悟り
青年は何かに導かれる様にそこにいた。
彼の名前は、崇史。どこにでもいる青年だ。
しかし彼の人生は劣等感で溢れていたのかも知れない…。
雪が降り積もる真夜中に彼は命を授かった。太陽が照りつける真夏に生まれた兄とは対照的に。
兄弟はみんなに愛され成長していった、しかし確実に崇史の中の劣等感は大きくなっていた。
何でもできる兄に対しての嫉妬、悔しさが次第に彼を支配していた。さらに彼の負けず嫌いがそれを悪化させたのは皮肉な事だ彼は負けず嫌いだった、しかし彼は知っていた、兄には勝てない事。
一つ上の兄に比べられる生活に疲れ、さらに両親の離婚により彼は世間にも劣等感をもった…。
彼はある結論に達する、普通では兄にも世間にも勝てない
しかし、兄は優等生、残されたのは悪だけだった崇史は間違いなく普通以上だった、羨ましく思う人もいただろう、しかし間違いなく兄以下だった。崇史にとってはそれがすべてだったのだろう
崇史は悪い仲間とつるみ、悪い事をした、だか元々心の優しい彼が仲間に一目置かれるほどにはなれなかった、この時、彼の負けず嫌いよりも良心が勝っていた。
皮肉な事に負けず嫌いだから悪になりながらも、自分の良心により負けてしまった彼には何も残っていなかった。
彼は酒に溺れ、ギャンブルに溺れた、金が無くなると女から引っ張った。もちろん罪悪感と共に
そんな生活が長く続くはずもなく、彼は働きだした。もとが真面目な彼は、仕事を優秀にこなす、だが中卒でバイトぐらいの職しかできないし、常に人の目を気にしてきたせいで養われた観察眼が邪魔をした。
自分より学歴が上なだけでろくに仕事をしないヤツが許せなかった、というよりおもしろくなかった普通に考えれば人並み以上の生活を送れた崇史だったが彼はどん底にいた。そしてすべてを憎んでいた。
そんな生活が続くうちに彼は色々な本を読んだ。そして彼ははっきりと気付いた。それは彼の人生を完全に否定した、それでも彼は受け入れた。
そして彼はそこにいた
そこには何もないとしか説明できない。なぜなら誰もがそこにいたのに記憶がないから
彼はそこで学びまた命を授かるだろう。またすべてを忘れて。
様々な意見があると思いますが、伝えたい事は一つです。