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二番煎じの転生者  作者: きゅうとす
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龍の試練

荒野の先にある“よもつひらさか“の入り口の村に到着です。


果たして何が待っているのか?



転章1 世界探訪記 ミライ国⑤


勇者メサイア)でありながら世界に戦いを挑む八神直哉ナオヤ)です。



→♪

荒野は何処までも荒野とは行かず、世界を不可視にしている黒霧の手前に小さな村が見えた。


あれが目的地の黒霧の村らしい。

飛空艇クレイモアから転送で僕たち4人は入り口に立った。


物見から慌てて伝令が走り、小さな門の上から声が聞こえた。

「お前ら何処から来た!何者だ!!」


ミューレイがずっと前に出て返答を返す。

「火龍の巫女候補ミューレイ、火の従神ウォルトフ様に会いに来た。」


どよめきが門の内側で上がり、門番が門を開けた。


門の内側には住民らしき人々が集まり、じっとこちらを見ていた。

ミューレイがずんずん中に入るのについて行き、全員が入ると門が閉じられた。


暫くして住民の中からひとりの老人が出てきた。両脇に屈強そうな男2人を連れている。


「ミューレイとな。ワシが黒霧の村長ゴリュウじゃ。歓迎するぞい。」

ニカッと髭面が笑う。


右側の金髪男がコンリュウ、左側の銀髪がギンリュウだそうだ。


こちらもひと通り自己紹介を済ますと村長コンリュウが火龍の巫女の洞窟と言う所に案内してくれた。


「余り時間が無いらしいからさっさと入ってくれ。」

そう言われたので皆でそのまま進む。


洞窟の階段を暫く進むと大きな広間に出た。

ドーム球場くらいありそうな大きさだった。

あちらこちらの壁に魔法の光が灯っていたが誰もいない。出口らしき物もない。


→→♪

遠くの岩が動くと人影が慌てて飛び出してきた。こちらに走ってくる。

見ると先ほどの村長と2人の若者だった。


少し離れた位置から

「これから試練を受けて貰う。ハアハア。」

息が切れているらしい。相当慌てたようだ。


ギンリュウと呼ばれた若者が前に出てきて

「そこの大女!葵だったか?俺と勝負だ!」

と言った。


火龍の巫女の試練だろうに何故葵がと言う疑問の前に葵がめっちゃ怒っていた。


ギンリュウの言葉が悪かったらしい。

「叩いてくる!」と一言葵が走り出した。


ギンリュウが何かを唱え

光り出した。途中で葵が止まり、様子を伺う。


光が収まるとそこには5Mくらいの大きさの銀色の鱗を持った竜がいた。

「グワォー!  どうだ、驚いたか!」


どうやらギンリュウが竜に変態したらしい。


確かに葵は驚いたが、やる気を出したようだ。

「魔聖纏」静かに葵が唱えると葵の身体が仄かに輝いた。


ギンリュウが爪を1M程伸ばして葵に向かって振るって来た。

ギン!何かが弾ける音がしてギンリュウの爪が弾け飛び、地面に刺さる。


葵の手には黒刀と白刀が握られていた。


「拙者に失礼な言葉を言った責任をとって貰うでござる。覚悟するでござる。」


土煙を残して葵の姿が消えた。切り裂かれた爪を再度伸ばして、ギンリュウが真っ直ぐに突っ込んで来る。


地面に突き刺さった爪を葵が蹴り上げ、ギンリュウに飛んで行く。

左の爪でそれを弾くギンリュウ。


再びその隙を突いて葵が姿を消す。

今度はギンリュウの頭の上に現れた。


ギンリュウは尻尾を振り上げ、葵を叩く。

尻尾が届く前に葵は既にそこには居なかった。


バチコーン!!

