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二番煎じの転生者  作者: きゅうとす
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火龍の巫女

ミライ国の王宮で見たものとは?


驚きの事実だった。




転章1 世界探訪記 ミライ国③


勇者メサイア)でありながら世界に戦いを挑む八神直哉ナオヤ)です。



手に荷物を持った葵が王宮の門番に近づく。

そして、丁寧にお辞儀をして口を開く。


「お忙しいところ誠に申し訳ございません。

お伺いしたいのですが、此方にサンサカイ様はいらっしゃいますでしょうか?」


2人の門番は胡散臭そうな目つきと好色そうな目つきで葵をじろじろと舐めるように見る。


身体の大きな衛兵と遜色ない背の高い葵は胸の大きな良い女に見えることだろう。


「衛兵長殿は今は奥で休憩中だ。当分出てこないぞ。」下卑た衛兵が答える。


「では、サンサカイ様にお伝え下さい。ロックウォールのチャンさんからの伝言があると。

あ、これは差し入れですので皆様でお召し上がり下さい。」


そう言って葵が手荷物の饅頭を差し出す。

鷹揚にもう一人が受け取り、頷いた。


再び葵がお辞儀をしてその場を去る。

衛兵の絡みつくような目が葵の後を追いかけた。


そんな視線を気にもせず葵が立ち去る。


葵から差し入れを預かった衛兵がもう一人に声を掛けて、奥に引っ込む。


それを確認して僕達は葵が向かった方向の待ち合わせ場所に急いだ。


→♪

洒落た雰囲気のカフェのオープンテラスで葵が紅茶を飲んでいる。

和装美女と見たチャラい男達が声を掛けるが皆玉砕して引き下がっていく。


僕達が葵と合流して同席するまで何人が声を掛けたことか、澄まし顔が僕達を見て笑顔に変わった。


「待ったか?葵」

僕の声に頷いた。


座りながら「上手く渡せたようだったな」と言う。


「そうでござるな、手紙を読んで手引きしてくれるといいのでござるが。」

と葵が答える。


ミューレイは顔がばれているので冒険者風に男装して黙ったままだ。

声からバレたら厄介だからな。


セラも聖女然とした服でなくいつもミューレイが着ているようなライトアーマー姿だ、と言うかミューレイの服を借りている。


葵が預けた差し入れには今晩に侵入するための手筈の依頼と金貨が何枚か隠し入れてあった。

この方法はロックウォールのガラン亭の女将さんのチャンさんの指定した方法なのだ。


いつ、どこで、どうやってこんな渡りを付けたのか不思議な人だった。


「じゃあ、日が暮れるまでここでのんびり過ごそうか?」と言う僕の言葉に3人娘が笑顔になる。


早速ウェイトレスを呼び止めて何やら沢山注文し始めた。

やれやれ、僕も何か食べようか。



→→♪

昼間訪れた詰め所に衛兵が1人立っていた。


昼間のように葵が近づき声を掛ける。


「サンサカイ様でしょうか?」


衛兵が黙ったままそっぽを向く。

門が少し開いている。

どうやら見ていない振りをしているからさっさと通れと言う事らしい。


葵が綺麗なお辞儀をして僕達を振り返った。


それを合図に瞬足や縮地で門を通り抜け、王宮の物影に隠れる。葵ご後を追って来るとサンサカイは黙って門を閉めた。


暗がりでミューレイはいつもの服装に戻った。

暫く様子を窺っていたミューレイを先頭に僕達は王宮の中に侵入を開始した。


王宮の中は篝火ではなく、魔法による灯りがあちらこちらに点っていた。

時たま官史が通るのを避けながら奥に入って行く。


奥まった合る部屋の中に皆が入ると入り口に鍵を掛けた。

「ここはあたしの部屋だから大丈夫。」


索敵で部屋の中に誰も居ないことを確認したミューレイが言った。


「ひとまずは安心して良いかな。」

部屋の中をじろじろと見ていると、セラにたしな)められた。


「で、どこが怪しいと思う?」とミューレイに訊くと

「お父様の執務室か寝室かしら、謁見の間も考えられるわね。」なのだと言う。


「元宰相のジャンガジャに出くわさないか?」と訊くと

「宰相の執務室と寝室が別にあるから王のいた場所なんて使わないわよ。」

と答えた。


岩山のせいか余りレーダーが効かず、ミューレイの索敵の方が正確になっていた。


「手分けをしたいところだが場所が分からないからミューレイを先頭にまとまって移動しよう。」


全員が一致して頷く。反対する者はいなかった。


ミューレイが索敵しながらまず、王の執務室を覗く。

誰も居らすず、気配も無かった。


そのまま進み、寝室に入ろうとして、ミューレイが立ち止まる。


「誰か居る?」小声で言うとそっと扉を開いて覗き込んだ。


広めの部屋のベッドの向こう側に人影らしいものが立っていた。

「お父様?!」

思わずミューレイが中に入って声を出してしまった。


びっくりしたように人影がベッドの向こうに消えた。


消えて行く様子は続いて入った僕達にも見えた。


余り音を立てない様にして消えた辺りに移動する。

ミューレイが辺りを調べるとベッドの下に隠し階段を見つけた。


王様かどうかわからないが誰かがここから出て行ったらしい。


それにしても王の寝室で何をしていたのだろう。


灯りを外に漏らすと騒ぎになるのでしっかり閉めて、全員で寝室を調べてみた。


ベッドを調べていたセラが何かを見つけた。

