第6話「『偽りの使命』、そして『真の裏切り』」
僕は、この世界の『新たな真実』を知った。
僕が、この世界の崩壊を止めるために、この世界を破壊しようとしていたこと。
そして、ミカエルが、僕を止めるために、僕を殺そうとしていたこと。
ミカエルは、静かに銃を下ろした。
その顔には、僕と同じ、苦痛の表情が浮かんでいる。
「イリス。君は、自分の選択を間違えている」
ミカエルの言葉は、僕の心を深く抉った。
「ミカエル。君は、僕がこの世界の崩壊を止めるために、この世界を破壊しようとしていたことを知っていたのか?」
「……ああ。管理局は、君の使命を、君から隠していた。君が、自分の使命を思い出せば、君は、この世界を破壊しようとする。だからこそ、君の記憶を操作し、君に『観測者』としての使命を与えたのだ」
ミカエルの言葉に、僕は驚きを隠せない。
僕に与えられた使命は、フィロナを救うことではない。
フィロナを抹消し、この世界の崩壊を回避すること。
それが、僕の本当の使命だった。
だが、その使命は、**『偽りの使命』**だった。
僕の本当の使命は、この世界を破壊し、新たな世界を創造すること。
そして、その使命を果たすために、僕は、フィロナを、そして、ミカエルを殺さなければならない。
僕は、ミカエルを見て、静かに尋ねる。
「ミカエル。君は、僕を殺そうとしていたのか?」
「……ああ。君が、自分の使命を思い出せば、君は、この世界を破壊しようとする。それを止めるのが、僕の使命だ」
ミカエルの言葉は、僕の心を深く抉った。
彼は、僕を裏切ったのではない。
彼は、管理局のルールを守ろうとしただけだ。
僕が、この世界を破壊しようとすれば、彼は、僕を殺そうとする。
それは、彼に与えられた、**『真の裏切り』**だった。
僕は、フィロナの手を握りしめた。
彼女は、僕の顔を見て、不安そうな表情を浮かべている。
「イリス。大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ」
僕は、彼女に微笑みかけた。
だが、僕の心は、絶望に満ちていた。
僕が、フィロナを救おうとすれば、ミカエルは、僕を殺そうとする。
僕が、ミカエルを殺そうとすれば、僕は、この世界を破壊しようとする。