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恋愛学習(宿題あり)  作者: Tui
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フライイング

仕事は忙しかったが、あと残すところ一時間弱になると突然静かになりあとは終わりを待つのみになった。


夜勤の看護士たちは嵐の前の静けさだとさすがに嫌そうだった。


でも、金曜日の夜。これから忙しくなるのは目に見えていた。


「茜ちゃん、後片付けとそこの今やってるの終わったらもう帰ったら?この間残業だったでしょ?ちょっとくらい早く帰っても誰も文句言わないわよ。」


この間、忙しくて残業になった。この病院はタイムカード性ではないので残業もめったなことで申請しない限りサービス残業になるのでできるときは少し早めに帰ることも黙認されている。


しかも婦長ではなくシフトのリーダーが仕切っている状態でその本人が帰っていいといっているので甘えることにした。


九時半には帰宅することになった。


明日には将太とのデートができる。楽しみだ。


今日は早めに終わることができてこんなラッキーなことはめったにない。

幸先がいい!


将太にメールを送ることにした。


「今日は仕事が速めに終わってラッキーでした。

 お仕事お疲れ様です。

 明日が楽しみですね。」


あのキスから機会がなくてあえない間、将太に会いたくて仕方がなかった。


枯れていたここ最近の間に、自分の時間を持つことになれていた。

その時間は自分を見つける時間だったのだと今は分かる。


仕事で精一杯だったが、何事も自分で決め逃げず踏ん張ってきた。

愚痴る相手も頼る相手も甘える相手もいなかった。


友達がいないわけではなかったが恋人に甘えるような癒してくれるような人はいなかった。


それは自分を強くし、今、自分の意思で自立している。


そして将太が好きだ。


会いたい気持ちでたくさんだ。


でも、こんなに好きだけど彼が私の世界のすべてではない。

彼との時間を楽しんで、お互いに近づいていく。


今までの恋愛は告白されたり、なんとなくで始まったり、自分の将来を考えたことはなかった。

それでも付き合っていた彼のことは好きだったし、結婚したらーとか、彼大好き!!!な時間がたくさんあった。

辛いことがあると彼に助けてほしいと思ったし、守ってくれるのは彼氏だし当たり前だと思っていた。

依存はしていたつもりはないが自立していたとは言えない。


でも今は違う。


辛いことがあったら自分で立ち向かう強さを支えて欲しい、もしくはともに戦う相棒が欲しい。


将太がそういった存在になったら嬉しい。


自分の思いに思考の迷路にはまっていた茜は携帯がなったことで飛び上がるほどびっくりした。


「も、もしもし」


「あ、もしもし。茜ちゃん、将太です。」


「・・・。将太さん。お、お疲れ様です!ど、どうしんですか?」


「いや、今日仕事終わったみたいだったから・・・。早かったね。」


「はい、なんか静かだったんで早めに帰って良いって言われて。ラッキーでした。」


「そんなこともあるんだね。」


「めったにないですよ。サービス残業がメインです・・・。」


「はは、だろうね・・・。」


「将太さんは仕事終わったんですか?」


「うん、今日はもう終わって帰宅中・・・・で、駅にいるんだ。」


「あ、そうなんですか。電車待ちですか?」


電車が着たら電話を切るのだろうと思うと少し寂しかった。


「い、いやぁ・・・。あのさ、今OO駅にいるんだよね。」


「え・・・。」


OO駅は茜の最寄り駅だ。


「・・・・。会いたくて・・・なんて。」


「っ・・・・。」


顔が真っ赤になるのが判った。


将太も同じ気持ちでいることが嬉しかった。


「ごめんごめん、いいんだ。帰りに思わず降りちゃっただけだから。明日には会えるしな。」


あわてて弁解する将太が愛おしかった。


「待っていてください。すぐ着きますから!」


茜は駅に向かって駆け出した。









最寄り駅に着くと将太の姿がホームに見えた瞬間に心臓が勢い良く反応した。


きょろきょろ自分を探す将太。


自分を見つけた瞬間にとろける様な笑顔。




自分も笑顔になって将太に向かって走っていた。



「お待たせしてしまって!」


息を切らせて走っていくと


「急にごめん、待ってないよ。早くてびっくりした。」


嬉しそうにそっと腕に手を当てる将太の優しさに胸が震えた。




思わず言葉が出た



「うちによってコーヒーでもどうですか?」




コーヒーだったら駅前の深夜営業の喫茶店でもいい。

明日会えるんだし、本来だったらそれくらいが普通だろう。


でも、それだけじゃ足りない。


全然足りない。



茜の情熱を見た将太は何も言わずに茜の手を引いて歩き始めた。



強引ではなかったが将太も余裕がないのがわかった。



おそらく催促の競歩で家に着いた二人には言葉はなかった。



将太が茜がドアを開けるなりキスをしてきたからだ。


容赦ないキスに頭の芯がくらくらしてきたが最後の理性で茜はある事実を思い出さした。



仕事終わりでシャワーも浴びていない!!


「ちょ、ちょっと待ってください。シャワーを・・・・。」



将太が一瞬と待って茜を見たがすぐにキスを再開して


「無理・・・。」


本当に無理そうだった・・・。


どうしようと思っていた最後の茜の理性はあっという間に将太のキスに理性を崩されてもう何も判らなくなって、その後はお互いの息遣いだけが部屋に響いた。



何も判らなくなってしまった茜はあっという間に将太に食べられてしまうのだった。




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