表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二番煎じの転生者  作者: きゅうとす
124/163

ガルドブルクとナーガヘポカリパ

単純なガルドブルクは葵に任せれば大丈夫。


それよりも、瘴気の沼から現れたのは・・・・・


ナーガヘポカリパ!


転章1 世界探訪記 ビエト連邦~英雄の末裔Ⅴ



勇者メサイア)八神直哉ナオヤ)です。ビエト連邦から出られないのは出られる条件が整って無いからだった。



葵と戦いたがってウズウズしていたガルドブルクが庭に進む。葵がナオヤの方を向くと

「明日があるから程々にな」

とナオヤが言った。


興味があったのか全員で庭に出て、葵とガルドブルクの対決を見守る。

5M程離れて2人が対峙する。

ガルドブルクはすらりとした騎士団愛用の長剣、葵は白刀のみ抜いた。

暫く様子見をしていたがガルドブルクが走り込んで上段から愚直な振り下ろしをする。

葵もそのまま受け止める。

ガギンー!

と言う硬質な音を立てて剣同士が火花を散らした。

引き続き剣が振るわれる。

右切り下ろし、左切り上げ、右撫で切りと全てを受け止めて葵は一歩も引かない。


ざさっとガルドブルクが距離を取ると青眼に構える。何かの技を使うようだ。

葵が魔聖纏を纏う。すると葵の白刀から霊素(カナ)が揺らめく。


「体技『神速』!」

体技名を唱えたガルドブルクがあっという間に葵に近づき胴払いを仕掛けた。葵はこれに対して同じく胴払いをカウンターで返した。

後の先であった。


身体強化力は葵の方が上だった為に体技を放ったガルドブルクが吹き飛んで2、3度バウンドして倒れた。


うん、ちゃんと手加減したな。


葵が近づき、屈んでヒールを唱える。お、ヒール出来るようになったんだな。


ガルドブルクが頭を振って葵を見た。葵は左手を差し伸ばし、ガルドブルクを引き起こした。

「完敗だ。まだまだ本気じゃあ無かったんだろ?」

「貴方もなかなか強いが、ナオヤ殿は拙者よりもずっと強い。」


葵は僕達の方に歩いて来ながら首筋を触りフェイスマスクを上げ、ヘッドアーメットを後ろに倒した。葵の艶やかなシニオンにまとめられた髪がはらりと崩れて広がった。

葵の髪色の基本は黒である。日本人のような黒髪が基本なのだが葵は背の高い異国の血が混じっているのか金色が混じり、所謂暗い茶髪なのだ。

和名では『鬱金色(ウコンイロ)』と言う。


汗を飛ばし、髪が揺れる。

ガルドブルクが唖然とした顔で呆ける。どうやら葵と言う名前の男と勘違いしていたようだ。


後に葵に惚れたガルドブルクに追い回される事になるのだがそれはまた別の話。



ガルドブルクもナオヤ達の強さを認めただろうとそのまま瘴毒の沼へ出かける事にしたのである。

再びアシュラム邸を辞して飛空挺クレイモアに戻った。

昼を過ぎたので軽くサンドイッチを皆でつまみ、メジーナ博士から瘴毒の沼の飛空挺クレイモアが持つ詳細で正確な位置のレクチャーを受ける。


瘴毒の沼は首都ツェツェツから西に50㎞ほど離れた山間にあった。ロシァ共和国の北限側の海岸線に沿った地域がベネトンアシュラム伯爵領であった。その西ギリギリの位置に瘴毒の沼は発生したらしい。

海岸線に沿って点在するするように3ヶ所村があり、海岸線から森の中を街道が首都ツェツェツまで伸びていた。


ナオヤはこの街道沿いに魔物狩りをしながら瘴毒の沼を目指すことにした。狩りに同行するのは葵とミューレイである。

街道から外れて森の中をナオヤが進み、狩り漏れした魔物を葵とミューレイが狩るのである。

インベントリーのあるナオヤは問題ないが葵とミューレイにはアム達が数体同行して、狩った魔物と一緒にクレイモアに転送して貰うのだ。届けたアムはまた葵達の下に戻ることでピストン輸送をする。


