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二番煎じの転生者  作者: きゅうとす
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混乱都市バパルカ

主人公が変わります。


見習い聖女セラの大活躍?

承章2 混乱都市 バパルカ①


私の名前はセラ。

ついこの間まで普通の村娘だった。母シールと父シャランの一人娘だった。


1ヶ月程前から私の名前は西の聖女セラ・バフォメとなった。

祖父シオドルは女神ガライヤの神父をしていたからか、私の霊力も小さい時から目覚めていた。光魔法のヒールやキュアなどを使う事が出来た。

だから神殿に勤めるのは当然だった。特別霊力が大きい訳では無かったから聖女様のお付きであったり、側女として一生細々とした雑事をこなして行くのだろうなと考えていた。

なのに14歳の誕生日に受けたお告げに依って急転直下で人生が変わってしまった。


『シールとシャランの一人娘セラを西の聖女とせよ』空白だった西の聖女の席を決める儀式に依って告げられたのである。


それからが大変だった。父や母、祖父の元には新しい親戚やら知己を得ようとする有象無象が近寄ってきて家から出られない程だった。だから当然聖女の親族としての扱いを受けて聖域の聖都バフォメに移ったのだった。


聖都バフォメ、そこは女神ガライヤを祭祀しガライヤからのお告げを受ける場所である。

北東南西4人の聖女に依って治められ8人の技僧兵シャダーンに護られた城塞都市である。人口おおよそ8000人、都市と呼ぶには少ないが全てが女神ガライヤの信徒であり、商人も信徒なのだ。

中心部には巨大な神殿があり、北東南西に区分けされ、技僧兵シャダーンが護っている。

技僧兵シャダーンの僧団はバフォメの北東南西の入口近くに住み、聖女だけでなく側女にも必ず2人づつ付いて護っている。

聖女は北の聖女サフィア、東の聖女シェルダ、南の聖女シャルラ、そして空位の西の聖女と順位があるのだが、この順位は代替えであり、北が失われれば東の階位が上がり、南が東になり、西が南になる。

その空きの西の聖女に私は選ばれたのだ。


私はと言うと西の神殿の中に囚われ、南の聖女から「今日からあなたの教育係を賜ったシャルラよ。聖女の仕事全てをあなたに教えなくちゃならないなんて面倒だわ。だから基本はこのザラメルダに教えて貰って頂戴!分からない事があったらザラメルダに訊いて頂戴!」と宣言されたのだった。

全部ザラメルダに丸投げである。

それから側女のザラメルダから聖女の意義から聖女のトイレの使い方まで事細かに説明と指導を受けたのだ。


西の聖女としての公務だけでなくあらゆる場所で人の目を気にしなければならない生活はとてつもなく心を重くした。夢の中でもザラメルダに叱責を受ける生活が一生続くのかと嘆息していたある日、再び女神ガライヤからお告げがあった。


夢の中の白い霧の世界の中で朧気な姿が見えた。

はっきりした姿は見えなかったが声だけはしっかりと心に響いた。

『お聞きなさい、セラ。あなたを聖女に選んだのはあなたの素養だけでなくあなたの世界線を交えるべき者がいるからなのです。その者はあなたが支え、尽くさねば世界を滅ぼす出来事に立ち向かう事が出来ないでしょう。』

いきなりの将来宣言もさることながらそんな重大な出来事に自分が関わらないといけないことに怖じ気づいてしまった。

『大丈夫、あなたはその者を見つめ従う事のみを心掛ければ良いのです。あなたが居ればその者はあなたを守るでしょう。』


一体その人はどんな人なのかと問いかけると『これからあなたは混乱に向かい、そこで運命と出逢うでしょう。その者の左手を掴みなさい。』と答えたのだ。

このお告げは自分の物であり他人に告げようも無く心に留めることにした。


そして、側女ザラメルダの教育は突然終わり、南の聖女シャルラと公務を行う事になった。

公務の中には傷病者の慰問と治療があり、聖都バフォメだけでなく近郊の村や町を回る事があった。そして、その巡業で運命の町バパルカに立ち寄ったのである。


バパルカはメリカ共和国の北東にあり、商業が中心の都市である。ラサメア辺境伯爵の治める領地にあって領都であり、行きかう人々は商人だけでなく冒険者、ハンターなど雑多な者達である。エルフや獣人などが混じり喧騒と賑わいの絶えない町なのだ。


東へ足を延ばせば村一つを挟んで始まりの村がある。

セラにとっては始まりの村はお伽話でしか聞かない、さぼど興味を持てない村であった。

だから、始まりの村やバパルカでのおかしな男の噂などに興味は無かったし、ましてや自分が関わるなんて思いもしなかったのだ。


南の聖女シャルラとバパルカにあるラサメア辺境伯爵邸に挨拶に訪れた折に数年前に現れた男の話を聞いてもピンと来ていなかった。

だから、ラサメア辺境伯爵曰わく「有能であるが、やたらと目立ちがりやな奇妙な男」が『残したもの』に興味は無かった。

南の聖女シャルラは違った。目をきらきらさせて公務をする前に『残したもの』見たがった。

挙げ句の果てには公務はセラに任せて自分はそちらを優先すると言い出したのである。

シャルラ曰わく「女神ガライヤの福音を広めるチャンスかも知れない」と言い出したのだ。どこをどうすれば正当化出来るのかとセラは思ったが、言わば上司に当たる南の聖女シャルラの命令だから仕方なく従う事にした。

ただ、気が済んだら直ぐに慰問に来てくれと釘を刺すのは忘れなかった。その時の側女ザラメルダの「余計なことを言うな」と言う歪んだ顔は忘れがたかった。



午前中の2ヶ所の孤児院には南の聖女シャルラは姿を現さなかったが午後の治療院にはやってきた。

少し疲れたような様子があったのだがきちんと無料治療を施していたようだった。始める前にセラに「ご苦労様」と声を掛けてきたから一応気が済んだのだろう。

無料治療だから対象は貧しい者達で限定された人数であって、誰でもと言う訳では無い。あらかじめ神殿の聖女シャルラとセラが来る事は告知されており、治療の程度も限定されていた。

セラのヒールで回復出来るのは単純な骨折や傷位であり、長年病んできた病気や高度な回復を必要とする病は不可能である。

南の聖女シャルラであっても霊力の限界があり、時たまハイヒールにて古傷の治療をするのがせいぜいであった。

元々無料なのだから治ったら儲けものと言う者もいれば、何とかして貰わないと明日から仕事に行けないと言う切実な訴えをする者と様々だった。

南の聖女シャルラの方がベテランで霊力も上だと言う事でセラの方にくる者は比較的軽い者達だったし、トラブルと言うものは皆無だった。


南の聖女シャルラに来た者達の中で数人が抗議する事があった。暴力を振るおうとする者は技僧兵シャダーンにて取り押さえられ、治療も無しで帰されたりしていた。

聞くとは無しに聞こえて来たのは

「何言ってやがる!幾ら顔が悪いからって怪物はねえだろうが!!」

「ふざけるな!顔色悪いのは毒を食らってる訳じゃあねえ!何でキュアなんだ!」

「何処にヒールしてやがる!治して欲しいのは顔じゃあねえ、腹だ!腹!」と言うものだった。


その時には分からなかったが、悪ふざけをしているのかと思えた南の聖女シャルラの奇妙な言動はバパルカ全体が混乱する予兆に過ぎなかったのだ。


混乱を仕掛けた彼の目的は何か


セラはバパルカを救う事が出来るのか?

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