ギンリュウの尻尾がギンリュウの頭を強かに叩いた。

「グェ~」


おかしな声を出して、少しギンリュウがぴよる。

葵は既にギンリュウの右横に移動を終えており、右手の黒刀が振るわれた。


切り落としたのはギンリュウの尻尾だった。

「ウギャー!!」


切り落とされたギンリュウの尻尾を葵が蹴り付けると遠くに飛びながら、光となって消えて行く。


魔力で作られた尻尾だったらしい。

悶えているギンリュウに正面に回った葵が言う。

「これで少しは懲りたでござるか?」


良いところなしでやられっぱなしのギンリュウが「力を認める。」と言って変態を解く。


光が収まると元の若者になった。



とぼとぼとギンリュウが戻って行くと代わりにコンリュウが出てきた。

「聖女セラ殿、その実力を見せて貰おう。」


ギンリュウのようにコンリュウが金色の竜に変態する。ギンリュウより少し大きいようだった。


セラがゆっくりと前に進む。

「どんな意味があるのかは知りませんが私が只のヒーラーでない事を教えて差し上げます。」と言った。


左手を上げ「プロテクト」を唱える。

コンリュウがなにかを唱えると巨大なハンマーが現れた。


ずかずかとハンマーを両手で掴んでセラに近づく。

終いには走り出した。砂煙が立ち上るくらいの速さで近づく。


いや、走っているのに少しも近づいていなかった。

コンリュウの下には知らぬ間に大きな魔法陣が輝いていた。


ゼイゼイ言いながらコンリュウが巨大なハンマーをセラ目掛けて投げつけた。


再びセラが自分の目の前に魔法陣を展開すると巨大なハンマーが飲み込まれて消えた、と思ったらコンリュウの頭上に魔法陣が現れ、消えた巨大なハンマーがコンリュウの頭を叩いた。


「ズガコン!!」

跳ね返った巨大なハンマーは衝撃に依るのか光となって消えて行く。


頭を抱えたコンリュウに再びセラが魔法陣を掛ける。



今度は両腕の付け根に現れた。チュイーンと言う音が聞こえると共に消えるとコンリュウの両腕がぽとりと落ちた。


切断面から血が溢れる。

「ま、参った!力を認める。」

そう告げてコンリュウが光と共に元の若者に戻った。


両腕が近くに落ちている。ギンリュウが慌てて近づき手をくっつけてヒールを掛けて何とか元に戻した。


セラは一歩も歩いていなかった。


丁寧にお辞儀をするとゆっくりと振り向いて戻ってきた。


→→→♪

じゃあ次は僕かなと前にでようとしたらゴリュウが

「では、ミューレイの力を見せて貰おう。」と言った。


えー僕の出番無し?

