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出会い


「ぅう・・・」

俺は目を覚ますと、最初に目が入ったのは見知らぬ天井だった。

ゆっくりと身体を起こし、周りを伺ってみると薄汚れた白い壁と窓が見えた。


「ここは・・・どこだ・・・?」


どうしてここにいるのかも、自分が何をしていたのかも分からなくなっていた。

と、いうよりも、自分に関して何も記憶がない。

思い出せない、のではなく、思いだそうとしても記憶が存在しないような不思議な感覚だった。


「やっと目を覚ましたか。」


声を掛けられた方に視線を伸ばすと、頭をスキンヘッドにした強面の人物がこちらを見ていた。

他にも、2~3人同じ服装―――白いTシャツに白い半ズボン―――をした人達が各々寝そべっていたり、座っていたりしていた。


俺はとりあえず、この建物の外が今どうなっているのかを確かめるために、窓に近づいた。


目の前には、海があった。

砂浜が手前にあり、砂浜からこの建物の間に幾つかの背の低いビルのような建物が建っていた。

背が低いといっても、大小様々な大きさのものが、不規則に視界の下にパズルのように建てられていた。


「ここから出た方がいいのか?」


なんら目途も算段もない内に、外へ出ることに意識を持っていっていた。


「出ない方がいいとは思うがね。」


スキンヘッドのおっさんが返答した。

俺はドアに手をかけ、開けた。

ドアの外には、階段があり下に降りれるようになっていた。

外付けの非常階段の様なこの階段は、文字通り外に剥き出しで取り付けられていたので、少々心もとなげだった。


カンカンカン・・・と降りていくと、下の道路では何やら喧騒が飛び交っていた。

イベントかデモか、大勢の人達で埋もれていた。


やっと一階まで降りてきた俺は、その喧騒に飲み込まれる。


「お、おい!押すな!痛てててて・・・」


俺は無様にも押してくる人間の圧によって転び、立ち上がろうとしても押し寄せてくる波で再び地面に倒れていた。


「く、くそっ、どうにか向こう側の道に辿りつければ・・・!」


俺は這いつくばり、必死になって道路を横断するように移動した。

やっと辿り付いたかと思って頭を上げてみると、心配そうにこちらを見、手を差し出してきた一人の女性がいた。


「あの、大丈夫ですか・・・?」


手を取り、引き寄せてくれたこの人との出会いは、ここから始まった。


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