第3話「『管理局』のルール、そして『禁じられた真実』」
僕は、この街で、フィロナと出会う。
そして、彼女に恋をする。
だが、僕は知っている。
この世界の崩壊は、フィロナ自身が引き起こしていることを。
彼女は、この世界の崩壊を、無意識のうちに引き起こす、**“時間異常の特異点”**だったのだ。
僕は、彼女を救うため、この世界をループする。
千回、いや、それ以上。
僕は、この世界の謎、彼女の秘密、自分自身の存在意義と対峙していく中で、一つの真実を知ることになる。
フィロナが時間異常の特異点であること。
それが、僕が【時間異常管理局】から与えられた、**『禁じられた真実』**だった。
【管理局】のルールは絶対。
「観測対象に干渉してはならない」
「時間異常の特異点は、発見次第、抹消する」
僕に与えられた使命は、フィロナを救うことではない。
フィロナを抹消し、この世界の崩壊を回避すること。
それが、僕の本当の使命だった。
だが、僕は、その使命を果たすことができなかった。
僕には、彼女を殺すことなどできなかった。
僕の心は、彼女を愛してしまっていたからだ。
「イリス……?」
フィロナが、僕の顔を覗き込む。
僕の顔には、苦痛の表情が浮かんでいたのだろうか。
「大丈夫?なんだか、辛そうな顔をしているよ」
彼女の優しい言葉が、僕の心を深く抉る。
僕は、この街を、この世界を救うために、彼女を殺さなければならない。
だが、僕には、それができない。
僕は、このループの中で、彼女を救うための「正解の選択肢」を探し続けていた。
だが、その「正解の選択肢」は、どこにもなかった。
【管理局】が定めたルールでは、フィロナを救うという選択肢は、存在しないのだ。
僕は、このループの中で、一つの決意を固めた。
【管理局】のルールを破り、フィロナを救う。
たとえ、それが、この世界を、そして、僕自身の存在をも消滅させることになったとしても。
僕は、彼女に微笑みかける。
「フィロナ。君は、僕がこの世界に来た理由だ」
「えっ……?」
僕は、彼女に手を差し伸べる。
「僕と一緒に来てくれないか?」
僕の物語は、ここから、本当の意味で始まる。
僕たちは、【管理局】のルールを破り、フィロナを救うための最後の戦いへと向かうのだ。