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二番煎じの転生者  作者: きゅうとす
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火龍の神殿での戦い

従神ウォルトフとドラゴニュート綺麗との遭遇です。


ウォルトフの前で綺麗達と戦う事になるナオヤ達、いったいどうなる?



転章1 世界探訪記 ミライ国⑦


勇者メサイア)でありながら従神ウォルトフに戦いを挑む八神直哉ナオヤ)です。



「いい加減降りてもらえませんか?」

そんなとぼ)けた言葉を従神ウォルトフは発した。


どうやらドラゴニュート綺麗にやられた訳では無かったらしい。


退)くとお思いになって?」綺麗はあくまでも降りる積もりは無いようだった。


「では、仕方あるまい!!」ウォルトフの言下に強風が吹き荒れた。ウォルトフの身体から噴き出ているような風向きの強風だった。


離れている筈の僕たちでさえ飛ばされそうに強かった。


しかし、綺麗は意地でも退かないらしく、腰を少し落として耐えていた。

「ふふん♪」


業を煮やしたウォルトフは強風に加えて劫火を発した。「これならどうです?」


「ちっ!」

焔で服を燃やされるのを嫌ったのか、大きく飛び退いて空中に留まった。


綺麗が退いたのを確認してウォルトフは僕たちの方を見据えた。

「火龍の巫女のミューレイと勇者メサイア)達ですね。」


その時になって初めて綺麗が僕たちを見た。

僕たちに視線をさまよわせて僕を見て、言った。

「ああ、お前か。少しは強くなったのですか?」

嘲りを含んで綺麗はカーテシーを決める。


「なんだ、お前たち知り合いか?」と呑気にウォルトフは言った。


「いえ、知り合いでなく、敵同士です。以前そこのドラゴニュート綺麗に殺されかかりました。」

と僕が言うと綺麗がカラカラと笑った。


「なら、今から雪辱を晴らすと良い。私は手を出さずに居よう。」


「それは好都合。今一度叩きのめしてやろうぞ、お前ぇ~。」とドラゴニュート綺麗は僕に向き直った。

それに合わせて周りに居た竜、多分ドラゴニュート騎士が葵たちに相対したのだった。


「無理はしないようにな」とみんなに声を掛けて僕はドラゴニュート綺麗の近くまで空を駆け上がった。




→♪

葵は目の前のドラゴニュート騎士を見据えた。

相手が腰の剣を抜く。すらりとした長剣だった。


体格的にはほぼ互角、いや少し相手の方が大きい。リーチから言ったら長剣を持つ相手の方が有利だ。


だったら素早さで上回れば良い。ごつい体格から動きは重そうに見える。

だが、油断は禁物だ。


葵は身体の内側にあるチャクラを意識する。正転をする魔素マナ)を生み出すチャクラ、逆転する霊素カナ)を生み出すチャクラが意識するにつれ回転の速度を上げる。


身体の中で唸りを上げているような速さだ。その速さで魔素マナ)霊素カナ)が産み出されてからだの表面を巡る。


充分に行き渡るのにさほどの時間は掛からない。

「魔聖纏」

静かに口にすることで魔素マナ)霊素カナ)が混じり合う。ちくちくしていた力が身体に馴染み力が漲ってくる。


待っていた訳でもあるまいにこちらの準備が整うまで様子を窺っていたようだ。

するすると左方向に身体がずれて行く。


ドラゴニュート騎士が顰めっ面をする。どうも苦手な方向に回り込まれている積もりのようだ。切っ先が下がって来た。


揺れて下がった切っ先目掛けて葵は黒刀白刀を抜き打ち様に打ち上げる。

「しっ!」


小さく息が声のように漏れる。打ち上げられるのを嫌い、ドラゴニュート騎士が力を込めて突きを撃って出た。


右手の黒刀に力を案分して今度は相手の長剣の中程を打ち下げ、葵も前に出る。


長剣が真下まで下がってしまい、頭ががら空きだ。

葵は長剣を打ち付けた勢いそのままにドラゴニュート騎士の上空へ駆け上がる。


そして、身体を捻り反転しながら相手の首筋に黒刀白刀を打ち込む。ざっくりした手応えと共に血飛沫が飛び散る。


がはっ!!

