prima prima:06 彩香
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どうやら汐里ちゃんは
あたしの住んでいる秋保町から歩いてすぐの冬木町の外れに住んでいるみたいだ──。
学校もあたしがよく通る道の近くにある、有名な大学の冬木町キャンパスに通っていることがわかった。
もしかしたらよくすれ違っていたりしたのかもしれない。
「──で、久木さんはどんな職業についてるんですか」
目をキラキラ言わせながらきいてきた
「実は、薬剤師の免許とっててさ──それでドラッグストアとかでバイトとかしたりで稼いでんの」
───嘘は、ついていない。
「え、でもここ…一軒家ですよね?」
「あ─…それね──…」
苦い思い出が蘇ってくる──
「あっ…あのえと…」
ふふ…不味いこと聞いちゃったみたいな顔して…
「それがね、うちの親が元々お金持ちでねぇ──これは親から譲り受けたのよ」
年甲斐もなく、姉ちゃん凄いでしょ──なんておどけてみたり。
「なんだぁ、そうなんだぁ──」
なんか安心した顔で汐里ちゃんも顔を崩してた──
これは、嘘。
ホントは今はもうそんなバイトはしていない。有り余るお金と、一人暮らしには大きすぎる、この家で何もしないで──ただ、一日を外を眺めたりして過ごしていたのだ。
たまに、こないだ汐里ちゃんに会ったときみたいな時間に散歩をしたりする。
それだけ。あとはホントになにもしない。部屋が少し汚れていれば、必要以上に掃除をして…変な満足感にまた空虚を覚えたり──
寂しい女…かな?