表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

第2話「千の死、そして一つの『正解』」

僕は、この街で、フィロナと出会う。

そして、彼女に恋をする。


「お花、いかがですか?」


街の片隅で、フィロナは、僕に話しかけてくる。

彼女の笑顔は、何度見ても、僕の心を揺さぶる。

だが、僕には、その笑顔が、あと24時間で消えてしまうことを知っている。


僕は、彼女を救うため、この世界をループする。

無限の可能性の中からたった一つの**「正解の選択肢」**を見つけ出すために。


最初のループ。

僕は、彼女に声をかけた。

「君の名前は?」

「フィロナです。お兄さんは?」

「イリスだ」


僕たちは、他愛のない会話を交わした。

だが、24時間後、街の崩壊に巻き込まれた彼女は、僕の目の前で死んだ。


次のループ。

僕は、彼女に、街から逃げるように説得した。

「この街は、あと24時間で崩壊する。君は、今すぐこの街から逃げなければならない」

「……どうして、そんなことを?」


彼女は、僕の言葉を信じなかった。

24時間後、街の崩壊に巻き込まれた彼女は、僕の目の前で死んだ。


その次のループ。

僕は、彼女を無理やり連れ出した。

だが、僕の行動は、街の崩壊を早めてしまった。

24時間後、街の崩壊に巻き込まれた彼女は、僕の目の前で死んだ。


何度繰り返しただろうか。

100回、200回、いや、もう数えることさえやめてしまった。

僕は、彼女を救うために、あらゆる可能性を試した。

だが、その全てが、彼女の死という結末に終わる。


その刹那、僕は理解した。

選択を誤るということは、**「彼女の死体だけを永遠に見続ける」**という、地獄のような報いなのだと。


だが、僕は、諦めなかった。

僕は、この世界の謎、彼女の秘密、自分自身の存在意義と対峙していく中で、一つの真実を知ることになる。


フィロナを救うことは、この世界そのものを変えることだった。

そして、この世界の崩壊は、フィロナ自身が引き起こしていた。

彼女は、この世界の崩壊を、無意識のうちに引き起こす、**“時間異常の特異点”**だったのだ。


僕は、千のループの果てに、彼女を救うことができるのだろうか。

そして、彼女を救うことができた時、この世界は、どう変わってしまうのだろうか。


僕の物語は、ここから、本当の意味で始まる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