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19話 悩めるレオン

今回は短いです。

 コボルトを拉致……いや、魔法実験に協力してもらう契約を取り付けたカリナ達は、忠犬化した3匹を引き連れて宿に戻っていった。カリナに従う3匹の背中は、最初に見た時よりどこか小さく感じた。


 問題行動を起こすパーティーメンバーを目の当たりに、頭を抱えるハルナと、「これで良いのだろうか?」と考え込むサラも、カリナに続いて出て行った。


 ドルガンの部屋で行われた所業は何故かロビーの冒険者達の知るところとなり、ドン引きしていた。


 カリナ達が去ると口々に意見を漏らした。酷い場面を見たという者もいれば、あれは魔物との共存ではなく支配だと批判する者もいる。


 肯定的な意見としては「やり方は良くないが、魔物を人間社会に組み込むとはこういうことだ」と言う者もあり、「まだ手探りなんだから、あんなものだろう」と擁護する声もあった。


 ともあれ、カリナの所業が人で無しすぎて、コボルト達に同情の視線を向ける者が増え、一個の人格を認めるようになったのは怪我の功名と言えるだろう。


 まぁ、カリナみたいな奴が汚れ仕事をやるからこそ、綺麗な理想が現実的になる。俺が文句を言う筋合いじゃねえ。



 理想を語るのは気持ちいいが、現実に落とし込もうとすると、それはもう色々とすり減るのだ。


 俺と共にギルドに残ったレオンも、何とも言えん顔で考え込んでいた。まぁ、こいつは悩むよな。


 カリナの評判が下がる代わりに、コボルト達が受け入れられる土台が少しでも築かれたと思えば、悪い話じゃねえだろう。


 カリナ自身は自分の評判なんざ気にしないだろうが、一応言っておくと、あの人で無し処置は、コボルト達が町に馴染めるよう、不安を抱く住民への配慮の結果だ。


 まぁ、それが正しいかは別の話だがな。正直こればかりは倫理を取るか実利を取るかの違いだろうよ。


 世界なんざ、誰かの笑顔の負債を誰かが支払うようにできてるんだ。


 取り敢えず、だ。レオンの頭を軽く叩いた。


「いつまで考え込んでんだテメエは」


 酒が不味くなる。



「師匠、コボルト達はあれでいいんでしょうか……」


「知らん。そんな簡単に答えが出る問題でもないだろうよ。精々悩め。健全な証拠だ」


 俺の居ないところでな。後、師匠って言うな。


「でも俺……自分が言った事がこんな事になるなんて」


 自意識が暴走し始めたレオンの頭を叩く。


「今回の主犯はカリナだ。お前は別に悪くねえだろ。罪悪感なんて抱くだけアホらしいっての」


 正直、レオンが罪悪感を抱く気持ちはわからんでもないが、人間どうしょうもない事もある。


 自分にできる事は限られてるからな。


「お前は今回のことでどう感じたか。その感情にどう向き合うか。自分の中でキチンと整理付けることに専念しろ」


「師匠……有り難うございます!俺、自分の言った事に付いていてもう一度考えてみます!」


 なんだその目は……別に特別な事なんて言ってねえ。これだから田舎のガキは……ちょっと含蓄ありそうな事を行った瞬間目え輝かせてんじゃねえよ。


 こんなん年食えば誰でも言えんだよ。そんな目で俺を見るな鬱陶しい!


「ああ、くそ。柄にもない事言った。酒飲んで忘れちまおう」


「師匠、お供します!」


「サラに怒られるからお前は飲むな!」


 こうしてコボルト家畜化事件は一応の区切りを見せるのであった。

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