prima prima:09 汐里
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今日は長い一日だったなぁ
でも──これでなんとか、居候という形ではあるけれども──住む場所ができたよ…
良かった──この家の人も優しそうだし…
どうなるかと思ったもん…バイトしてた居酒屋も急に潰れたし──来月(今週末)あと2日からは家賃があがるだなんて…仕送りもらっても結構きついのに…!!
たあっ、ハンバーグ!!焦げる…!!
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「ふぅ…せーふ───!!
ソースかければ大じょ…う…ぶ……」
「何がせーふかしら?」
ぐ…!この声は…!!
「あら、焦げてるわよね」
にっこり笑ってるけど…怖いですよ!!久木さん!!
前言撤回!!優しそうじゃない!!
「いえ…気のせいで…はぐ!!」
久木さんに脳天チョップをくらった…!!
「このフライパン、焦げるととれにくいから──気をつけてね?」
また、さっきの優しい顔だ。にしても綺麗な顔…みとれそう…
久木さんはとても背が高くて…スレンダーで、羨ましい。顔もとても整っていて…飾らない感じがどこか中性的な印象を受ける──
当の本人は、あたしに変わってハンバーグのソース作り…
あたし…出番ないじゃん…
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久木さんがきたら、ことがすいすい運ばれてった。──結局あたしは座っておとなしくしていた…うぅ、惨め…
しばらく久木さんの優雅な動きにみとれていて、料理が揃ったことに気づいていなかったらしく──
「食べましょ──」
と言われて、つい舌をかんでしまった。
「あっ、は、…はい」
…あぁ─恥ずかしい…
赤面してうつむいていたら美味しいよこれ、と言われて、また赤面してしまった。