ミューレイがにっこりと僕に笑い掛けて

「ナオヤが出るまでもないよ。あたしの試練だし~」と言った。


でも、葵もセラも無関係なのに戦ったけどな~


ちょっと拗ねてしまう。


そんな僕の気持ちも関係なくミューレイの前に立ったゴリュウが言う。

「ワシは銀龍、金龍とはひと味違うぞ!!」


ゴリュウが光に包まれて変態した姿は東洋の龍のような姿だった。

所々に紫色の雲が掛かっている。何かヤバそうな色をしている。

ゴリュウは宙に浮き、うねうねと身体を常に動かしているようだった。


確かにひと味違っている感じで、どんな力を持っているか分からない。


ミューレイも強くなったがここぞと言う力が無い。特に上位の強者に対して特化したものが無いのが珠の疵なのだ。

だから僕が錬金術で造ったまあまあの武器を与えてある。ここで使う事になるかはミューレイ次第だ。


暫く睨み合っていたが、ミューレイが走った。走りながら徐々に宙に舞う。

天走あまかける)は自分のものにしているようだ。


真っ直ぐ近づくミューレイにゴリュウは口を開け、魔力を高めた。口の中が光り、ミューレイに走った。


とたんに、ミューレイの姿が消える。


光が空を切る。


不意にゴリュウが右を向き腕を振るった。姿を見せたミューレイが体を反らして落下する。

消えているミューレイが見えているような動きだ。


着地する瞬間にゴリュウの尻尾がミューレイを殴った。吹き飛ばされるミューレイは空中で踏ん張り、再びゴリュウに向かった。


駆けながらミューレイが口の中の物を吐き出す。


再びミューレイの姿が消える。


ゴリュウの身体の動きが激しくなった。頭を後ろの方に向けて、とぐろを巻く。

激しく消えたり現れたりしていたミューレイがとぐろに捕まった。

ミューレイの足がゴリュウに巻き付かれたのだ。


ミューレイは片足を挟まれた状態でゴリュウを蹴りつける。

しかし、蹴りがほとんど効いていない。


ゴリュウが頭をミューレイに向ける。静かに動く頭がミューレイを焦らせる。


そして、ゴリュウのその口がパカッと開く。


ミューレイが小脇のポシェットから小さな武器を素早く出した。魔素マナ)を通し、両手でバチを振るうようにゴリュウの身体を叩く。

僕の渡したミューレイの新しい武器、可変形灼熱撃滅昆アナキュリア)だ。

通した魔素カナ)の量に応じてその大きさと重さ、そして、先端に取り付けられたらオリハルコンの刃が灼熱を持って鋭さを変える。



先ほどとは異なり叩く音が違う。ゴリュウの身体が揺れる、揺れる。

ゴリュウの鱗が切れ、弾け飛んで行く。

ミューレイに向けた頭が苦悶の声を挙げた。


ミューレイに対する束縛が解け、ミューレイが潰された脚を引きずりながら空中を進み、隠れてゴリュウから距離を置いた。


ミューレイは隠れながらポシェットから出したポーションを脚に振り掛け、治療する。


痛み分けの様相であるが、ゴリュウは身体を渦のように回し始めた。ゴリュウの動きに風が巻き込まれる。

大きかった筈の洞窟の空気が乱れる。


天井近くまで避難していたミューレイが物陰から姿を現した。


それを待っていたかのようにゴリュウだった竜巻が近づく。



ゴリュウはミューレイの居場所やこれから使用としていることを何故か分かるようだった。


先手を取られ続けている。


激しい風に煽られながらミューレイは決心したようだ。


ゴリュウの居場所を確かめるように風に巻き込まれる。渦を巻く風は波を持って吹き荒れて、その所々で速さが違う。


巻き込まれれば岩であろうと微塵に刻まれ、砂塵と化し、新たなる武器となる。


そんな中をミューレイは流れに任せるように、逆らうように風に舞う。

自らに風の流れを纏い、身を護りながら、ゴリュウの頭に接近した。


ゴリュウが判っているぞとばかりに口を開け、光を放とうとした。

不意に生じた強風にミューレイの身体が流れ、ゴリュウの頭上に乗った。


回転を止めて、ミューレイを吹き飛ばそうとした時、ミューレイの可変形灼熱撃滅昆アナキュリア)が焔を吹き上げた。


その大きさ2M。両手に持ってミューレイが全力で叩いた。

渦巻く風の力を味方に重量のある武器が振るわれた。


ガフン!!


口の端から血を流したゴリュウと共にミューレイが地上に落ちた。


寸前にミューレイは

ゴリュウから飛び降りた。


辛くもミューレイが勝った。

金龍、銀龍に介抱された悟龍が

「力を認める」

と言って試練は終わった。




龍の試練クリアです。


何のために試練を課したのか明かされます。




§§§§§§§§§§§§§§§


何時も読んで戴いてありがとうございます。

ミューレイの表現に苦慮しています。

書き分けるって難しいですね。


ブクマありがとうございます。

批評誤字間違いの指摘は近況報告にてお願いします。


これからも 二番煎じ を宜しくお願いします。


§§§§§§§§§§§§§§§



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