ご挨拶しましょう
「着いたで~!ここがアッキーの新たな・・・ありゃ?どしたん?」
「いえ、ちょっと悲しみやら恥ずかしやらで気持ちがついてきてないだけです・・・」
「さっきまであんなに気合入っとったのに?」
あれは気合いではなく、心からの嘆きです。
「ともあれ、ここがおれの職場になるのか・・!!」
さっきまでの絶望も少しは落ち着いた。改めて新天地をこの目でしかと見てみる。
みた感じはよくあるピザ屋のような感じだが・・・こじんまりした倉庫も横にある。
「地獄に配達する荷物がそこにまとめられてるんやで~。あんま触らんといてな?有害な・・・あ、店長!新人連れてきました~」
「いま有害って言いかけませんでした?」
のっけから不穏すぎるんだが。大丈夫かここ。
「お!新人くんか!いらっしゃい!」
ヤマさんが店長と呼んでいた人物に話し掛けられた。
店長さんらしき人は、30歳くらいな感じに若い。外見も筋肉ムキムキ。さわやか好青年イケメンって印象だ。
――ただ、とても気になった点が一つ。
「は、裸エプロンんんんんん!!??」
そう、イケメンきんにくんがエプロンのみをきているのだ。一目で恐怖を感じずにはいられなかった。
「いやあ、人が足りなかったんだよ!来てくれてありがとう!」
元気に話し掛けられた。感謝もされた。しかし、裸エプロンだ。
「天界の案内所から聞いたよ、即戦力だってね!期待しているよ!」
期待もされた。しかし、裸エプロンだ。
「わからないことがあったらいつでも聞いてくれ!ウェルカムだぜ!」
白い歯をキラッとさせて、満面のスマイル。しかし、裸エプロンだ。
「おいおいどうした?緊張してるのかい?少し休むかい?」
「あ、いえ。突如新種の人種に出会ってしまったもので、びっくりしていました」
「なに!?そんな人種がどこに!どんなやつなんだ!?」
「目の前に、エプロンにプロテインを飲ませたのかといいたくなるような変態イケメンが・・・」
「店長~、たぶんあんたの事言うてはりますよぉ」
「む!ぼくか!しかしイケメンだなんて照れるじゃないか!ハッハッハ」
きんにくんはおおらかに笑ったが、おれは引きつった笑顔が消えなかった。
「あらためて、秋元と申します。今日からよろしくお願いします・・・」.
「ぼくは店長の中山さ!よろしく新人くん!」
中山かよ。ガチきんにくんじゃねえか。
「先ほどなんでも聞いてくれとおっしゃっていたので、さっそく聞いてもいいですか?」
「お!なんだね!?」
「・・・なぜ裸エプロンなんでしょうか」
率直に疑問をぶつけてみた。するときんにくん店長は一瞬キョトンとし、すぐスマイルに戻った。
「おいおい、誰が裸エプロンだよ!そんな変態な恰好誰がするんだい!?」
「えぇ!?ご自分の格好を鏡で確認しては!?」
「何言ってるんだ、よく見てみるんだ」
そういわれ、おれは店長をじっくり観察した。・・・あっ
「どうだ?パンツをしっかり履いてるだろう?」
「・・・・・」
間違いない。立派な変態イケメン紳士だ。
いい人なのはわかる。しかしド変態だ。しかも店長だ。変態店長だ。
「さあ、ついてきたまえ!いろいろと説明をするよ!」
「・・・あの、ヤマさん。あれがこの店の正装ってことではないですよね??」
「あんなんは店長だけやから、安心しな~。ウチもうんざりしとるんやけど、慣れてもうたわぁ」
慣れたという割には、目がゴミを見る目みたいになってる。店長の扱いどうなってるんだ・・・。