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『第 章 王女の秘密』

荒野に夜明けが差し込む。

目を覚ましたシーナはバハムートの黄金の翼に包まれていることに気付く。

辺りを見回すとニーズヘッグにレジーナが寄り掛かるように寝ていた。

「痛っ!頭が・・・!」

「っ!気が付いたか。シーナ。」

バハムートの言葉にニーズヘッグとレジーナも飛び起きる。

起きるな否やレジーナはシーナの前で土下座をした。

「ごめんなさい!私のせいで皆さんにご迷惑をおかけして!」

「ちょっとやめてレジーナ。仮にも王女でしょ?王女が平民に頭を下げないでよ。」

だが一向に頭を下げ続けるレジーナに参っていると、

「レジーナ。いい加減教えろ。お主は我らに何を隠している?」

バハムートが鋭い眼差しでレジーナに問う。

「何言ってるんだバハムート?レジーナは王女だぜ?隠し事くらいあんだろうよ。」

「ただの隠し事であれば、な。」

バハムートは何かに感づいている様子だ。

「レジーナ。この先に君を守るために知っておかなきゃいけないかもしれない。話せる範囲でいい。貴女のこと、教えてくれない?」

レジーナは思い詰めた顔をするが、静かに頷いた。

「分かりました。全てをお話しします・・・。」

彼女の話はこうだ。

レジーナはレイラス王国の第二王女として生まれ、六つ上の兄、第一王子がいる。

レイラス王家は代々魔力量が通常の人よりも遥かに多い。

更に功績主義の家系らしく、最も功績を成した者が次期国王となるという。

しかしそんな主義により、レジーナは幼い頃から愛情を受けたことが一切なかった。

多くの魔力は持つがそれを扱う術が使えずどんなに努力しても王家の期待を成すことが出来ず、次第に親や兄、王家に仕える者からも幻滅され、独りになってしまった。

そんなある日、とあるアイテムの採取の話が持ち出され、誰が向かうか議論になった時にレジーナが名乗りを上げたという。

最初こそは誰も賛成はしなかったが父である国王はしぶしぶ承諾したのだという。

「それで、()()()()()()()()()()()()のですが、その直後ヨルムンガンドに襲われ兵士を失いました。このままでは国に帰ることが叶わなかったので・・・。」

