第二話 what!?
転生してから15年。自分が転生を経験したのは驚いたが、前世での幼児の平均的な発達の順番、時間などよりもわざと少し遅めでできることを増やしながら、この世界にもようやく慣れたころ、俺、フリッツは軍に徴兵された。
「ふっ、97、ふっ、98、ふっ、99、ふっ、、100‼」
「相変わらずはりっきてんな。フリッシュ。おい。そろそろ休憩したらどうだ。ほい。水」
「さんきゅ」
素振りを終えること、水袋を投げながらヴァイスが声をかけてきた。こいつとは、徴兵されて以来の付き合いだ。顔は、普通。だがガタイはまるでラグビー選手。
「しかし、細いよなーおまえ。そんなに鍛えてんのに。俺は女性から怖がられるんだよな。」
「おまえは筋肉しか鍛えないからだろ。」
「体以外に鍛えるところなんかないだろ貴族じゃないんだし」
「しかし、帝国との関係が悪化して、軍備増強が叫ばれてるがまだ教会で精霊の儀を終えてない俺らも徴兵されるとはな」
帝国とは、俺の生まれた国、シャリュマーニュ王国の仮想敵国で、正式名称リンドバル帝国と言う。この国は、国土も人口も多いが、活火山があり、その火山灰によって、土地のほとんどが痩せこけている。それに対して王国は、人口は劣るが土地は豊かで、鉱山なども多く、奴隷にもうまい飯を食わせられる。更に国民のほぼすべてに、精霊がついている。そのため、兵士などの質は王国のほうが遥かによい。しかし、量は負けるため、兵の数を少しでも増やそうとしている。
「精霊の儀を終えてないのを実戦に出すのは無茶だと叫ぶのもいるがな」
「訓練終了‼整列‼」
整列する。ちなみに場所はなぜか最前列の、真ん中。つまり、教官の目の前だ。
「明日から分かれて、砦に実地研修に行く。班分けを発表する。トルデ・・・」
どんどん発表されていく。・・・ヴァイスとは別のようだ。
「最後に、」
いやまて、なんか胸騒ぎがする。しかもあと残っている砦は一つのはず。しかもそこは・・・
「リンゲル砦。フリッシュ。以上、解散」
て、帝国との国境沿いの砦じゃねーか‼神様‼俺は何か悪いことしたか‼つーかなんで上はそんなとこに新兵を送る‼しかも国境に川や山がない。攻めようと思えばすぐに攻めることができる‼最悪だ‼
「おい」
ヴァイスが声をかけてきた。
「どうした?死んだ魚みたいな顔になってるぞ」
「ちょっと一人にさせて」
とりあえず練兵所を出て、兵舎の自室に行く。部屋に入ってドアを閉めた。息を吸う。
「What!?way!なんで!なんでだよ!なんでこうなったんだよ‼」
ダン‼
うるさすぎたか。はあ。
仕方ない。飯食いにへ行くか。食堂で厨房を借りよう。
「すいません厨房を借してください」
「はいよ、そこつかえ」
厨房をよく借りるのでシェフとは知り合いだ。それどころかチラチラこちらを見て、技を盗もうとしている。が、なかなか盗めないようだ。わざと勘で計量したりしているからな。分かるはずがない。とっとと作り上げてしまおう。メニューは、ウナギもどきでうな重にしよう。あと、汁物は、かきたま汁に、副菜は、漬け物でいいか。テキパキとどんどんつくっていく。出来た物からすぐによそって、テーブルへ持っていて、食べたそうな視線がものすごくあつまる。それらすべて無視して、食う。
「なあ。フリッシュ」
ヴァイスが声をかけてきた。
「リンゲル砦ってどこだ?」
「お前知らないのか?」
食堂にいる新兵ほぼ全員が頷いた。おいおい。
「帝国との国境沿いの砦さ。しかも帝国はここから攻めるだろうとされている、な」
食堂が静まった。
「「「「えーーーーーーー‼」」」」
「うるせえ!おまえらも自分の行く砦くらい調べといたほうがいいと思うぞ」
新兵全員が資料室へ走っていった。
「フリッシュ‼」
「はっ!」
「後で教官室へ来い。」
多分砦の事だろう。にしても先輩方は僕を憐みのような視線で僕を見るなぁ。
次回 見捨てられる。