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『第 章 メギド・悪魔獣』

第一王子マルクが退場際に呼び出した禁忌によって作られた魔獣メギド。

無機物の機関車と有機物の蜘蛛の融合で作られた異形の怪物は常闇に襲い掛かっていた。

「見境なしか。目に映るもの全てが獲物、敵に見えるんだね。」

躱しながら毒の矢を何発か打つが大して聞いてない様子。

「胴体はあくまで鉄製の汽車体ってことか。なら。」

常闇はメギドの脚に狙いを定め麻痺毒を投与した矢を放ち命中する。

これで動きが止まるはずだったが、

「っ⁉」

メギドは止まらずその鋭い脚で常闇に襲い掛かる。

一旦上空へ退避する常闇。

「蜘蛛の肉体でも毒が一切効かない、か。面倒な相手だ。」

すると距離を取ったことでメギドの動きが少しおかしいことに気付いた。

(やけに動きが悪い。毒が効いてたのか?いや違う。あの動き、何かに抗ってる動きだ。)

常闇はゴーグルを上げ眼鏡のような魔道具をかける。

するとメギドの中から別の成体反応を発見した。

「・・・そう言う事か。」

どうやらあのメギドには核があり、その核にされた何者かが抗っている様子だった。

「メギドには誰かが核として利用され作られてるのか。禁忌と呼ばれるはずだ。」

ともあれその核を何とかすればメギドを倒せるかもしれない。

しかし奴には常闇の攻撃は一切通用しない。

何か手はあるのか。

常闇は辺りを見渡すとあるものに眼が入る。

「・・・俺に出来ない事はない。そう自分を鍛えてきたんだ。」

常闇は急降下し矢をメギドに放ち自身に注意を引かせる。

「こっちだ。」

低空飛行で街中を駆けメギドが追いかける。

高い時計塔の広場までメギドを引導させた常闇。

「君、もしかして死に場所を探してる?だったら俺が、ここを君の死に場所にしてあげるよ。」

マジックバックから針金状のロープを取り出し金属製の矢に括り付ける。

そして両者正面から走り出しメギドが鋭い前足を常闇に振り下ろす。

攻撃をかわしメギドの下を滑り込み背後を取る。

そしてマジックバックから重力魔法のスクロールを取り出しメギドに投げつけると魔法が作動しメギドは重力に囚われ動けなくなる。

その隙に矢を時計塔の高い位置に突き刺しメギドの周りを大きく旋回。

流れる動きでロープを巻き付けもう片方の先端を時計塔に打ち込む。

そして起爆性の毒を仕込んだ矢を放ち時計塔を爆破。

時計塔が倒れると同時に金属製のロープが重力魔法で固定されたメギドを引っ張る。

「さぁ、その外殻から出てこい!」

時計塔の重さに耐えきれずメギドの胴体が上下真っ二つに引き裂かれ、中から幾つものチューブが肉体に突き刺さった裸体の少女が現れた。

少女は虚ろな目で常闇を見る。

「見るに堪えないね。レイラス王国に化け物の心臓として利用される始末。人間としては完全に死んでるね。」

少女はか細い声で何かを訴えている。

「大丈夫。君はまだ、人として死ねる。」

常闇はサーベルを引き抜き一閃を決める。

すると少女の口が少し笑みを浮かべこう伝えた。

『ありがとう』と・・・。

そして少女の首は斬り落とされ常闇がそっと受け止める。

「おやすみ・・・。」

その少女の顔は、とても穏やかな表情だった。


 多くの命を贄として蘇った悪魔獣。

四足歩行で行進し都市を破壊していく。

そこへ一筋の炎が悪魔獣にぶつけられる。

現れたのはバハムートだった。

「これ以上レジーナの故郷を破壊させるか!」

バハムートは悪魔獣に迫りブレスを繰り出す。

至近距離で直撃し払うように前足を振るってくるが身体を旋回させ避ける。

(巨体な分動きが遅い。撹乱しながら攻めれば!)

その時、悪魔獣が突如上体を起こし二足歩行となる。

「立った⁉」

悪魔獣は足元の瓦礫を掴み取りバハムートに向かって投擲してきた。

突然の反撃に驚くも魔法壁で防ぐが気付くと悪魔獣が目の前まで迫っておりその大きな前足でバハムートを地上へ叩き落した。

「ぐっ!」

そのまま踏みつけてくる脚をなんとか躱し距離を取る。

「思いのほか機敏だな。やはり悪魔族は油断ならんか。」

すると悪魔獣の背後が爆発する。

後ろを見ると口元から煙が出てるニーズヘッグがいた。

「あの女子供はしっかり避難させてきた!手を貸すぜバハムート!」

「ふっ。頼れる親友が来たな。」

「おら赤いドラゴンもどき!俺達最強のドラゴンが相手だぜ!」

そうイキりながら迫りその逞しい拳で悪魔獣を殴りつける。

「我も負けてられんな!」

バハムートも駆け出し足元の消火栓をへし折り地下水を噴射。

悪魔獣の視界を遮る。

その隙にニーズヘッグが背後へ回り込み悪魔獣の尻尾を掴む。

「せ~の‼」

悪魔獣の巨体を力づくで振り回し放り投げる。

それをバハムートが尻尾で打ち返し、すかさずニーズヘッグがバックドロップをお見舞い。

地響きと共に悪魔獣を叩きつけた。

「っしゃぁ決まったぜ!」

ガッツポーズをするニーズヘッグ。

しかし叩きつけられた悪魔獣は何事もなく起き上がった。

「まぁあの程度でくたばるとは思ってねぇさ。」

「ここからは本気で行くぞニーズヘッグ!」

「へっ!言われるまでもねぇ!足引っ張るなよバハムート!」

「それはこっちのセリフだ!」

仲良くいがみ合いながらも迫りくる悪魔獣に向かって走り出しバハムートの背を踏み台に飛ぶニーズヘッグ。

正面からバハムート、頭上からニーズヘッグが悪魔獣に襲い掛かり壮絶な大乱闘となる。

親友同士息の合った連携で悪魔獣を押し退け後方へ後ずさりさせた。

その時、

「~~~~~っ‼」

悪魔獣が咆哮を上げると再び四つん這いとなり、背の砲台のような器官にエネルギーが蓄積されていく。

「ん⁉あの背中からとんでもねぇ魔力を感じるぞ!しかもあの密度、ちっとヤベェかも⁉」

「ニーズヘッグ!我の後ろに来い!」

ニーズヘッグがバハムートの背後に回った瞬間、蓄積されたエネルギー砲が轟音と共に放たれ二頭を飲み込んだ。

放たれたエネルギー砲は都市の大半を破壊。

だがその攻撃をバハムートの魔法壁が完全に防ぎきっていた。

「あっぶね~!もう少し遅れてたらヤバかったぜ・・・!流石の魔法壁だな!」

「だが正直ギリギリだった。またアレを防ぐのは難しい。その前に片を付けるぞ!」

「あいよ!んじゃ先に行くぜ!」

拳を鳴らしニーズヘッグは悪魔獣に向かっていった。

(しかし奴は思った以上に手強い。まともに戦っては勝負がつかん。何より厄介なのは先のエネルギー砲。あれを再び使われたらこちらもただでは済まない。早急に決着をつけなくては。)

打開策がないか模索すると一つの案が浮かび上がった。

「アレを利用すればいけるか!」


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