ドラゴニュート騎士が声にならない声を上げる。


背面に着地した途端にドラゴニュート騎士の尻尾が打ち掛かってきた。

尻尾の動きに合わせて横に飛ぶ。


振り戻す尻尾の勢いそのままにこちらを見たドラゴニュート騎士は長剣を横殴りに打ち掛かってくる。


葵が黒刀白刀をクロスさせて長剣を受ける。


ガガガキンキン!

と音を立てて長剣が折れた。長剣の先端はどこかに飛んでゆき、折れたままの長剣で再度振り上げ、同じ軌跡で打ち掛かってくる。


首筋から血を流しているがさほどのダメージに成っていないようだった。


葵が折れた長剣をバックステップで避け、相手の脇の下目掛けて突きを見舞う。

浅からぬ傷を追って更に出血する。


苦痛に顔を歪めながら長剣を放り出し、尻尾を振るってきた。

飛び上がって避けようとすると、尻尾を地面に叩きつけた反動で空中へ軌道を変えた。


このままでは尻尾に打ち据えられる!


寸前に葵は加速して更なる高見へと駆け上がった。ドラゴニュート騎士の倍の高さまで飛んだところで、ドラゴニュート騎士の眼前にファイアの魔法を掛ける。


後ろを振り返りながら尻尾を振るったドラゴニュート騎士は葵の姿を見失ったままファイアの魔法を喰らってしまった。


目潰しをされてドラゴニュート騎士は手当たり次第尻尾を振るった。迂闊に近づけないようにして回復の時間稼ぎをしようとしたのだ。


「赤く燃えさかるは紅蓮、激しく吹き上がるは蒼炎、互いに喰らいて我が剣の力となせ!」

葵が黒刀白刀に魔素霊素マナカナ)を載せ火魔法を発動させた。


そして、空中から墜ちるようにドラゴニュート騎士の頭頂を黒刀白刀で打ち据えた。

銀色に輝く鎧が紙を切り裂くように割れ、爆ぜた。


ドラゴニュート騎士は倒れ、尻尾がビタンビタン動いていたがやがてその動きを止めた。


空中で様子を伺っていた葵が地上に降りてくる。

葵の完勝だった。



→→♪

セラは目の前の全身鎧を着たドラゴニュートを見ていた。背の高さはセラより1Mはあり、見上げるほどに高い。


ドラゴニュート騎士が長剣を抜くのも見ていた。


セラが動こうともしないのをドラゴニュート騎士は怯えていると見たのかニヤリと笑う。


と、セラが付けていたライトプレートをガチャガチャと外し始めた。

前に出ようとしていたドラゴニュート騎士がたたらを踏む。


余りにも不思議な光景に警戒心を抱いたようだった。


全てのプレートを外して「よいしょっ」と可愛らしく言うのを呆然と見ていた。


そして、忽然と全身鎧のドラゴニュート騎士が消えた。


セラは無防備を晒すことでドラゴニュート騎士の油断を誘って、足元に転移陣を造ったのだった。


5M程の高さに地面に発生していた転移陣と同じ物が発生してそこをドラゴニュート騎士が消えては現れ、現れては消えてを繰り返していた。

その速さは次第に速くなり、目も止まらなくなった。


ドラゴニュート騎士が何かを叫んでいたが既に無駄であった。


再びセラがライトプレートを身につけ始める。

もたもたしながらも独りで付け終わると小さくガッツポーズを決める。


そして、無造作に転移陣を消した。

ドガガカ!!

