プロローグ
20##年とある国の某所
例えるのが難しいサイレンが響いた。
「お。お客様かのぅ」
モニターが自動で降りてくる。
それに映ったのは、大隊規模の爆撃機とその護衛。しかし、どの機体も国籍を表す物は付いていない。
『IFF、応答なし』
「ほいさ。護。」
AIの護は言った。
「あー・・・いけるかのう。ちゅーか奴らこんな事やっていいのかのう。はあ。イージスシステム起動。全区画閉鎖。」
『イージスシステム起動。全区画閉鎖。・・・イージスシステム起動確認。異常なし。全区画閉鎖中。無線警告完了。政府(朝田が現在いる国)への勧告完了。』
「警告射撃。実施。目標。敵爆撃機大隊とその護衛。撃ちー方ー始め!」
『警告射撃。目標敵爆撃機大隊とその護衛。撃ち方始め。』
これで大体終わる、・・・のだが。
『警告失敗。敵にミサイル迎撃機がいる模様。飽和攻撃を実施します。』
「なんじゃと!!」
今まで一回もミサイル迎撃機を含んだのは来たことがなかった。しかもミサイル迎撃機は途轍もなく高価で、そして大きい。国境を超えるのは難しいはずだ。そのためたった一人を暗殺するために持ち出す物ではない。しかし現実に来てしっまている。
『西A5区画突破されました』
「対空砲撃ちー方ー始め。ウェポンズフリー。迎撃せよ」
『全武器解放。撃ち方始め。全区画閉鎖完了。』
取り敢えずバイザーを付けた。(これの正式名称は、視覚的多機能情報表示読み取り装置と言い、見た目は近未来的な感じの眼鏡だが、実質的にはAR(拡張現実)デバイスだ。)自動的に起動し、様々な情報を表示する。
「被害報告」
『ミサイルパッドが攻撃を受けています。それ以外の被害は現時点ではありません。』
「そこまでしてでも儂を殺りたいのか。」
おそらく敵はここにできるだけ弾をぶつける為に脅威となるミサイルパッドのみ狙っているのだろう。
『敵損害。爆撃機二機。護衛機五機。中央区画到達までのこり五分』
移動用の車いすに乗った。
「シェルターまで」
車椅子が、小走り程度のスピードではしりだす。
『到達までのこり三分。敵損害。爆撃機7機。護衛機6機』
「デコイ」
『デコイ起動』
デコイは、生体、サーマル、その他諸々が、この爺さんそっくりに作られている。(人は乗っていない)
ピピッピピッ
『敵増援。同方位。敵、一次爆撃開始』
「飽和攻撃か。 祈るしかないの。」
朝田は、米軍とは仲がとてもいいけど、アメリカ政府とまでは仲がいいわけではない。そのため、航空機の飛行禁止区域を定められるほどの権力を有していない。目視で確認できた機体で、明らかに軍用機、もしくはそれに準ずる航空機には、逐一確認をし、それでも何かアクションを起こさない場合にのみ、攻撃を行う。しかし、実際には米空軍と共同で監視しているので、滅多に通過される事はなく、通過されたとしても大抵は少数の軍用機しか通過してこないことが多い。