「護衛として私達と出会ったわけね。」

レジーナは頷く。

「大体見えた。お主の家庭事情は知らぬがヨルムンガンドはレジーナの持つ膨大な魔力が狙いとみて間違いないだろう。」

「あのショウヤとかいう奴が仲間がレイラス王国に殴り込んだと言っていたが、魔力の高い王族を狙ったのか。なるほど。」

「目的がはっきりしただけでも上々よ。奴らは転移して退いていったけどいつまでもここにいるわけにはいかない。せめて身を隠しやすい街中に急がないと。」

立ち上がろうとするシーナだが足に力が入らずガクッと跪いてしまう。

「膨大な黒炎を使ったのだ。肉体への負担はまだ残っておるはずだ。」

「でもせめて街までは急がないと!」

すると無理に立ち上がろうとするシーナをニーズヘッグが雑に鷲掴み、バハムートの背に乗せた。

「動けるまでは大人しくしとけ。無理に動こうとすると俺がお前に屁ぶちかましてやるぜ?」

「やめてやめて!ドラゴンのおならなんてくらったらドーパミンやエンドルフィンが崩壊するわ!」

「表現が具体的すぎる!」

そんな彼女らを見てレジーナは思わず笑ってしまった。

「あ、ごめんなさい!」

「あはは!レジーナの笑った顔初めて見たかも!やっぱ貴女は笑顔が似合うな。」

レジーナは恥ずかしそうに俯くも少し嬉しそうに笑ったのだった。


 シーナたちの居る場所からかなり離れた位置に栄えるレイラス王国。

明朝、王都にある酒場に一人の冒険者が来店する。

「らっしゃい。」

ちょび髭を生やしたマッチョなスキンヘッドの店主が開店準備をしていた所に一人・・・いや、一頭のワイバーンが顔を出した。

「おう。アンタかい。常闇。」

「邪魔するよ。」

ゴーグルを上げカウンター席に座ると店主が蜂蜜を入れたホットミルクを出した。

何も言わず常闇は義手の腕で掴み蜂蜜ミルクを一舐めする。

「うん。やっぱりここのハニーミルクが一番美味しい。」

「ワイバーンのくせに変わった好みだな。まぁ俺は嫌いじゃないぜ。」

しばらくハニーミルクを舐め続けてると店主がふと話を始める。

「しばらく店に来なかったが、今度の依頼はそんなに難しいのか?」

「まだ分からない。でもこれまでの依頼より重いのは確かだ。」

「まぁお前さんの実力が買われたんだろ。俺はこうやってお前に癒しを提供するしか出来ねぇがお前さんはしっかり稼業をやれてる。羨ましい限りだぜ。」

店主に片足は無く、棒を義足にしていた。

「そんなことないよ。こうして人目の付かない時間に来ても好物のハニーミルクを出してくれるし話も聞いてくれる。俺も十分助かってるよ。」

「そうか。そう言ってくれると酒場の店主冥利に尽きるってもんだぜ。」

常闇はハニーミルクを飲み干すと席を立つ。

「もう行くのか?もう少しゆっくりしていってもいいんだぞ?」

「生憎、まだ仕事中でね。ひと段落したらまた来るよ。」

「おう。そん時はまたハニーミルクを出してやるからよ。」

常闇はフッと笑いを零すとゴーグルを下げ朝焼けの空へ飛んでいった。

「『常闇の竜』か。あの野良ワイバーンだった奴が立派になったもんだ。」

店主は気を取り直し開店準備を進めるのだった。

常闇はしばらく空を飛んでいると手持ちの通信魔石に反応が現れる。

見張り台の屋根の上に降り魔石を起動させると、

「守備の方はどうだ?常闇。」

「そう急かさなくても問題ない。俺は一度受けた依頼は必ず完遂するから。」

「時間が惜しいんだ。貴様なら早急に殺せると聞いたから依頼をしたんだぞ。」

「まぁ途中で邪魔が入ったから作戦は最初からやり直しになったけどね。」

「言い訳はいい。さっさと奴を殺せ!出なければ俺の目的が脅かされかねない。」

常闇はため息をつく。

「はぁ・・・、その抹殺対象、()()()()()だってのに随分物騒だね。王子マルク。」

常闇の依頼主はレイラス王国第一王子、騎士長マルクであった。

「レジーナが生きて帰れば次期国王の座はアイツに渡る。そんな事はさせん。国王になるのは、俺だ!」


 日が沈みかける時間帯。

荒野を抜け森の中を一直線に駆けるドラゴンが二頭。

「きゃぁぁぁぁ⁉」

「いやっほ~!」

猛スピードのバハムートの背に乗る怖がるレジーナと楽しそうなシーナ。

その後ろをニーズヘッグがダッシュで追いかける。

「お主、その人間臭い走り方はなんとかならんのか?」

「無駄に姿勢良すぎてシュールだわ(笑)。」

「でもやっぱ四足疾走が楽だわ。」

そう言いバハムートのように走り方を変えた。

そしてシーナの前に座るレジーナはあまりのスピードに鱗にしがみ付いていた。

しばらく森の中を突っ切ると廃村を見つけた。

「かなり古いな。寂れてから数十年は経ってるわね。」

所々に魔獣による襲撃の跡のような痕跡も見える。

廃村になったのはそれが原因だろう。

「ところでレジーナは大丈夫か?」

ぐったりと横たわるレジーナ。

「あの、ごめんなさい・・・。少し、休ませてください・・・。」

「それもそうだな。もう夜になるしここで野営しようか。」

広場の跡地で野営準備をするシーナたち。

その間ドラゴン二頭は廃村の探索をしていると、

「おいバハムート。ちょっと来てくれ。」

何かを見つけたニーズヘッグに呼ばれる。

「どうした?」

「これ見ろよ。」

小屋の中を覗くとバハムートは息を飲んだ。

「・・・廃村になった原因、そう言う事か。」

「あぁ。コイツはかなり警戒した方がいいかもな。」

小屋の中には()()()()()()()がいたのだ。

村周辺をよく見るとあちこちに石化された村人も複数確認できる。

そして村に残った痕跡。

「コカトリスか。」


しかし廃村から離れた位置から彼女らを見る何者かがいた事をシーナたちは知らなかった。


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