最初の朝
おなかに乗りかかる重みに目を覚ますと、体中が痛かった。
筋肉痛ともいえる痛みはこんなところに筋肉があったのですか?というところですら悲鳴を上げている。
おなかに目を向けると太い日に焼けた腕。
その腕を伝っていくとその上には気持ちよさそうに眠る将太の顔があってびっくりする。
そうだ、昨日の夜仕事が早めに終わってそのままなだれ込んでそのまま・・・そのまま・・・。
家についてあわただしくもお互いを求めた二人は事が終わってあわてて挨拶らしいことをしてコーヒーを飲んだ。
その後お風呂に入りたかった茜が入ると将太もその後入ってそのまままたまた燃え上がってしまった。
その後は疲れて眠りに着いたのだがなぜかお互いが目が覚めるとそのままお互いを求め、気づけば夜の間におそらく片手が埋まるほど愛し合った気がする。
すごい、若くないのにありえない。
体が若くないことを教えてくれた。
体が痛い。どこもかしこも。
そっと将太の腕を動かすとピクリと反応したがまた眠りに着いたようだった。
ベットを抜け出すと放り出されたパジャマを抱えてシャワーを浴びに行った。
さっぱりしてコーヒーを入れることにした。
まだ朝の7時だった。
昨日の夜あまり寝ていない割りには早くに目が覚めてしまった。
コーヒーを入れた後、将太を見るとなんとなく覚醒し始めていた。
「・・・・・・。」
半分しかあいてない目で茜をみてボーっとしている。
すると自分の隣をぽんぽんとたたくいて茜にそばに来いといっている。
おとなしくそばにより座ると頭をひざの上に乗せてきて甘えているようだ。
ゴロゴロのどを鳴らす猫のようで可愛かった。
優しく頭をなでているとまた目を上げたのでコーヒーを渡した。
「ありがとう」
「いいえ。」
コーヒーを飲むと少し起きてきたようで段々いつものしっかりとした目つきになった。
朝起きたてのふにゃふにゃな顔も可愛いのにとちょっと寂しく思った茜だった。
「おはようございます。」
「おはよう・・。」
お互いにちょっと気まずい感じで見詰め合った。
昨日よりあんなに親しい関係になったのに朝、顔を合わせるのが恥ずかしい。
「あ、の・・・さ。」
気まずそうに将太が話し始めた。
「これからさ・・・・。茜ちゃんのこと、彼女って呼んでも良いかな・・・・」
将太の言葉にお互いがまだ付き合う意思や好意をきちんと言葉にしていないことに今更ながら気がついた。
恥ずかしかったが、やっぱり聞いてもらえると嬉しかった。
「はい。よろしくお願いします・・・。」
えへへ、と顔を合わせて笑った。幸せな時間だった。
コーヒーを飲み終わって朝食の話をしていると理沙先輩から電話がかかってきた。
デートがあるのを知っているのに朝早くから電話をかけてくるなんてびっくりした。
「もしもし、理沙先輩どうしたんですか?」
「もしもし!!!あのさ、今日、将太さんとどこに行くかも決めてる?」
あわてて将太を見たがそういえば今日の話を決めていない。
本来なら今夜が二人の始めての時間になるはずだったのだ。
「まだです。決まってないと思います。」
理沙に将太が部屋にいるのを知られるのはまだ恥ずかしいと思った茜は無難な返事をした。
「じゃあ、邪魔になるだろうけど将太さんと茜、私と神崎さんでランチできない?この間のお礼もあるし。ご馳走させてよ。」
「え?お昼を一緒にですか?」
将太の方に向くと将太はオッケーのサインを出してくれた。
「たぶん大丈夫だと思います。はい、じゃあ、11時に。分かりました。」
電話を切るとどこか腑に落ちないが将太に向き直った。
「お昼ですって・・・。」
「良いんじゃないかな。予定はあってなかったような物だし。その神崎さんって人にあってみたいし。」
「そうですか。」
なんだか二人の大事なデートがあっという間にダブルデートになってしまった気がしたが今夜の特別な意味は昨夜のフライイングで薄れてしまったのでまあいいかと思っていた。
昼食に出かけるのならと軽く朝食を食べると将太は家に帰って着替えるために帰っていった。
待ち合わせのレストランに一緒に行くことで合意したのだった。