ナオヤは強い魔物を残す積もりは無かった。

ジャイアントビートル

グリードウルフ

ギガントラビット

グレイト雷熊

ブラックマンティス

ジャンキースネーク

ロアーデーモン

この中で葵達が手間取るとしたらグレイト雷熊位だろう。

比較的強敵なロアーデーモンなど葵の神聖魔法の餌食でしか無い。


狩りをするナオヤは無手で前を睨みながら小走りしているだけのように見える。

ナオヤは空間把握と完全掌握と索敵のスキルを組み合わせ、見えないワイヤー数10本で魔物を感知したら小脳内にワイヤーを突き刺し、破壊。そのままインベントリーに収納し続けていたのである。

その索敵幅はおおよそ100M、かなり集中力を必要とする作業だった。

ナオヤが過ぎた後から侵入してくる魔物を葵とミューレイが2人掛かりで倒して行くのだ。


2時間程掛けて目的の場所にナオヤは到着した。

葵とミューレイの到着には30分程待たねばならないだろう。

ナオヤは瘴毒の沼から少し離れた森の中をぐるりと魔物狩りしていた。さほど変わった魔物も出なかったので直ぐに終わった。


そして、ブクブク音を立てて瘴気を発する沼を見詰めていると、突如 それ(・・)が現れた。


ぼう、ぼう、ぼう、ぼぅ、ぼふぅ

と5体のデーモンが次々と現れ、神話的悪神(イスキュリア・ブブァレ)のナーガヘポカリパが現れたのだ。



神話的悪神(イスキュリア・ブブァレ)のナーガヘポカリパとは毒蛇の魔物である。巨獣程の大きさを持ち、神の如き魔力を発揮する。

上級の冒険者ですらレイドを組まなければ相対したいとは思わないだろう。


その姿は東洋の龍に魔神の腕を付け、悪人の表情を貼り付けた蛇である。

半身を瘴気の沼に漬け、蛇の舌を頻繁に出し入れして、ナオヤを睥睨して、威嚇してきた。


取り敢えず邪魔をしてくるデーモンにウィンドボールを無数にぶつける。実体の無いデーモンには効果ありだ。

ウゲー、ウギャー、グゲー

と悲鳴を上げて消滅していく。


味方が斃されるのに苛立ったのかナーガヘポカリパが舌を飲み込んで目をパチクリする。すると先程消滅したデーモンが倍数召喚された。口角を上げて舌を出し入れするナーガヘポカリパは笑ったようだった。


無手だったナオヤが無形を取り出して、長剣に変え構える。

無造作に無形を振るうと全てのデーモンがあっという間に消滅した。

「それで、どうする?」

ナオヤは不敵に笑う。



身体を垂直に立ち上げ、高さ20M以上の高さから水流を吐いてきた。

ボシュ、ボシュ

っとナオヤが避けた地面が青紫色に染まり、ブシュブシュと溶解していく。

ナオヤが沼の周りを回りながら避けているとあっという間に一周してしまった。


ナオヤは逃げ回る半径を大きくして木々に近いところを逃げていく。

業を煮やしたのかナーガヘポカリパが両腕を交互に振るうと瘴毒の沼の湖面から毒液がナオヤに向かって爆ぜた。

ナオヤは逃げる速さを上げるとあっという間に空中を駆け始めた。


ナーガヘポカリパが投げ掛けた毒液は木々を腐敗させて、枯らし倒壊させていく。

それを見ていたナオヤは被害を減らす為に水魔法で毒を流し、大きく木々を洗った。


グワァーホン!!

