余韻
デートから家に帰った茜はまず最初に携帯を開いた。
ここはひとまず今日のお礼をメールで送るべきだよね?
でも、まだ早すぎるかな。
でも、無事に帰宅したことを伝えるのが一番自然な流れでメールができる気がした。
「なんて送ろう・・・。」
長すぎて変に相手に気を使わせるのも嫌だ。
携帯で長々と会話するのは元々ほとんどしない。
面倒になって電話してしまうタイプだ。
でも、業務的なだけにしたくない。
せっかく距離が縮まったばかりなのに。
悩みに悩んだ末、簡潔なメールを送ることにした。
「今、帰宅しました。今日はありがとうございました、とっても楽しかったです。今度のピクニック楽しみにしています。」
まだ次も会いたい気持ちがきちんと伝わるようにピクニックのことを書いておけば次の約束もできるはずだ。
恋愛は久しぶりだがこのまるで相手の心の探りあいのようなステージは楽しいが精神的にとても疲れる。
相手の言動に一喜一憂するのは恋の醍醐味だが心が休まるときがない。
今日の茜もどっと疲れを感じていた。
楽しいのにまだ慣れないから緊張しっぱなしだったな・・・。
将太さん、私の相手で疲れなかったかな・・・。
送信を押した後、返信が来るまで何も手に着かず家着に着替えた後携帯を見つめて待った。
20分後携帯が鳴ると思わず茜は飛び上がった。
「・・・・びっくりした。」
受信箱をそっと開けると将太からの返信だった。
「お疲れ。よかった。また今度。」
「・・・・・・・。」
「それだけ?」
あまりに短い返信にちょっと落ち込むが前回のメールも将太のメールは短かった。
絵文字を使うタイプではないとは思っていたが、あまりにも短い。
これでは返信できない。
「また今度」
と返事をしないこともできないがおかしい気がする。
しばらく悩んだがこのメールに返事ができる会話のつながりがつかめない。
「なによ、もう・・・。」
ちょっとがっかりしたが、将太らしいといえば将太らしいような気がする。
でも、ドキドキハラハラなメールがしたかった。
夜寝るときにおやすみなさい(-_-)zzzとか、送ってみたかった。
でも、それはこれからも実現しそうにないかも。
「おやすみなさい。」
携帯の将太のメッセージに向かって言って携帯をおいた。
その頃、時田家では悶える男が一人、
「うおおおお~~!」
「うるせーぞ!将太!!!!」