大音響と共に大穴を開けてドラゴニュート騎士が地面で潰れて地に伏していた。


セラの圧勝であった。




→→→♪

ミューレイが目の前にしたのはほぼ同じくらいの身長のかなり小型のドラゴニュート騎士だった。

付けている物もライトプレートで如何にもタイプが似ている感じがした。


お互いに速さで相手を翻弄して隙を狙う攻撃型、そう見做した。


バックステップで距離を取ると相手も同じ行動をしていた。


さっそく風魔法で身体を覆うと相手の攻撃を待った。

先のゴリュウとの戦いで思う所があり、此処で試そうとしていた。


ノーアクションで小さなドラゴニュート騎士の姿が消えた。

風の気配が左上と言っていた。


左上に風魔法を纏った左手を挙げて迎撃する。

相手の短刀を弾く。弾かれた勢いを懲らさずその場で後転して、足元を狙われた。

薙いで流れる短刀を飛んで避け、足蹴りを喰らわす。

爪先だけが相手の髪の毛を散らす。


相手は失敗したと分かるとすぐさま距離を取る。


ならばと、縮地を使い目の前に出て、右ストレートを放つ。

スウェーバックで避けられるも風魔法を強めて頭を引き寄せる。

空かさず肘を折りたたんで肘打ちに変更する。


ゴン!


かなりの石頭だった。

頭をさすりながらこちらを睨んだ。既にかなり離れられた。


両腕を振るって竜巻を2つ作る。自分の背丈程の物で差ほど強くない。


風を操り竜巻で挟み込むように並べて小さなドラゴニュート騎士に向けて飛ばした。

ツインの竜巻が近づく前に小さなドラゴニュート騎士は姿を消した。

すると引きずられるように紐状に解けながら竜巻も消えた。


ぐはっ!

空中にふたつの竜巻に揉まれ、きりきり舞いしている小さなドラゴニュート騎士の姿が現れた。


竜巻の渦が小さなドラゴニュート騎士を上へ下へと翻弄する。その姿はまるで小さな龍が纒わり付いているかのようだった。


ナオヤから魔素マナ)とは何か、魔法はどう発現するのかレクチャーを受け、魔糸の発現から使い方を学んだ。

そして、魔糸を通して魔法を発現させる方法も理解した。だから風魔法に魔糸を通じて小さなドラゴニュート騎士に結びつけたのだ。


先ほどの肘打ちで魔糸を繋げ、風魔法の竜巻に結び付ける事で自動追尾型の攻撃手段となった。


ミューレイは可変形灼熱撃滅昆アナキュリア)を取り出し、目の前に落ちてきた小さなドラゴニュート騎士目掛けて思いっきり叩きつけた。


小さなドラゴニュート騎士は避けることも出来ずに背中に攻撃を受けて轟沈した。


ミューレイが勝った。



→→→♪

目の前に以前手も足も出なかった強敵が居た。


勇者メサイア)の称号を受ける前の力では覇王ラグナロク)である綺麗の力を推し量ることすら出来なかった。


自分よりひと回り小さな華奢な姿の綺麗は見た目、僕より軽くて40㎏も無いように見える。

だが、従神ウォルトフのあの強風を前にして少し腰を落とすだけで耐えて見せたのは見かけ通りの重さでは無い事を意味していた。

少なくてもウォルトフが重いと思う程の重さはある筈だ。


「お前、何キロ有るんだ?」直接訊いてみる。


「あらあら、女の子に体重を訊くものでは無くてよ。禁句だわ、禁句。」

綺麗は惚けて見せた。


ゴスロリ風の服に身を包み幼い少女の姿をした化け物はコロコロと笑い声を立てていた。




葵、セラ、ミューレイと勝ちました。


一度負けたナオヤはどんな戦いを見せてくれるのか?


§§§§§§§§§§§§§§§§

何時も読んで戴いてありがとうございます。

ナオヤの戦いは激闘が予想されます。

その戦い方をお楽しみ下さい。



ブクマありがとうございます。

批評批判、誤字脱字指摘は近況報告にてお願いします。


こらからも 二番煎じ をよろしくお願いします。


§§§§§§§§§§§§§§§§



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