沖縄県民とやまと民族
沖縄は琉球王国を築いてきた。それを日本が侵略し併合した。更には本土決戦させた上に集団自決を日本軍は強要した。しかも一九七〇年代まで、蹂躙してきたアメリカの領土になっていた。今でも尚、米軍基地がある上にそれが深刻な問題になっている。
沖縄県民が日本・やまと民族を憎悪するのは当たり前だ。中国や韓国以上だろう。独立を真剣に考えるのは自然だ。
しかし、軍事的にも経済的にも独立は並大抵の事ではない。沖縄を利用しているのは日本だけではない。中国もアメリカも沖縄を利用している。日中米が全力で沖縄の独立を阻止するだろう。地理的な要因がそうさせるし、海上運輸を考えれば経済的な要因もある。
沖縄は平和を掲げているけれど、それを本気で国家戦略としているのだろうか。外交努力だけで独立が可能だと思っているのだろうか。経済的な自立も重要だが、軍事的な自立も欠かせない。
沖縄が自力で経済力と軍事力を日米から勝ち取る。これは簡単な事ではない。南米が二十世紀に試みたけれど、アメリカから離れようとするとCIAが妨害して新しい政権を転覆させてきた。沖縄はどんな戦略を練っているのだろうか。
戦争はウンザリ、平和が一番。聞こえは良いけれど、米中日からの妨害をはねのけるならば、殺傷をも厭わない覚悟が必要になってくる。ウクライナとパレスチナが独立をかけて戦っているように。
日本政府や日本社会が沖縄を冷遇し軽んじてきた歴史はむしろ日本史の汚点である。卑屈な日米地位協定を続けて沖縄の女性への性暴力を無視して米兵の犯罪を野放しにしてきた。危険な軍事演習を続けて沖縄の環境や財産や人命をおろそかにしてきた。若い世代は沖縄が何十年もアメリカ領だったことすらも知らない。酷い話だ。
だから日米を遠ざける為に中国を利用する。そんな事を沖縄が考えるのは自然だし、中国も好都合である。日米は沖縄にもっと敬意を払い謝罪をするべきだ。
しかし、沖縄が中国を利用するのは本当に沖縄の為になるのだろうか。中国は大国だ。侮ってはならない。中国は沖縄県民とやまと民族を分けて考えるだろうか。沖縄県民を漢民族と同様に扱うだろうか。中華思想は看過出来ない。日米の様に冷遇する可能性すらある。
沖縄の独立には慎重な国家戦略と自衛隊以上の軍事力と日本以上の経済力が必要だ。いくら日米を恨んでも、それらを中国に用意してもらうのは安易ではなかろうか。敵の敵は味方とは限らない。沖縄の独立がどうなるのかは誰にも予想出来ない。