6、婚約者と家族になるには
サラと見たオペラに僕は感動していた。
主人公の2人は最終的に別れてしまったので、婚約したばかりの僕たちが見るものとして、相応しかったかどうかと言えばあれだけど。
猫のミネットが死んでしまった時に、
シャーロット様が「ずっとずっと大切な宝物として覚えている」と僕に言ったことを思い出した。
ミネットもシャーロット様も僕の心の中で生き続ける。そう思えるとポワッと胸が温かくなった。
……あ、いやいや、シャーロット様が儚くなってしまったみたいになっちゃった。
僕はいまいち婚約した事にピンときていないでいる。
それはたぶんサラも同じだろうと思う。
サラとは今までずっと一緒に遊んできたのだから、
それが一つ屋根の下で生活することになったとしても、別段困ることは無いと思う。
恋心はなくともサラのことは好きだし。
この婚約、僕だけの気持ちで言えば受け入れようと思っている。
シャーロット様は最早僕には手が届かない女神様だと思っているし、婚約なさった時点で失恋している。
でもサラは。
サラの恋は、まだ叶う可能性があるじゃないか。
身分違いとは言え、ジャスティンの家は評判の良い貴族だし、サラも家を継ぐ必要はないし。
とは言え、サラがこの婚約を受け入れるなら、僕としてはとてもありがたい。
だって僕のシャーロット様への想いを知ってるから。
何も知らないご令嬢と結婚するのはどうも後ろめたいけど、サラが相手なら心にシャーロット様を置いても許される気がする。
お互いがお互いの恋心を知った上での割り切った婚約なら、なんとなく、上手く行く気がしたんだ。
先週の話し合いでは回避することは諦めていたようだし、こうやって恋物語のオペラに出かけてると言うことは婚約解消に向けて動こうとしてる気持ちもなさそう。
ジャスティンと恋仲になりたいと言えば協力するつもりでいたけど、
僕を選ぶのなら、ずっと想う相手を心に住まわせて、割り切って仲良く家族になれれば…と…おもっ
「私は、ケイトのようになりたくないし、
ケイトのような人と結婚するのは嫌だわ。」
サラは静かに言った。