ベッドの横に小さな細長い引き出しがあった。引き出してみるとそこには丸められた地図だった。


ライトの魔法で見聞していられなかったので、僕のインベントリーに収納してベッド下の隠し階段を降りてみた。


階段は短く、通路は狭かったがすぐに横穴になり、東の方向に続いているようだった。

ミューレイに続いて四つん這いで進んで暫く行くと少し広めの空洞に出た。


レーダーで探ると上に部屋があるようだった。

「ここの上は謁見の間みたいだわ。」


僕がライトの魔法で灯りを灯すと天井に四角い切り込みがあり、落とし穴になっているようだった。


みんなの目がミューレイに集まる。

「あたしもこんな仕掛けのことなんか知らないわよ!」手を横に振りながら否定する。


寝室に通じていた事から落とし穴ではなくて逃げ道なのかも知れない。


ミューレイの父親の王様が生き残っていたならなぜ逃げ回っているのだろう。

再びミューレイを先頭に開いていた横穴を進んでみる。


うねりながら下に進んで行くと扉があった。

扉というよりドアだな。


索敵でも、気配探知でも人が居ない事は分かっていたドアを開ける。

そこは人工的に造られた書斎だった。

そしてそこにはミューレイの父親のガンバ王が立っていた。



→→→♪

「お父様・・・じゃない!!

あなた誰!?」


ミューレイでさえ本人と見間違えるほどに精巧なゴーレムのようだった。


「ミューレイさまデスね。ワタシはガンバ王のフェイク、オートマトンのスレイブデス。」


唖然とするミューレイに代わって僕が質問を投げかける。

「何故本物が死んで偽物が生きているんだ?ここでなにをしていたんだ?」


何事も無かったようにオートマトンのスレイブが答える。

「エルランディア軍に攻撃を受ケタ時ガンバ王様カラここに隠レテミューレイさまが訪レルマデ待って伝言を伝えルヨウに命令サレタのデス。」

「ガンバ王様からの伝言は『火龍の巫女の儀式を伝える事が出来なくて済まない。スレイブの案内で巫女の儀式を済ませるのだ。全く何度も帰ってこいと言ったのに帰ってこないこらこんな事に成ってしまったのだ!!』とのコトデス。」

「私がシツムシツやシンシツに出没していたのはミューレイさまに来てイタダク為デス。」


「火龍の巫女?!そんなの初耳だよ!」とミューレイが言う。


「火龍の巫女の説明もイタシマス。今マデミューレイさまが習ってきたミライ国の正史は偽りデス。

火龍の巫女はミライ国の末娘が代々受け継いで来た役目なのデス。」


直立不動のスレイブが話す。

「え?じゃあ行方不明と言われていたシャーレイ叔母様も火龍の巫女だったの?」驚きに顔を赤くしながらミューレイがスレイブに言う。


「ソノトおりデス。火の従神ウォルトフ様の巫女を火龍の巫女とイイマス。」


火の従神ウォルトフ、それは神話に出てくる神だ。

それとミライ国とにどんな繋がりがあるというのだろう。ババロンのサイカ・アンブロアーとどう繋がるというのか。


「ご案内イタシマス!」そう言ってスレイブはその書斎から更に奥に繋がっているらしいドアを開けた。


そこは黒々と大きな洞窟が口を開けていた。

洞窟をどんどんスレイブが進んでいく。


とつぜん、灯りがある場所に出た。上っていく階段が掘られていて

「こちらデス。」とスレイブが上っていく。


幾らか登りきった場所はどこかの家の中だったらしい。家のドアを開けてリビングらしい所に案内される。


「ココデお待ち下さい。」と言ってスレイブが出て行く。


「ここは何処でござろうな?」と葵が言うと

「そんなに歩いて居ないから首都パルマのどこかかも知れませんね。」とセラが答えた。


確かに方向からすると首都パルマの外れに掛かる程度の場所のように思えた。


やがて、スレイブがひとりの女性を連れてやってきた。

座っていたミューレイが椅子を引いて立ち上がる。

「シャーレイ叔母様!!」


行方不明と言っていたミューレイの叔母だった。

「久し振りですね、ミューレイ。」


「色々訊きたいことがありますけど、お元気そうで何よりです。」


「ここは火龍の巫女の家です。女神ガライヤ様の神殿の裏手にあるのよ。」

とシャーレイは教えてくれた。


「そこのお父様に化けていたスレイブから火龍の巫女になれって伝言されたんですけど、シャーレイ叔母様が火龍の巫女なんですよね?」


頷きながら「そうよ、でももうじき期限切れだから代替わりしないといけないの。で、それがミューレイちゃんあなたよ。」


椅子を勧められて皆が落ち着いたのをみて、シャーレイが言う。

「それ、どういう事なんです?正史が間違いだと言うし。」


「ああ、それ。そうよね、いきなり間違った歴史を学んでいたなんて言われたら混乱するわよね。


少し整理しながら話すわ。」



シャーレイの話はミューレイだけでなく、僕たちを驚かす内容だった。








ミライ国の役割が暴かれます。


ミューレイはどうするのか?



§§§§§§§§§§§§§

何時も読んで戴きまして誠にありがとうございます。


ちょっと説明回に成っていますが、暫く我慢下さい。



ブクマありがとうございます。

誤字脱字指摘、批評批判は近況報告にてお願いします。


これからも 二番煎じ を宜しくお願いします。



§§§§§§§§§§§§§

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