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そして翌日、町では

「何年刑事やっていても、こういうのはイヤなもんだね。」

無精髭を生やした年配の刑事がため息混じりに呟いた。

「そうですねー。でも自首してきたお陰ですんなり解決しそうですねー。」

若手の刑事は缶コーヒーを開けながら気楽そうに言った。

「バカヤロウ!解決すりゃあいいってもんじゃねぇ!」

「わっ!急に怒鳴らないでくださいよー。」

思わずコーヒーをこぼしそうになった若手が年配を上目づかいで睨む。


「それにしても女って怖いっすねー。恋愛の邪魔になるからって可愛い一人娘を手にかけるなんて。ま、俺は気軽な独り身だから良く解らないですけど。」

本当に解らない。という顔で若手の刑事が天井を仰いだ。

「山中にペンションもある、ちょっとした金持ちなんだから子持ちでも問題なさそうなんですねどねー。」

そんなんだからお前は何時までも独り身なんだよ、と年配の刑事は言いたげだったが言葉を飲み込んだ。

そして苦々しい顔をしてボソリと言う。

「…一人じゃないらしい。」

「え?」

「若い頃に男の赤ん坊を絞めたってよ。土地勘があるあの山に埋めたそうだ。」

「はぁー…やっぱり女は怖い怖い。」

そう言って若手は最後の一口を飲み終えた。

「あ、怖いっていえば、その女、『娘に呪い殺される』って泣き叫びながら電話してきたらしいっすね。」

「ああ、なんでも幽霊が出たとか何とか言ってたな。」

「……やっぱ恨んで出てきたんですかね?」

若手が幽霊の真似をしておどけてみせたが、年配はクスリとも笑わなかった。


「さぁな。今頃、一緒に遊んでいるんじゃねぇか?」

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