しい何て言うなんて、僕がミューレイに相応しいとはとても思えない。」

自信が無いと言うよりミューレイに何故好かれるのかが僕には判っていなかった。あれやこれやミューレイから褒められても当たり前にしたことを矢鱈感謝されている、誤解されているような気がしてならなかった。


「セラと同じように愛して欲しい何て望まない。むしろ少しでもあたしに気持ちがあるならそれでも良いの。ナオヤに感謝をしてることを判って貰えるならこの躰しか無いと思ってるのはあたしの勝手な事なのよ。」

僅かに震えているように見えるのは怖いからだろうか。躰を差し出す恐怖故の震えなのかとナオヤは思った。ナオヤがミューレイを受け入れなかったとしたらミューレイはどうなってしまうのだろうかとナオヤは思う。とても明日ミューレイを今までのように少し好意を持っている仲間だと見れないかも知れない。嫌いで無いなら抱いて欲しい何て女の子に言わせる自分が何故か苛立たしい。


少しの沈黙の後、僕は決意して言った。

「分かった。ミューの事は好きだし、好意を受け取るよ。」

ミューレイは顔を上げて輝かしい笑顔を見せてくれて僕に抱き付いた。小声で嬉しい嬉しいと呟きながら躰を震わせていた。


そして僕とミューレイは1つになった。



ミューレイと1つ先に進んだナオヤは結構良い思いをしていると思います。

勇者だからってそんなに良いことばかり無い筈・・・



§§§§§§§§§§§§§§§§

久し振りにやっと更新出来ました。遅々とした進みですが見守って下さい。

これからも 二番煎じ を宜しくお願い致します。

誤字脱字、批評批判、コメント何でも受け取ります。

§§§§§§§§§§§§§§§§

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