とナーガヘポカリパが雄叫びを上げた。どうやらナオヤの行為が気に入らなかったようだ。


そこへ木々の間から葵とミューレイが駆け込んで来た。


「!」「ナオヤさん!!」

葵とミューレイがナオヤを見て声を上げた。


僕が軽く後ろも見ずに手を振ると僕と同じように天地自在(フリーラン)を使って高空に駆け上がってきた。

しかも心得たようにナーガヘポカリパを囲むような位置取りだ。葵はちゃんと滞空出来るようだがミューレイはトイレにでも行きたいようなそわそわした動きをしている。あれはきっとまだ同じ位置で滞空出来てないな。しょうが無い。


一気に敵が増えたのを知ったナーガヘポカリパは伸ばしていた身体を縮めて瘴気の沼の中から顔だけを出した。なる程、沼を上手く使ったな。これなら直接攻撃がし辛い。

と思ったら瘴気の沼が爆発した。毒液が僕達に下から降りかかる。


咄嗟にプロテクトを掛けて身を守る。葵もミューレイもそれぞれの纏を使って毒液を防いだ。

葵の魔聖纏に触れた毒液は蒸発したように消え去り、ミューレイの風魔法纏は降り掛かる毒液を吹き飛ばしていた。


瘴毒の水を吹き飛ばしたせいでナーガヘポカリパの半身が露わになった。空かさず僕達の斬擊が飛ばされたがナーガヘポカリパには届かず、途中で消えてしまった。

どうやらとても濃い魔素(マナ)を纏っているようだ。

そして再びナーガヘポカリパが瘴毒の沼に消えた。


じゅるじゅると言う音と共に瘴毒の沼の水が少なくなって行く。

どうやらナーガヘポカリパが飲み込んでいるようだった。

ナーガヘポカリパが沼の水を飲み込んでいる姿が露わになったので火魔法をぶつけてみる。


斬擊と同じように次第に弱り、ナーガヘポカリパの直前で消えてしまった。魔法や斬擊など気にしていない様子で沼の水を飲み込み続けると共に瘴気の霧が濃くなり、ナーガヘポカリパの姿が見えにくくなっていく。とうとう底まで飲み込んでしまったようだ。

全くナーガヘポカリパの姿が瘴気の霧に依って見えなくなってしまった。


ぐへへっ、くびゃははっ

不気味な声を出しながら瘴気の霧が何かの形になっていく。

現れたのは西洋の竜の形をしていながらナーガヘポカリパの顔をした奇妙な竜だった。


「あっ、あれは何だ?」

※ドラゴンヘポカリパ

ナーガヘポカリパの進化形。より濃厚な魔素(マナ)を纏い、ドラゴンを模した魔物。巨獣の中では中級と言える程度の戦闘力を持つ。消去使った闇魔法が得意で大規模都市を単独で破壊しうる力を持つ。体型通り動きは鈍いがドラゴンと変わりないほどの狂暴さがある。※


超越賢者(ガライヤパス)が答えてくれた。


ドラゴンヘポカリパ、なる程。ドラゴンになりたくてドラゴンの真似事をした挙げ句にドラゴンのカリカリチュアと成ってしまっている愚かしい(ナーガ)であった。

その姿はナーガヘポカリパが太っただけのものだった。


身体の鱗はドラゴンの鱗のような硬質な一枚一枚が重なった鎧ではなく、平板な革に鱗を描き上げただけの鱗であり、のっぺりと張りついていた。

顔は長いドラゴンの鼻梁と異なり人の鼻梁そっくりであり、彫りの深いドラゴンの眼窩でなく、側面の目を無理矢理前に寄せて歪ませたものだった。


これでドラゴンの名前を名乗るのは烏滸がましく、ドラゴンの名を貶める歪んだ欲望の発露の結果と言えただろう。


「見ていられない。

葵!サンクチュアリを頼む。

ミューレイは風魔法で大きく包んでくれ。

僕が奴を蒸発させる!!」


僕の大声に2人が大きく頷いた。



本物のドラゴンと戦う前にドラゴンヘポカリパとの戦いとなったナオヤ達はどんな風に戦うのでしょう?



§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§

なかなか古龍(エンシェントドラゴン)との戦いに行けませんね。

サクッとドラゴンヘポカリパは倒しましょう!


何時も 二番煎じ を読んで頂きありがとう御座います。

これからも宜しくお願いします。


皆さんからの応援が励みです。

ブクマ宜しく。

批評批判、誤字脱字指摘宜しくお願いします。


§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