師匠ができました
「っ・・・。」
何もいえない私に理沙先輩は最終宣告をした。
「このままだとあんた開花する前に腐るよ。」
漫画だったらドキューンと飛ばされ涙の洪水でタラリラ~ってなっていたと思う。
そうならなかっただけ自分偉いぞ!!!
「そうですよね・・・・。いや、恋愛したこと無いわけでもなんですけど、最近私生活枯れているんです。それにもう3,4年かな、恋愛していなくてもう何から始めたらいいか思い出せなくて・・・。出会いとか欲しいとかあんまり思わなくなっちゃって、でも、このまま一人でいるのも寂しいな~って思いながらも安めな分譲マンション見ちゃったりして、コレなら一人でも買えるかも~とか、本当にこのままじゃ一人街道まっしぐらなんです・・・・。」
今までの自分の中の不安がポロリポロリと出始めた。
「それに、最近太ってきたし、なんか流行の服もうまく着こなせないし、昔はもう少し可愛げがあった気がするんですけど、今は男の人と話していても素直になれないし。ああ、可愛くないなーって思っちゃうんです。」
どんどん暗くなってきた・・・・。なんか、自分でも嫌だ、もっと仕事だけじゃなく自分自身にも自信を持ってる先輩の様になりたい・・・。じんわり出てきた涙をこらえて俯いていると。
「Fake it till you make it」
先輩が突然綺麗な発音で英語を話した。普段英語なんか聞きなれていない私には何を言われたのかわからなかった。
「コレはね、達成するまでなりきれって感じかなの言葉なんだ。私が高校時代に留学してたの言ったけ?その時にね、言われた言葉なの。」
懐かしそうに話す理沙先輩がますますかっこよく思えて、私は「留学なんてかっこいいですね~。」なんて答えたら、先輩はいささか不機嫌になった。
「よし、決めた。強制的にあんたを私の弟子にします。私の師匠はオーストラリアのホームステイの娘さんよ。茜、このままじゃ、もったいないよ。どうする?スパルタの自己啓発恋愛講座受けてたちますか?」
先輩の目があまりに真剣で、心のどこかでこのままじゃ嫌だなって思っていた私は誘われるようにぼんやりとでもしっかりとした声で
「はい。」
と答えた。




